ブルグ劇場

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解説

「マヅルカ」「ひめごと」に告ぐヴィリ・フォルスト監督作品で「ひめごと」と同じくフォルストがヨッヘン・フートと協力して脚本を書卸したものである。主演者は「第二の人生」及び未輸入の「ヨルク」以来トーキー出演三回目のヴェルナー・クラウスで、劇界から来た新人女優ホルテンセ・ラキイ、「たそがれの維納」「ペーア・ギント」のオルガ・チェホーワ、カール・エスモンドの名で「夕暮れの歌」「花咲く頃」に出演したヴィリー・アイヒベルガー、「たそがれの維納」「郷愁」のハンス・モーザーが共演するほか、カール・ギュンター、ヨゼフィーネ・ドラ等が助演している。撮影は「ひめごと」のテッド・パールの担当で、音楽は「マヅルカ」「ひめごと」のペーター・クロイダーが受け持った。

1936年製作/122分/ドイツ
原題:Vienna Burgtheater/Burgtheater

ストーリー

十九世紀末のウィーンに歴史と伝統を誇るブルグ劇場の名優フリードリッヒ・ミッテラーは、舞台の名声に引換え家庭ではプロムプターのゼードルマイヤーと二人で淋しく暮らしていた。劇場の支配人から聞いて、ミッテラーの秘かに帰る馬車へ乗り込んだのは社交界に名高いゼーバッハ男爵夫人である。彼女はあらゆる宴席に顔を見せないミッテラーを、自分の夜会に呼び寄せようと招待券を送った。次の日、珍しく町を散歩していたミッテラーは、鐘の声に誘われて這入った教会の中で若く美しい娘を見た。彼はその面影を忘れかねた。この娘はゼードルマイヤーの知り合いである仕立屋の娘レニだった。ミッテラーはこの日から、不用の服を注文して幾度もこの家を訪れた。レニには燃えるような情熱で舞台を夢みている二十三才の恋人ヨゼフ・ライナーがあった。或日ミッテラーの許へ服を届けに行ったレニは、机の上にゼーバッハ夫人からの招待状があるのを見た。夫人のお声掛かりがなければ、当時ウィーンの劇壇で役につく事は容易でない。レニはそれを盗んでライナー当てに書き換えて投函した。訳を知らぬライナーは有頂天になって男爵夫人の家へ行った。ミッテラーの来る事を予想していた夫人は、見知らぬ青年を見て狼狽したが、それを押し隠して客に向かい、有望な新進俳優として一同に紹介した。こうしてライナーはブルグ劇場の桧舞台で次第に地位を得て行った。夫人も何時しかこの青年に心を惹かれて行くのだった。ミッテラーは父に甘えるようなレニの心を自分に好意を持つのだと誤解した。彼は舞台を退いてレニと家庭を持とうと考えた。そして次の芝居でライナーが主役に選ばれたが、彼と夫人の噂を嫉妬した男爵は、遂に酒場でライナーと争いを起こし、その為に彼は劇場から馘首された。レニは楽屋に最後の舞台と決心して演技を終わったミッテラーを訪れ、ライナーを救ってくれと泣いて頼んだ。ミッテラーは初めてレニの本心を知った。彼は重い足取りで暗い舞台を横切って帰ろうとした時、舞台に投身して自殺しようとするライナーを救った。その夜限りライナーは劇場から姿を消した。ミッテラーは引退を取り消して、再び舞台で十八番の「ファウスト」を熱演した。遥かに遠い大衆席から、彼の名演技を見つめているのは、レニとライナーであった。

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映画レビュー

4.0舞台で名演を見せても人生の舞台で躓く名優の悟り

Gustavさん
2020年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ヴィリ・フォルスト監督では「未完成交響楽」の方が有名であり高く評価されているが、個人的にはこの「ブルグ劇場」により深く感銘を受けた。主人公は、ブルグ劇場で(ファウスト)の主役を永く務める初老の役者。演技一筋に精進を重ね名実ともに名優として舞台に立つも、私生活はそれに反して質素なもので本気の恋愛経験もない。そんな彼が若い女性に恋をすることから始まる、演劇界のバックステージものの教訓映画。男女関係に疎い名優の苦い失恋を描く。フォルスト監督のユーモアとシリアスなタッチの絶妙なバランスで、年甲斐もなく恋に夢中になる名優の悟りの境地が劇的に描かれている。そこには、若い時に真剣な恋愛を経験しないで年だけ取ると痛い目に合うことを丁寧に教えてくれる、人生ドラマの重さと皮肉がある。

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Gustav
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