旅愁の都
劇場公開日:1962年3月7日
解説
「香港の夜」の井手俊郎のオリジナル・シナリオを、「その場所に女ありて」の鈴木英夫が監督したメロドラマで、「美貌の都」「愛情の都」につぐ都シリーズの第三作目。撮影は「黒い画集 寒流」の逢沢譲。パースペクタ立体音響。
1962年製作/93分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1962年3月7日
ストーリー
村川信吾は、大阪にある岩下建築事務所の敏腕の若手技師。料亭八汐のマダム波多野テルを通じて、九州の大親分高田勇吉から沖縄に建築する料亭の設計を依頼された。こうした忙がしい毎日で彼の唯一の楽しみは、叔母千加が経営するパーラー、ウィンザーで休息することだった。千加は、東京を離れて単身大阪に来ている信吾を親代りになって世話していた。今日も立ち寄った信吾に、千加は中原弓子を紹介した。弓子は千加の店の求人広告をみて来たのだが、清楚な美しさにひかれた信吾は、千加に弓子を採用するようすすめた。そして数日後、信吾は打合せのため高田の娘朱実やテルと共に沖縄へとんだ。朱実は信吾に思いをよせていたが、弓子のおもかげを秘める信吾は彼女のためにブローチを買うのだった。その頃ウィンザーで、弓子は野上徹と再会した。二人はかつて恋人同士だったが、今では徹は弓子の友達里枝と結婚していた。ある日、病身で寝込んでしまった弓子の母を見舞った信吾は、そこで家出した里枝をさがしに来た徹にあった。まだ弓子を忘れられない徹は、信吾にいや味をいうのだった。弓子が昔、家計のために人の世話になっていたというのだ。沖縄行きを前に、その事実を問いただす信吾に弓子はすべてをうち明けた。弓子が信吾をあきらめたことを知って母の病気は悪化した。そして弓子はウィンザーから姿を消した。沖縄から帰った信吾は、弓子の家を訪ずれたが、母を亡くした弓子はもういなかった。弓子をさがして大阪の街をさまよう信吾。ある日、テルは淋しく舗道を行く弓子をみつけた。テルのはからいで今は沖縄にいる信吾を訪ずれた弓子を、信吾はやさしく迎えた。