紅はこべ

解説

「痴人の愛」「戦線の嵐」のレスリー・ハワードが「ドン・ファン」「シュヴァリエの巴里っ子」のマール・オベロンと主演する映画でオルツィ男爵婦人作の有名な伝奇談に基き「維納の再会」の原作者ロバート・シャーウッドが「ヘンリー八世」のアーサー・ウィンペリスと協力して脚色し、フィルム編集者だったハロルド・ヤングが抜擢されて監督に当り「猫と提琴」「宝島」のハル・ロッスンが撮影した。助演者は「魔の家」のレイモンド・マッセイ、「ドン・ファン」のジョーン・ガードナー及びメルヴィル・クーパー、「月光石」のアンソニー・ブッシェル、「虚栄の市」のナイジェル・ブルース、O・B・クラレンス、ワルター・リラ、ブラムウェル・フレッチャー等。

1934年製作/イギリス
原題または英題:The Scarlet Pimpernel

ストーリー

西暦一七九二年、フランスはロベスピエールの専制政治の下に世に言う暗黒時代を現出して、パリでは毎日多くの老若男女の貴族が断頭台の露と消えて行った。この間にあって「紅はこべ」と名乗る指揮者を持った一隊が巧妙な変装術と出没自在の早業で、こうした貴族の犠牲者達を救い出しては英国へ亡命させるのであった。トウールネエ伯爵一家も断頭台へ護送される途中を「紅はこべ」一党に救い出されて無事にドーヴァ海峡を渡る事が出来た。ロベスピエールは躍起となって「紅はこべ」の正体を追求していたが、英国の上流社会の一紳士であると言う事の外は容易に判然せぬので英国に派したシーョヴランに首をかけても「紅はこべ」を捕える事を厳命した。英国の社交界で非常なお洒落であるより外に能がないと言われているパーシイ・プレイクニイ卿が当時大評判の「紅はこべ」である事は妻のマルグリットさえ知らなかった。彼女はフランスの女優の出で、かつてジョーヴランの術策に乗りサン・ジュスト侯爵一家をロベスピエールに売った事実を夫に知られて以来、日増しに夫婦の間が冷たくなって行くのをいぶかしくも、又悲しくも思い、弟アルマンの渡英を唯一の楽しみにしていた。しかしアルマンは「紅はこべ」の仲間としてパリで捕えられ、ショーヴランは彼の助命を餌にして再びマルグリットに「紅はこべ」の探索を引き受ける事をせまった。遂にグランヴィル卿の夜会でマルグリットは「紅はこべ」の手がかりをショーヴランに与えたが、その翌日パーシイがアルマンを救いにフランスへ出発した後で、彼女ははじめて愛する夫が「紅はこべ」である事実を知り夫の危急を救おうと海峡を渡った。「紅はこべ」の会合所であるプロインの船宿でマルグリットとショーヴランの率いる兵士の一隊とパーシイとが落ち合っていよいよ「紅はこべ」もショーヴランの罠に落ちたように見えたが、パーシイの沈着な処置に依って兵士の一隊は「紅はこべ」の一党と変っていた。永い間のわだかまりもとけたパーシイとマルグリットは楽しく二人で船上から英大陸の近ずくのを見守っていた。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

映画レビュー

映画レビュー募集中!

この作品にレビューはまだ投稿されていません。
皆さまのレビューをお待ちしています。
みんなに感想を伝えましょう!

レビューを書く