ヒットラー青年

解説

ナチス宣伝映画としてウーファが作ったもので、シェンチンガー作の小説より氏自ら「銀嶺征服」のB・E・リュトゲと共同脚色し、ハンス・シュタインホフが監督に当り、「月世界の女」「予審」のコンスタンチン・チェットが撮影した。出演者は少年俳優として知られているロルフ・ヴェンクハウス、「西部戦線一九一八年」「火の山」のクラウス・クラウゼン、「旅愁」のハインリヒ・ゲオルゲ「人間廃業」「予審」のヘルマン・シュピールマンス等が主なもので、ヒットラー青年団長フォン・シラッハ氏指揮の下にヒットラー青年団、少女団が援助出演している。なお歌詞もフォン・シラッハ氏が書いたものである。

1933年製作/ドイツ
原題:Hitlerjunge Quex

ストーリー

少年工のハイニーは共産党集落ボイゼルキーツに生れ、育った。父親は型通りの飲んだくれの失業者、母は気弱な亭主思いだ。だからハイニーが稼いで来る僅かな賃金は父親の酒代になるばかり。しかしハイニーは快活で敏捷だ。それに目をつけた共産党のオルグ、ストッペルは彼をゼディ湖畔のキャンプに連れて行った。それは毎夏共産党が催す宣伝旅行の天幕生活だった。ハイニーは快活に泳ぎ、走って廻った。彼に我慢出来ないのは共産青年達の無秩序と不潔さだった。ある夜彼が酒に酔って騒いでいる仲間の天幕を抜け出て湖の周りを散歩していると、彼方の赤い炬火の明滅するあたりから力強い合唱の声が聞こえた。それはヒットラー青年団員の合唱だった。ハイニーは何かしら未知の世界を覗いた様な恐怖心と好奇心とを同時に経験した。その歌声は天幕旅行から帰ってからもハイニーの耳裡に残っていた。そしてその団歌を持つ団隊のことを彼は色々と空想した。やがて彼はそのヒットラー青年団の団長と知合いとなった。しかし共産党集落出身の彼はスパイではないかと疑われ、幾度かの試練を課されて後、漸く団員となった。団員達は敏捷なハイニーを水銀と呼んだ。彼がレポとして活躍するようになってから共産党集落の情勢は浄玻璃に映るごとくヒットラー青年団に分明となり、共産党のあらゆる陰謀を粉砕することが出来た。同時にボイゼルキーツは恐慌を来し、ハイニーが疑われるようになった。気弱な母親は息子の身を案じてガス自殺を遂げてしまった。総選挙が近づいて共産党集落にヒットラー党の宣伝チラシを撒くという大胆な計画が立てられた。その役を水銀のハイニーが引受けた。彼はチラシを持ってボイゼルキーツに潜り込んだ。しかし水銀は二度と姿を見せなかった。彼はヒットラー党の為に命を捧げたのである。

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