ファントム(1922)
解説
1922年11月15日ドイツの文豪ハウプトマン氏は満60歳となった。氏の生地はシュレジェン州の首都ブレスラウである。その還暦記念として作られた映画がブレスラウの青年ルボタを主人公とする「ファントム」である。「ドクトル・マブゼ」「化石騎士」「スワリン姫」等で妙腕を見せたハルボウ嬢が脚色。監督は「ジェキル博士とハイド」で知られたF・W・ムルナウ氏。「ウリエル・アコスタ」のフリダ・ヒリアルト夫人、「マブゼ」のアウド・エゲデ・ニッセン嬢、「プラーグの大学生」のグレエテ・ベルゲル嬢、「世界の眼」のアントン・エトオフェル氏、その他お馴染みのリル・ダゴファー嬢、ハンス・ハインツ・フォン・トワルドウスキー氏、「オセロ(1922)」のリア・デ・プッティ嬢等が出演している。無声。
1922年製作/ドイツ
原題または英題:Phantom
ストーリー
ブレスウラの議会書記ロオレンス・ルボタの身に起こった出来事を描いた物語。彼は詩を作ったが自分ではどれ程の詩才があるかは知らなかった。彼は夢に憧れその夢の中に住んでいた。或日美しい乙女が馬車を走らせて来て彼を轢いた。爾来彼はその乙女を恋しその夢の中に生きた。やがて其の希望が空しく崩れた時に彼はその乙女と全く同じの顔形をしている男爵の令嬢メリッタと近付きになった。メリッタは彼に金をせびった。彼は正直者として知られていたので吝嗇なシュワアベ夫人も彼には金を貸した。メリッタ一人が彼の生きる理由であった。彼の周囲には総ての物が崩れ落ちて行く。妹は卑しい稼業に身を堕す。その男のヴィゴッチンスキイと彼とはシュワアベから金を巻き上げる。老いたる母親は一人惨めに取り残される。いつも窓から彼の通るのを見ていた娘のマリイも彼の念頭にはなかった。やがてシュワアベに真相が判った時、彼とヴィゴッチンスキイとは共謀して内外よりシュワアベの金を盗もうとした。二人はその為に刑に服する事と成った。彼が刑務を果たした時に彼の出獄を待っていたのはマリイと父親であった……斯うルボタは日記に書いた。家の外には花が一面に咲いていた。妻のマリイが呼んでいる。妹から嬉しい便りが来たのだ。
スタッフ・キャスト
- 監督
- F・W・ムルナウ
- 脚色
- テア・フォン・ハルボウ
- 原作
- ゲルハルト・ハウプトマン
- 撮影
- Axel Graatkjar
- テア・フォン・オウスカコッフ
- ヘルマン・ビング
- セット
- ヘルマン・ワルム
- エリッヒ・ツェルウォンスキー
- 衣装デザイン
- Varly Leinecke
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Lawrence Lubotaアルフレート・アーベル
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His Motherフリーダ・リヒャルト
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Melanier his Sisterアウド・エゲデ・ニッセン
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Hugo His Brotherハンス・ハインツ・フォン・トワルドウスキー
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StarkeCarl Edtlinger
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Marie His Daughterリル・ダゴファー
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Madame Schwabeグレーテ・ベルガー
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Vigottchinskyアントン・エトホーファー
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The Baronessイルカ・グリュニング
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Melitta her daughterリア・デ・プッティ
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Harlanアドルフ・クライン
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His Wifeオルガ・エングル
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The AttendantHeinrich Bitte