私の中の娼婦
劇場公開日:1984年11月3日
解説
妻を失った男と、夫を亡くした女の倦怠的な関係を描く。脚本は「団地妻 ニュータウン禁猟区」の西岡琢也、監督は「のぞき」の武田一成、撮影は「お葬式」の前田米造がそれぞれ担当。
1984年製作/69分/日本
配給:にっかつ
劇場公開日:1984年11月3日
ストーリー
小さな温泉街に風呂敷包みを抱えた黒田という男がやって来た。亡くなった妻の遺言「海に骨を流して下さい」を実行しに来たのだ。妻の郁子は黒田にあき足らず、他に男をつくり、そのマンションで死んだ。黒田の泊った民宿の娘、千加は彼に関心を抱く。黒田は舟が手配されるまでの数日間、その街に滞在することにする。そして、スナックを営む桂子と知り合った。東京にいた桂子も夫を失っており、そのことを忘れるために、この町に流れて来た。桂子は男を家に引き込んでは欲望を満たしている。似た境遇の二人が関係を結ぶまでには時間がかからなかった。ある夜、千加が若者たちに犯されているとき、黒田が通りかかる。千加は表面ではツッパリながらも、内面は寂しがりやで、黒田に父に似た感情を抱く。千加は黒田の留守に風呂敷包みを開き、彼がこの町に来た訳を知り、また、今、黒田と桂子が関係していることも分った。千加は桂子に郁子の遺言を見せ、「あんたは亡くなった奥さんの代りよ」と言った。桂子は、黒田の前で郁子の遺言を読んだ。自由奔放に、女の持つ娼婦性のおもむくままに男を迎え入れる桂子の淫乱さに、黒田は郁子の面影を見た。黒田は桂子の首をつかむと絞めつけた。舟が見つかり、黒田は郁子の骨と桂子の屍を乗せ、仲に流した。黒田は舟に火を放つ。赤赤と燃える舟は沖へ沖へと流れ、小さくなっていく。浜では黒田と千加が船を見つめていた。