右門捕物帖 南蛮鮫
劇場公開日:1961年1月15日
解説
佐々木味津三の原作を、「鉄火大名」の鈴木兵吾が脚色し、「嫁さがし千両勝負 恋しぐれ千両勝負」の小沢茂弘が監督した、大友柳太朗の右門シリーズの一編。撮影は「海賊八幡船」の伊藤武夫。
1961年製作/87分/日本
配給:東映
劇場公開日:1961年1月15日
ストーリー
三代将軍家光の頃、江戸の巷に次々に起る連続侍殺し--一見絞殺風の首筋に残る針先ほどの傷、右手に握られた金槌と三寸釘、目前の杉の大木に釘づけされた呪いの人形。同心あばたの敬四郎に邪魔きれながらもむっつり右門の活躍がはじまる。上野天海寺に、江戸の丑の刻まいりの場所をききに行った右門は、侍の一団に追われている美しい武家娘千鶴を救った。追っている侍の首領株は数日前、自称すりの与吉と名のる男を追い廻し、右門に痛めつけられた男だった。以前与吉は右門の宅に押しかけ居候をきめ込んでいた。五つの丑の刻まいりの場所のうち、湯坂坂下の三又稲荷に張込んだ右門だが、事件は本所四つ目生理行者で行われた。得意のあごをなぜながら、呪いの対手を考えていた右門はハッと気が附く。斬れない対手、それは殺された侍たちの主君、右門の心服する松平伊豆守の御舎弟巳年二一歳の信州松本藩主、水野甲斐守信之とわかったからだ。松平邸に出向いた右門の前に、伊豆守の顔は暗かった。伊豆守の政敵、士井大炊頭が、水野家の内紛を嗅ぎ出し、伊豆守の失脚を狙っているのだ。その夜水野の上屋敷に忍び込んだ右門は、木立にうずくまる与吉と、与吉や千鶴を襲った侍が水野家の家臣であることを発見する。おしゃべり伝六の働きで千鶴の身許がわれた。千鶴の父は悪人にしりぞけられた水野藩の家老村井信濃。千鶴は、乳母の娘、曲芸師のお花と共に、病身の信濃にかわり、主君信之の生命を守るために活躍していたのだ。丑の刻まいりの満願の日、自分の不義の子を跡目にしようとする悪家老右京之亮の配下は、一挙に立ち上った。それを阻止する千鶴とお花。だが女の細腕で、二人が危機におち入った時、さっそうと飛び込んだ右門の草加流、錣正派。とって返した右門の活躍は、信之、伊豆守の前で主君調伏の罪で断首されんとしている村井信濃を救い、右京之亮を斬りすてた。かくてお家は安泰、与吉こと、大炊頭の隠密千間小次郎も、右門の心意気と、芽生えたお花との恋に、新しい生活へと出発した。