誰のために愛するか

劇場公開日

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解説

原作は、発売後一年足らずで百五十万部を超えるベストセラーになった曽野綾子の同名エッセイ集。映画は、その中心読者となっている平均的な若い女性を主人公に設定し、そのヒロインの悩みや苦しみを通して、原作の母と娘の愛、娘と既婚の男性との愛といった5つの愛の問題をドラマの中で分析していこうというもの。脚本は「奇妙な仲間 おいろけ道中」の鎌田敏夫。監督は「その人は女教師」の出目昌伸。撮影は「若大将対青大将」の原一民がそれぞれ担当。

1971年製作/96分/日本
配給:東宝

ストーリー

師走の銀行は、まるで戦場のような忙しさだった。入金伝票の整理をしていた宮井朋子は、課長からエリート社員の高木を紹介され、正式な交際を申し込まれた。朋子は正月休みを故郷で過すため、甲府へ帰った。夫と別居して、小さな飲み屋で細々と暮す母君代だったが、朋子はその窮状をみかねてよく父の許を訪ねた。別居の原因となった愛人はいまは病死して亡く、父はホテルの支配人をしていた。正月、朋子は熱を出して医者を呼んだが現われたのは幼馴染みの元木敬介であった。敬介には妻子があった。東京に帰った朋子は高木から毎日のように誘いをうけた。そんなある夜、敬介が朋子の帰りを待ちうけていた。はじめての男の訪問者に朋子は困ったが、ごろ寝をきめこんだ敬介の横で膝を抱いて、自分も眠った。朋子は下田の高木の生家に招かれた。一家は彼女を我が家のものとして迎えた。翌日、朋子は高木と連れだって訪ねた石廊崎で、水商売の女とたわむれる敬介を見て、なぜか傷つけられるのを覚えた。しかも敬介の転任を彼の口からきいたのはその直後だった。二人は会うことにした「私結婚するのよ」「会えないな、もう」。思わず朋子は涙を流した。敬介は驟雨の中で朋子をしっかり抱いた。朋子は風邪で銀行を休んだ。荒々しい勢いでやってきた高木は、朋子に侮蔑の言葉を浴びせて、去っていった。だが、朋子は不思議と何の感動もなかった。数日後、朋子は会津の山奥に敬介をたずねた。そして、出迎えたその妻と娘の顔が自信と幸福に輝いているのを見た時、敬介の面影が次第に薄れていくのを感じた。降りしきる雪の中で、朋子は敬介と出会ったが、何も言わずに別れた。涙がとめどもなくあふれてきたがそれは胸の奥底から湧きあがる熱い涙であった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

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