「挑戦」より 愛と炎と
劇場公開日:1961年6月17日
解説
石原慎太郎の『挑戦』を、「胎動期 私たちは天使じゃない」の新藤兼人が脚色し、「みな殺しの歌より 拳銃よさらば!」の須川栄三が監督したもので、中近東ロケを行なった。撮影は「暗黒街の弾痕」の小泉福造。
1961年製作/98分/日本
原題または英題:Challenge to Live
配給:東宝
劇場公開日:1961年6月17日
ストーリー
極東興産の営業部員伊崎は、戦争中スラバヤ沖海戦で重傷を負った社長沢田の息子恭に頼まれて彼を安楽死させた。この行為は、伊崎から生きる情熱を奪わせた。恋人の内海和子は自殺した。徳山支社に左遷された伊崎は地元の芸者と無理心中を図った。社長秘書の高峰啓子は、彼の投げやりな情熱をののしった。沢田社長と総務部長の川中は、伊崎に最後のチャンスを与え、本社に転勤を命じた。退屈に身を任せた伊崎は連日酒をあびた。そんな伊崎に、愛の傷痕にうずく社長令嬢の早枝子は興味を抱いた。伊崎も早枝子の中に死んだ恭の面影を見出した。極東興産では、連夜石油買付け問題で会議を開いた。「安い石油を買うには石油国有化を宣言したアラク以外にはない」と伊崎は主張した。皆に冷笑されたが、沢田だけは注目した。伊崎の心は石油の豊庫アラクにとんだ。動乱のアラクはさすがに不気味だった。沢田と伊崎は、エフラン販売委員と協定を結んだ。帰国した伊崎は、早枝子の前で血を吐いた。伊崎は再度船でアラク行きを主張し、帰国してから結婚しようと言った。早枝子には、仕事に身を賭けた伊崎が遠いもののように思われた。伊崎を臨時事務長とする極東丸は、船員たちの不安と焦燥をよそに、一路アラクに向った。伊崎はアラクの国旗がうずまる中でエフランと再会し抱き合った。石油を満載した極東丸がスンダ海峡の近くにきた頃、伊崎ははげしく咳こんで死んだ。その頃、洋上を飛ぶフランス行飛行機の中から、早枝子は伊崎のライターを洋上に落した。