怪談累が淵(1970)

劇場公開日:

解説

人間誰しも持つ金と女への欲望、それが少し多かったばかりに巻き起る血みどろの争い。脚本は「秘録怪猫伝」の浅井昭三郎、監督は「二代目若親分」の安田公義。撮影は「玄海遊侠伝 破れかぶれ」の牧浦地志。

1970年製作/82分/日本
原題または英題:Masseur's Curse
配給:ダイニチ映配
劇場公開日:1970年6月20日

ストーリー

その夜、針医の宗悦は旗本深見新左エ門に借金をとり立てに行き、殺された。新左エ門は酒と博奕に身を持ち崩し、果ては召使いのおくまを妾同然に、放蕩の限りをつくしていた。宗悦のしつこい催促を機会とばかり、邪魔になってきた妻・沢野もろとも罠にかけ、一刀を浴びせた。宗悦の懐ろから三十両入りの財布を掴みとるや二人の死体を遊人の甚蔵と仙太を使って、累が淵に捨てた。同じ夜、新左エ門は沢野と宗悦の幻影に責められながら、自らの体中を斬りきざみ、異常な死をとげた。その死骸から震える手で宗悦の財布をつかむおくま。宗悦には二人の娘がいた。お園はおとなしい娘で宗悦の面倒をみていたが、甚蔵と仙太に地獄宿に売りとばされた。一方姉のお志賀は宗悦の隠し金を見つけ出し料理屋春駒の女将の座におさまった。新左エ門の子、新五郎は無頼の徒に身を投じていたが、おくまから財布を奪うと姿を消した。やがて春駒でお志賀に出会った新五郎は、その豊艶な魅力のとりこになり、お志賀もその男振りにのぼせていった。宗悦の亡霊がお志賀をたずねてきた翌昼、宗悦と沢野の腐らん死体が上った。新五郎は夜鷹におちぶれたおくまに出会った。そして金をかえせとむしゃぶりつくその脳天を石で叩き割った。地廻りのやくざの追跡をのがれた新五郎は地獄宿で一人の女郎を抱いたが、女は氷のように冷たかった。そして障子にうつるあんまの影、新五郎は気味悪さを感じて逃げ出した。女郎は駆けこんできたやくざの新五郎の素性、宗悦のことなどに関する会話を耳にすると、首をくくって死んだ。お園の変り果てた姿だった。一方、お志賀に春駒を奪われたお関の執念は、お志賀の顔に熱湯を浴せ、それは二目とみられないものとなった。当然、新五郎の心は春駒の女中お久へと移った。嫉妬に狂うお志賀は、お久に迫ったが新五郎に殺された。お久を連れて霧雨に煙る夜道を逃げる新五郎にお志賀と宗悦の幻影がしつこくからみついてきた。あげくの果てに新五郎はお久までも斬ってしまい狂気の如くもがくその足は累が淵の探間に沈んでいった。

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