帰郷(1928)

解説

「アスファルト」「ヴァリエテ」と同じくエリッヒ・ポマー氏指揮になった作品でドイツ新進作家レオンハルト・フランク氏の原作舞台戯曲『カールとアンナ』に材を取りフレッド・マヨ氏とフリッツ・ヴェンドハウゼン氏が脚色し「アスファルト」「ヴェリタス」のヨーエ・マイ氏が監督したものである。俳優としては「真紅の文字」「肉体と悪魔」のラルス・ハンソン氏、「アスファルト」「メトロポリス」のグスタフ・フレーリッヒ氏、「ハンガリア狂想曲」のディタ・パルロ嬢が主演している。カメラは「アスファルト」のギュンター・リッタウ氏が担任。(無声)

1928年製作/ドイツ
原題または英題:Homecoming Heimkehr

ストーリー

荒れ果てたシベリアの平原の一部、干からびた潅木林の真中に一軒の小屋がある。ここに捕虜の身をはるかに逃れて二人の若者リヒヤルトとカールが暮らしていた。無限とも思われる淋しい生活に二人の友情は鉄よりも固く結びついた。リヒヤルトはカールに自分の結婚生活をそして愛する妻のことを幾度となく物語った。ついに二人は故郷に対する強い憧れから砂漠を横切ろうと企てた。だが彼等の折角の努力もコザック兵の発見する所となりカールは身を以て逃れることが出来たがリヒヤルトは捕えられ刑罰としてシベリアの鉛鉱に送られる。カールが帰郷した時、戦いは終わった。リヒヤルトの妻アンナが遠く捕われの身となった良人を待って儚い日をすごしている所へ訪れたのはカールであった。彼はリヒヤルトとともに過した年月を彼女に物語る。その友情の物語がカールとアンナに他人でない感情を湧かさしめる。その気持がだんだん濃くなってゆく。リヒヤルトの行方は杳として不明で何の便りもない。二人の若い男女は胸に湧き立つ熱い血潮と懸命に戦っていたが或る夜、町へ遊びに出た帰途カールとアンは最初の臆病な抱擁を交わす。一方ロシア革命のため自由の身となったリヒヤルトは耐え切れぬ思いを抱いて故郷へ急いだ。長い旅路を終えて我が家の扉を開いたリヒヤルトの眼に映ったものは余りにも悲しい光景だった。アンナはすでに自分の妻ではない。そして相手の男というのは親友カールであった。これがあらゆる艱難の年月を経た後のリヒヤルトの帰郷であった。突然襲い来る烈しい怒りに彼の手はピストルに延びた。が彼はやがて武器を静かに置いた。彼は友の手とかつては己が愛妻たりし女の手とを握った。そして彼は故郷から永遠に立ち去ってゆく決心をする。悲壮なリヒヤルトの出立だった。彼を乗せた船が新たな生涯に彼を運び去ってゆく時カールとアンナとは感謝の涙にくれるのであった。

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