あの波の果てまで
劇場公開日:1961年4月16日
解説
大林清のNET連続メロドラマの映画化。「続こつまなんきん お香の巻」の富田義朗と「禁男の砂 真夏の情事」の芦沢俊郎が脚色し、「真昼の罠(1960)」の八木美津雄が監督した。撮影は「愛する(1961)」の舎川芳次。
1961年製作/97分/日本
原題または英題:Far beyond the Waves/A Pearl in the Waves
配給:松竹
劇場公開日:1961年4月16日
ストーリー
志摩の真珠業者江沢庄造の娘千秋は、東京遊学から帰った。父の事業は昔の使用人三田村にのっとられ、家は窮迫していた。そのうえ彼女は実母と信じていたさとが継母で、本当の母は美奈子といい、北海道にいるのを知った。恋人の真珠研究所技師佐竹竜一とわかれ、千秋は研究所長稲見に見送られ上京した。磯貝真珠店に働くうち彼女は店主に乱暴されそうになり、バー“ボルガ”のマダム新子に助けられた。彼女は千秋の実の母の親友であった。新子に教えられ、千秋は北海道に行って母と会った。母は土建業を営む鵜川に囲われている身で、千秋の心は裏切られた。帰京した彼女は旅行中知りあった池尻勉が事務局長をやっているチャーム・スクールに勤める身となった。その頃、志摩から恋人佐竹が友達の馬渡と上京したが千秋は少しも知らなかった。佐竹は稲見所長の旧友の娘蘭子にしつこく求婚されていた。志摩の千秋の家業が赤潮害をうけ、彼女は父のために、援助を申しでた池尻の結婚の申しこみに心を動かされた。そんなある日、奇しくも千秋と佐竹は偶然に会った。しかし二人の間には何か一つの溝ができてしまっていた。「お帰りになって、私は近く結婚します」と千秋はわざと冷たくいった。佐竹は去っていった。翌日、千秋は犬吠岬から身を投げ自殺を計った。ちょうど上京していた母の美奈子が彼女のもとに急ぎ、二人はひしと抱きあった。母と娘の心は、はじめて真実に結ばれた。けれども、佐竹と池尻の間にはさまれた千秋の心は、まだ暗い思いに沈んでいた。