思い出の曲

解説

「第九交響楽」でデビューしたデトレフ・ジールクが監督したミュージカル物で「ハンガリア夜曲」「未完成交響楽(1933)」のマルタ・エゲルトが「乞食学生」のヨハネス・ヘースタースを相手に主演する映画。助演俳優は「女ひとり」「未完成交響楽(1933)」のオットー・トレスラー、「北京の嵐」のハーバート・ヒュブナー、「怪人マブゼ博士(1932)」のルドルフ・クライン・ロッゲ「会議は踊る」のアルフレット・アベル、「第九交響楽」のクルト・マイゼル、「囁きの木蔭」のエドウィン・ユルゲンセン、ハンス・リヒター、フロキーナ・フォン・プラーテン其の他である。原作はパウル・フェアヘーフェンとトニ・イムペコーフェン合作の舞台劇で、ジールクとフランツ・ワルナー・バステが協力して脚色した。キャメラはフランツ・ワイマイヤーの担当。音楽はエトムント・ニックが書いているが、ロベルト・シューマン、フェレンツ・フェッセイの曲が各一曲取り入れられている。

1936年製作/85分/ドイツ
原題:Das Hofkonzert

ストーリー

セレニスムス侯が二十年も続けて催す音楽会の季節、五月が来た。予定した歌手に故障があったので、ミュンヘンの若く美しい歌姫ベロッティの許へ使者が立った。それと入れちがいに一台の旅行馬車が国境へ到いた。警備の任にあるアルネック大臣の令息ワルターが扉を開くと、饒舌なコルセット売りと同乗していたのは、花の様に美しいクリスティネという娘だった。彼は一目で恋をした。そしてコルセット売りが予約しておいた旅館の部屋まで彼女に与えたため、真っ赤に怒ったコルセット売りが彼女を罵るので、ワルターはクリスティネを自分の婚約者だと出たらめを云ってしまった。大臣の御令息ともあろう方が、あんな素姓の卑しい女を嫁にするとは心得ませぬ、あの娘の母は歌手で、その遺言によって未だ見ぬ父を尋ねに此の国へ参った由、いわばあの娘は父なし児と、コルセット売りが噂を撒いて歩いたため、それは忽ち父大臣の耳に達した。ワルターと楽しい日を送っていたクリスティネに退去命令が下った。彼に連れられて国境へ来ると、ミュンヘンから使いの馬車が帰って来た。迎えに行った歌姫は何処かへ旅行中だとの話を聞いたクリスティネが、実は私こそ芸名をヴェロッティと云う歌姫だと名乗ったので、彼女は忽ち侯爵の賓客として花々しく迎えられた。彼女は街はずれの陋屋の詩人クニップスを訪れた。母が与えた楽譜の歌詞はこの詩人の作なのである。クリスティネは父の名を訊ねたが、さる身分の高いお方としか教えてくれない。役所へ行っても同じだったが、役人が彼女に暗示した名はアルネック大臣だった。クリスティネは青ざめた。恋人ワルターは自分の兄ではないか。重い心を抱いて彼女は音楽会へ出た。侯爵は彼女の歌に聞き入りながら廿年前の追想にふけっていた。その時と同じ声、そして同じ顔。やがて人なき一室で侯はクリスティネと向き合った。「私の父はアルネック大臣で御座いました」と彼女は涙ながらに云った。「いや、いや」と侯は打ち消した。「もっともっと高位の人だ」クリスティネは驚いて侯を見上げた。彼の眼には涙が光っている。クリスティネは父の胸にすがりついた。

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