罪と罰(1923)

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解説

ロシア文豪フョードル・M・ドストエフスキーの不朽の名著『罪と罰』を、「カリガリ博士」の監督をしたロベルト・ヴィーネ氏が脚色及び監督して、スタニフラフスキー氏の率いたロシア旧モスクワ芸術座の人々によって演出したもので、ロシアの芸術家アンドレ・アンドレイエフ氏が全部のセットを設計した。劇中人物の心理によって表現派のセットも使用してある。原作の真面目さ力強さが良く表されているとの評判である。無声。

1923年製作/135分/ドイツ
原題:Crime and Punishment/Raskolnikow

ストーリー

ペテルスブルグの大学生ロマノヴィチ・ラスコールニコフは故郷の貧しい母と妹の僅かな仕送りで窮迫のうちにも純潔な生活を続けていたが、その緊張した生活が何時か彼を外国の『超人思想』や大ナポレオンの偉大な力ある生活に心酔させた。その頃彼等貧しき人々の怨嗟の的に成っていた因業な質屋の老婆アリオナ・イウァノウナに彼もまた苦しめられていたが、遂に彼は老婆がこの世に存在している事は不正な事であり、その生命を断ち、善良にして苦しんでいる人々をその絆から解く事は人類の正義であると確信するに至り、遂に或夜彼の老婆を殺し老婆の妹までも殺してしまう。彼は最初の確信にも似ず追われたる者の如く哀れな姿で下宿へ帰って来る。かくて彼は絶えず我が行為の肯定と否定との精神的争闘に地獄の苦を嘗め、あらゆる不安と怪しき幻想の為に全く精神を喪った男と成った。ペテルスブルグの貧しい一隅にソーニアと云う少女があった。飲んだくれの退職官吏を父とし、生活に疲れきった母と、頑是ない弟妹のために、まだ生長しきらぬソーニアは路傍に立って獣のような男達の袖をひかえては彼女の最も貴い最後のものを売っていた。しかし此の迫害と汚辱の下にあって、あらゆる運命への謙譲な忍従と、絶えない静かな寂しい愛と、真のロシアの魂とが彼女をしてこの最悪の境遇の中に在ってさえ神の善き呼声を聴かしめていた。追われた獣のようなラスコールニコフが不図した縁でソーニアを知った事は、人類への何と云う深い暗示であったろう。「何百万の生霊を殺して何等不安を抱かなかったナポレオンは青銅で出来ていたのか?しかし青銅は人間ではない」との想念がいつか彼の心中に芽生えたがソーニアのキリスト的無私の愛に感動し、彼女を愛する事が深く成るにつけ、どんなに価値なく見える紙屑の様な人間の内にも犯し難い貴い閃きのある事を覚るに至って初めて彼は救われた。彼は今こそ心静かに法の裁きを受けるべく法廷へと足を向けた。

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