丼池

劇場公開日:

解説

菊田一夫原作より、「河内風土記 おいろけ繁盛記」の藤本義一が脚色「喜劇 駅前茶釜」の久松静児が監督した舞台劇の映画化。撮影は「喜劇 駅前茶釜」の黒田徳三。昭和38年度芸術祭参加作品。

1963年製作/104分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1963年9月14日

ストーリー

大阪のド真ん中にある丼池は戦後丼池筋と呼ばれる約千五百軒の繊維街になった。室井商事の女社長カツミはこの丼池の商店の裏をくぐって貸付をしている高利貸しの一人、彼女はがめつさでは丼池筋の高利貸し中のNO・1平松子から高い金利で借りて融資している。大学を出てこの道に入ったカツミは、世間から冷たいといわれるほど合理的な金融業に徹底している。債権者のむらがる安本商店を三百万の担保としてとったカツミは友人数名と「室井商事KK」の看板をあげた。カツミとは幼馴染みで、かつて婚約者であった兼光定彦は、いまは繊維品の老舗“園忠”の番頭をしているが、定彦の心の中には未だカツミの面影が深く刻まれていた。定彦の仲介で“園忠”の忠兵衛にあったカツミは七百万円の融資を頼まれた。自己資金では足らず、不足分を松子に貸りに行ったカツミは、“園忠”なら貸すことをすすめられた。すでに松子も八百五十万を“園忠”に貸しており、彼女は腹心のカツミが出す七百万円と自分のを合せた一千五百五十万円で“園忠”をのっとろうと目論んでいた。“園忠”をねらっているのは、“たこ梅”という料亭を経営するウメ子も加わり、さらに“園忠”の店員仁科をおいろけ戦法で口説き品物を横流しさせ、丼池の共同販売に小さな店を始めている金沢マサもいた。カツミは松子と手を切り自立するため素人相手に宝投資という資金集めの新手を考えたその頃松子は一千五百五十万をたてに“園忠”の差押えに出たが、定彦に頼まれたカツミは自分の持っている債権で松子の“園忠”に対する破産宣告申請を妨害した。怒った松子は、宝投資が不渡りであるという噂を流布した。カツミは債権者に追われて苦しい立場にたった。こうした中でウメも一枚加わって土建業の田中と手を組み、忠兵衛に借用書を入れさせ、一時それで店を差押えたあと返すからと瞞して、忠兵衛から四千二百万円の借用書をとった。一方宝投資を買い集めた松子は“園忠”の権利を取ったが、一足早く、ウメ子の代理人田中に差押えられてしまった。金のためには愛情もたち切り。高利貸しを続けてきたカツミは、今は夢も破れ無一文になった。金融の違反と詐偽罪の容疑で警察ざたとなり、今は何もかも失ったカツミは、定彦に励まされながら裁判所の階段を登っていた。春の陽ざしが二人をつつんでいた。

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