慕情の人(1961)

劇場公開日

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解説

井上靖の『揺れる耳飾り』を、岡田達門・田波靖男が脚色し、「駄々っ子亭主 続姉さん女房」の丸山誠治が監督したメロドラマ。「金づくり太閤記」の太田幸男が撮影した。

1961年製作/96分/日本
原題:Love and Fascination
配給:東宝

ストーリー

夫の死後、義母松江と義妹靡沙子のために都心のビル地下街にある運動具店を経営している耿子は、夏の一日伊豆の別荘に遊んだ。先に来ていた靡沙子は、海岸で知りあった画家の卵加納に求婚されたことを告げた。翌日、耿子は加納に会った。加納は靡沙子に対する卒直な愛を告白したが、心の底では耿子の美しさに息をのんだ。夫の友人である石野は、戦後、耿子を助けて運動具店の支配人となっているが、耿子をひそかに愛しており、耿子も石野に惹かれていた。耿子の誕生日の夜、銀座の喫茶店に連れだって現われた石野と耿子は、靡沙子と加納に会った。石野を慕う靡沙子は、耿子を無理矢理加納に合わせ、石野に嘘を言って耿子と離した。街角でたたずむ耿子は待ちぼうけをくった。翌日、石野は事情を話して耿子に詑びたが、耿子は冷たかった。石野は一人淋しく酒を呻り、前から友人に誘われていたブラジル行きの話を真剣に考えだした。石野と耿子の溝はますます深くなっていた。耿子は重くるしい空気から脱れるために、商用を兼ねて信濃路に旅立った。その彼女を追って加納も同じ汽車に乗った。だが浅間温泉についた耿子を待っていたのは店の近所に火事があったという新聞記事だった。耿子は急拠東京へ引返した。石野と耿子の間はいよいよ絶望になった。石野はついにブラジル行きを決意耿子に告げた。その夜、耿子は燃え上る石野への慕情を胸に誕生日以来はじめて二人きりで銀座を歩いた。石野は正月を過す下田の宿へ耿子を誘った。下田の宿へ耿子が思い切って訪ねてみると、石野は不在で靡沙子がいた。彼女も石野を追って来たのだ。美しい義姉妹は、石野をめぐってついに対立した。靡沙子は姉を瞶めているうちに自分がはっきりと敗北したことを覚った。その晩、石野と耿子は結ばれた。しかし、耿子は石野なきあとの店と自分を頼る義母のため、石野について行けない自分を感じていた。石野をブラジルへ送る歓送会の夜、石野は靡沙子にひすいの耳飾りを送った。それは若い彼女によく似合った。石野は、耿子に「君には何も送らない。だが向うについて生活のメドがついたら必らず迎えに来ます」と言った。ブラジルへ飛立つジェット機を見送る耿子に靡沙子は明るく言った。「お店は私がやります。お姉様は石野さんに差し上げます。頂いた耳飾りのお返しに--」。

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