ミス・ヨーロッパ

解説

「ル・ミリオン」「自由を我等に」の作者ルネ・クレールの原案により「姫君は文士がお好き」「シラノ・ドウ・ベルジュラック」の監督者たるアウグスト・ジェニーナがその第一回トーキー監督作品として作った映画で、ルイズ・ブルックスが渡仏して「パンドラの箱」「倫落の女の日記」に次いで主演したものである。助演者は「港町にて」のジョルジュ・シャルリア、「ムーラン・ルージュ」のジャン・ブラダン、「剣の栄冠」のガストン・ジャッケ等である。キャメラは「吸血鬼」「裁かるゝジャンヌ」のルドルフ・マテとルイ・ネ両氏の担当。H・シェペールが伴奏を受持っているほか、「世界のメロディー」のヴォルフガンク・ツエラーを始めルネ・シルヴィアノ及びシェペール自身がこの映画の為めに作曲をしている。

1930年製作/フランス
原題または英題:Miss Europe Prix de Beaute

ストーリー

パリグローブ新聞社のタイピストたるリュシエンヌは同じ社の植字工アンドレと恋仲であっったが、アンドレは実直な男で二人で固い夫婦生活に這入ろうと思っていた。所が、サン・セバスチャンでミス・ヨーロッパの美人選出会があると聞いたリュシエンヌは冗談半分に自分の写真を係りに送って見た。すると案外、彼女はミス・フランスに選び出され、フランス美人の代表としてサン・セバスチャンに行く事となった。サン・セバスチャンでの美人選出の会にリュシエンヌは晴れがましくもミス・ヨーロッパの栄誉をかち得た。が、この栄誉も時の間だった。再びリュシエンヌがパリに帰って来た時は彼女は単なる一人の女にしか過ぎなかった。生活は再び昔に返った。そして彼女はアンドレと一緒に暮らす事になった。それは貧しいけれど堅気な暮らしだった。が、家事を手伝う彼女は時として昔の夢の様だったミス・ヨーロッパの自分を想い出したりした。そしてミス・ヨーロッパとしてサインを求めて送って来る彼女の写真には念入りなサインをした。それがアンドレを苛立たせた。そうしている内にサン・セバスチャンで彼女と知合いになったグラボヴスキー大公が一日彼女を訪れ、或る映画会社にスターとして出演する事を懇望した。リュシエンヌはアンドレの反対を押し切って再び昔の華かな己れを見たさに映画に出演する事を承諾した。で、そのフィルムの試写の日、スクリーンの上で華かに歌う己れの姿を見ながらリュシエンヌは本当に幸福に包まれていた。が、その際、棄てられたと誤解したアンドレが試写室に忍び寄り、彼女めがけて拳銃をはなった。斯うしてリュシエンヌは果敢なく死んで行った。が、その冷く白い彼女の面を外に、スクリーンの上では、なんと、リュシエンヌは華かに歌い続けているではないか。死んだ真と、歌っている幻と。

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