あつい壁

劇場公開日

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解説

昭和二八年に熊本で起きた黒髪小学校事件を骨子に、一市民一家の悲劇を通して、ハンセン病への偏見と差別を告発した作品。脚本・監督は新人の中山節夫。撮影は内田周作が担当。

1970年製作/95分/日本

ストーリー

昭和二十八年の夏。岡本初江が勤めている熊本のある小学校。彼女の担任の五年生に太田信次という陽気で、快活な少年がいたが、彼の父親がある日意外にもハンセン病の診断をくだされ、ライ療養所「恵楓園」に収容されたために、信次の家庭は音をたてて、崩壊しはじめた。やがて、兄の信夫は、町のパン工場で働きながら、夜は定時制高校に、通うことになり、弟の信次は吉田寮の分教場で、老教師上条先生らと共にみじめな環境にもめげず、活路を見出して行く。やがて年が明け、その分教場の三人の新しい一年生が本校の西町小学校に入学できるようになったことから、PTAでは、これらハンセン病患者の子“未感染児童”の入学問題をめぐって、賛成派と反対派に真ッ二つに割れ、反対派が強行した同盟休校の騒ぎは、波紋を市全体へ拡げた。その西町小学校に転勤してきた岡本初江はこの不幸な子らのために何をなすべきかを考えるうちに、次第に教師として目ざめていくのだった。そして、この厚い壁につきあたって悩む初江を力づけるのは、同志の石川先生や、同窓の親友で今では辺地の小学校で教師をしている雅美だった。争議が外形だけはどうやら解決したころ、母親雪乃に再婚話がもちあがる。それは、信次には納得の出来ない第二の悲劇として、彼の子供ごころを突き刺した。苦しみは兄の信夫にも訪れた。パン工場の労使間の争いにまきこまれ、ハンセン病患者の子であることを隠していた信夫は、そのため窮地に追いこまれてしまった。その時、信夫は信次の突然の死を知らされた。電車に轢かれた信次の死体は恵楓園の霊安室に運ばれた。通夜の夜、「信次の死は事故かも知れん、自殺かも知れん、しかし本当は殺されたんだ。私も信次を殺した一人なんだ」と自己批判する上条先生。そのしみじみとした言葉を噛みしめながら、初江はまた明日から始まる教師としての生活に雄々しい心で戻ってゆくのだった。

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