駈けだし刑事

劇場公開日:

解説

藤原審爾の原作を「太陽への脱出」の山田信夫が脚色、「殺人者を追え」の前田満洲夫が監督したドラマ。撮影は「探偵事務所23 銭と女に弱い男」の藤岡粂信。

1964年製作/83分/日本
配給:日活
劇場公開日:1964年1月25日

ストーリー

新田正介は駈け出し刑事だ。毎日お茶汲みや、坂崎刑事について歩く単調な生活だった。その中で唯一の楽しみは花屋の店員綾子に会う事だ。病身の母を持って貧しい生活を助けている彼女には庶民の健康な生活が息づいていた。ある日高利貸しの権堂が殺された。兇器はブロンズ像とみられ、その指紋は重要証拠となった。新田は本庁の宗田刑事について被害者のメモを洗う事になった。相当あくどい事をやっていたらしい権堂だが、キメ手はつかめなかった。そんなある日、綾子とデイトした新田は綾子から突如権堂殺しの容疑者を目撃したと聞いた。いろめきたった捜査陣は綾子が選び出した三人の男の追求を始めた。が三人の男は直接犯行とは関係がなく山形直次郎と呼ばれる男が指名手配となった。張り切って新宿駅にはりこんだ新田の前に直次郎は横浜で捕ったという報が入った。つくづく刑事生活がいやになった新田は、坂崎に「駈け出し時代は誰も同じさ」と慰められた。一方直次郎はブロンズの指紋と一致はするものの犯行は強く否認していた。その直次郎は「俺の前にスケと野郎がいた」と告げている。新田は、綾子から捜査の進行状態をひつこく聞かれふと疑問をもった。彼女の弟の敏夫だ。暗い影のある敏夫、連行された敏夫は「家賃を払いに行った綾子が権堂に犯されそうになったのでやった」と意外な告白をした。先輩の後について怒り、悲しみ、悩んだ駈け出し刑事最初の事件はこうして意外な結末をもって閉じた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

5.0駆け出し刑事は、お茶汲みから

2019年11月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

警察学校の訓練から、交番勤務を経て刑事に昇格する語りを、タイトルからスタッフクレジットまでの2分ぐらい描く冒頭から結構快調な作品。

新米刑事の長門が、デカ部屋の慣れないしきたりに戸惑い、怒られながらも殺しの事件を追う。

新宿署の汚い壁や、先輩へのお茶出しに、地味な要所巡りなどのリアルな描写も良い。

伊藤雄之助と高品格の先輩刑事が、新米刑事の主人公を諭していく場面は、定番ながら良い。

悪徳金融業者の男が殺されて、その事件を捜査する内に、同情出来ないワルを判り苦悩する新米刑事の葛藤と並行して、先輩刑事の馴染みの花屋の女性店員に惹かれる。

しかし花屋の女性とその弟が真犯人でしたの展開は、都合良すぎな感じも拭えず、ラストに花屋の女性に手錠を掛けようとする新米の行動は疑問。

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