惜別の歌
劇場公開日:1962年5月20日
解説
「黒い傷あとのブルース(1961 野村孝)」「北帰行より 渡り鳥北へ帰る」「さすらい」に続く小林旭のヒットソングの映画化第四弾。「抜き射ち風来坊」の山崎巌と山野良夫が共同で脚本を執筆、「さすらい」の野口博志が監督したアクションもの。撮影は「兄貴」の永塚一栄。
1962年製作/81分/日本
原題または英題:Song of a Traveller
配給:日活
劇場公開日:1962年5月20日
ストーリー
三崎明は、傷心の思いで故郷の仙台へと帰って来た。少し前まで彼は東京の緑川高校で体操教師をしていたが、ある日町のチンピラと喧嘩したことからPTAの逆鱗にふれ、生徒に惜しまれながらも学校を去ったのだった。彼は、昔恩になった神戸組を訪れたが、神戸組は今は親分も亡く、未亡人を助けるのは常次郎一人というさびれ方だった。乾分の一人兵頭が組を裏切り、仙台の大部分を縄張りにしていたのだ。三崎は、兵頭に怒りを感じながらもヤクザになることに踏み切れず、ぶらぶらしていた。そんなある日、親分の三回忌がやって来た。そこで三崎と出逢った兵頭は、三崎を警戒しはじめた。兵頭は神戸組をたたきつぶすことを決心し、神戸組の最後のショバであるさくらマーケットの乗取りを始めた。あばれ込んだ兵頭の乾分はマーケットで荒れ狂い、ついに常次郎まで殺してしまった。それを知った三崎はついに起ち上った。教師の自分を振り払い、ヤクザになった三崎の様子は一変した。その変りように神戸一家は大喜びだった。一方、三崎に思いをよせはじめた兵頭の娘美那子は、父と三崎と二人の間に事が起こるのを悲しむのだった。マーケット乗取りに兵頭が使った金は百万と知った三崎は、それを賭博でかせごうと塩釜の賭場へと向った。だが運悪く手入れ、ようやく三崎は町へにげのびた。だが、手入れも兵頭が警察にさしたためと知った三崎の怒りは爆発し、彼はついに兵頭に殴り込みをかけた。一人で乗り込んだ三崎を囲む兵頭たち、やがて兵頭の拳銃が火をふいた。だが、一瞬早く、かけつけた三崎の乾分哲次の匕首が兵頭の背中にとんでいた。倒れる兵頭。翌日、親分の墓前に盃を返した三崎は、美那子への惜別の悲しみをこらえながら、立去るのだった。