女の心

解説

エリザベート・ベルクナーの第一回トーキー出演映画で、「夢見る唇」と同じくベルクナーがルドルフ・フォルスターを相手役として主演し、パウル・ツィンナーが脚色並に監督したものである。原作はフランスの文人クロード・アネの小説で、それを「夢見る唇」と同じくカール・マイヤーが改作した。撮影はアドルフ・シュラジィの担任で、助演者の主なる者はヘルタ・グートマール、アンネマリー・シュタインシーク、アルフレッド・ゲラッシュ、等の人々である。

1931年製作/ドイツ
原題または英題:Ariane

ストーリー

アリアーネ・クスネツォワは若いロシアの娘である。彼女はテューリッヒの伯父の家にいて同地の女学校を卒業したが、更に世の中の事を広く知るために同地を後にしてベルリンへ上って行った。もっとも、彼女が伯父の家にいた時に、父から結婚勧誘の手紙が来たが彼女はそれを一笑に附したし、それから伯母の許へよく訪ねて来る医者から恋を打開けられた時にも、それを直ちに突っぱねたのである。ベルリンへ着いてからアリアーネは数学の勉強をした。所が、或る晩、彼女は歌劇場でコンスタンチン・ミハエルという実業家と知り合いになった。ミハエルは己れの欲するものは何でも必ず手に入れるという意力の強い男であった。そして彼は女に強い力を以て働きかける男であった。だが、彼は未だ男を知らぬ娘はその遊びの対象には選ばず、既に世なれた女をその遊びの相手にするのであった。ミハエルに心惹かれたアリアーネは、斯くして己れの処女である事を隠して、ミハエルの申出に従う事となった。それは、二人が会った時だけを互いに楽しみ、時が来て別れるとなっても悔いを跡に残さぬという約束であった。それからミハエルは忙しい各地を飛び廻る商用の間々、ベルリンへ来ると彼女と逢っては遊ぶのであったが、この総ての女を知り尽くしたと見えていたミハエルも、いつしかアリアーネに逢う毎に今までには感じなかった心の動きを覚える様になって来た。そして、彼はアリアーネがさまざまに作って話す彼女の昔の恋物語を聞くと嫉妬を感ずるのであった。その後、二人はイタリアに共に旅して恋の悦楽に耽ったが、ミハエルは商用の急電が来ると、早々にして彼女を残して去ってしまった。これがアリアーネの心を傷けた。だが、それと同時に彼女は恋の苦しみを覚えたのである。で、また二人がベルリンで逢った時、二人の間にはいよいよ最後のどたん場が来て、別れるか別れぬか、というせっぱ詰った所まで来てしまった。ミハエルとしては此処でアリアーネと永久に別れてしまう覚悟だった。だがその彼もアリアーネが彼に逢う前は男を知らなかったと彼女から始めての告白を聞かされた時には、その心が大きく動揺した。で、停車場でミハエルは一人で汽車に乗ったのであるが駅頭に彼を見送って淋しく立つアリアーネの姿を見た時に、彼は思わず走り出した車扉を開いて彼女を中へ抱き入れたのであった。

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