黒の凶器

劇場公開日:

解説

梶山季之の「影の凶器」より「黒の爆走」でコンビの舟橋和郎と小滝光郎が脚色「桃太郎侍(1963)」の井上昭が監督した黒シリーズもの。撮影は「山男の歌」の森田富士郎。

1964年製作/89分/日本
配給:大映
劇場公開日:1964年6月20日

ストーリー

日本の弱電機メーカー大日本電機の工員であった片柳は、酒場で知りあった登川れい子と結婚を夢みるようになってから、自分の運命を狂わした。株をやっているという女の関心を買うため、自分の会社が極秘に研究を進めているRV17作戦のデータを提供したが、彼女は株を操ってボロ儲けしたばかりか、競争会社の太陽電器にそのデーターを売った。これが因で、会社を馘になった片柳は、れい子が太陽電器の産業スパイと知りながらも、忘れられなかった。だが、片柳は大日本電機と太陽電器への復讐を忘れてはいなかった。まず馴染のマリ子を使って、太陽電器の黒岩専務の家に女中として住せた。大日本電機の長棟社長に、面談を強要すると、太陽電器の産業スパイに盗まれた、電子魔法瓶の設計図を買って欲しいと、話した。かつて自分を馘にした戸村労政課長のみじめな顔をみながら、片柳は、三百五十万の重みを感じた。さて、今度は、太陽電器への復讐だ。電子冷蔵庫に関するデーターを、大日本電機に五百万円で売りつける。ビルの屋上からザイルを使って、技術室へ忍び込むのだ。しかも明日の夜をはずせば、その設計図は、本社の大金庫の奥深くしまい込まれてしまうのだ。そして、当夜、ガラス切りを取り出して、技術室のガラスにあてた時、中庭のスポットが鮮やかに片柳を照らした。またもやれい子の仕業だ。どこをどう逃げたのか、れい子が非常ロを開けてくれたのだけは覚えていた。とにかく黒沼が特許の出願をする前に、設計図をものにしなければならない。二、三日後、黒沼を脅すと、テレビ・カーを研究所の近くに引き寄せ、テレビ発信送置にかけられた設計図を、キャッチしようとしたのだが、そのテレビ・カーの後には、業界のスパイを乗せた車がピッタリついていた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.5黒シリーズ第9作

2024年9月8日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

黒シリーズ第9作、このシリーズやはり田宮二郎主演がイイ🙂
共演は大映女優だった浜田ゆう子。『しとやかな獣』など出演多数。
この映画、産業スパイものだが、昭和のこの時代の「スパイ」というと「黒い服+黒サングラス+黒い帽子」というオバQなどでも見られる格好をしている😄笑

ある電機メーカーで働いている片柳(田宮二郎)には「夜間大学に通って技師になり、幸せな結婚をして母親を喜ばせるという夢」があった。
そんな時、バーで知り合ったれい子という女(浜田ゆう子)と幸せな結婚を望んだ片柳は、れい子が「株で利益を得るために会社で研究している物を調べてくれない?」と言われてそれに応じたら、会社にバレて会社をクビになってしまった。夢が破れた。
するとれい子はバーを辞めて行方不明になるが、彼女はライバル電機メーカーのスパイだった。衝撃を受けた片柳は、自分と母親の夢を砕いたこれらの会社に復讐するために産業スパイとなる。
そして、このあと産業スパイを巡る駆け引きドラマ、田宮二郎と浜田ゆう子の恋の行方物語が繰り広げられる。

この映画が公開された1964年頃には小型テープレコーダーでの盗聴、ペン型ミニカメラでの機密文書撮影などは、それなりに進んだものだったのかも知れないが、テープレコーダー盗聴器のテープ入れ替えを田宮二郎が浜田ゆう子に頼むあたりを見ると「長時間録音ができない時代だった」のを感じる。
確かに、1976年/1978年来日公演でRainbowライブ録音は120分テープでひっくり返しが必要だった。……隣の人が録っていた。

この映画、産業スパイの手口や駆け引きが楽しいが、全体的に大きな波が無かったあたりが惜しい🥲
もう少し、なんらかの盛り上がりがあっても良かったと思う。

<映倫No.13591>

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たいちぃ