濡れた本能

劇場公開日:

解説

アルベルト・モラヴィアの小説『海の約束』をアントニオ・グエラと「ローマの女奴隷」の監督マルコ・ヴィカリオの二人が共同で脚色し、マルコ・ヴィカリオが監督した。撮影は「四次元の情事」のカルロ・ディ・パルマ、音楽は「世界残酷物語」のリズ・オルトラーニが担当した。出演は「続黄金の七人 レインボー作戦」のロッサナ・ポデスタ、フィリップ・ルロワ、「リサの瞳のなかに」のケア・ダレー。製作はウーゴ・トゥッチ。

1964年製作/イタリア
原題または英題:Le Ore Nude
配給:東和
劇場公開日:1967年7月1日

ストーリー

カルラ(R・ポデスタ)は五年前、大学教授のマッシモ(F・ルロワ)と結婚し、いままでまったく不満のない生活を送ってきた。静かな海沿いの別荘にひとり住み、たまの休みにだけミラノから帰って来るマッシモを待ちながら、海に泳ぎ、車をとばし、草花に水をやるカルラの毎日は、波ひとつたたないしあわせなものだった。しかしいつの頃からか、カルラの心には、これが本当の結婚生活だろうか、真実な愛情生活なのだろうかという疑問が、霧のようにわきはじめていた。マッシモは彼女を愛していた。だがカルラがふたりきりでいたい時に、遊び友だちを連れて来たり、彼女が買い求めてきた骨董をあからさまに偽物だときめつけて、彼女の気持を傷つけるのだった。そんな些細なことでも、カルラにとっては耐えられないことに思われた。ある夏の日の朝、カルラは夏休みのアルバイトに科学百科辞典を売って歩く大学生アルド(K・デュラー)と知りあった。彼は快活で、率直で、若者だけが持ちうる驚くほどの新鮮さで彼女の前に立っていた。カルラはそんなアルドに好感を抱いた。バスに乗り遅れ、五十マイルも離れた内陸の故郷の家まで歩いてでも帰るというアルドを、カルラが車で送ろうとしたのも、そうした彼の魅力のせいだったかも知れない。アルドの故郷の古い町に着いたカルラは、素朴で落着いた町のたたずまいや、広々とした田園をよぎる風に心が洗われる思いだった。アルドの部屋に案内されたカルラは、そこで愛撫する男と女の心臓の鼓動を録音したテープを聞かされた。カルラの全身にはたとえようのない疼きが走り、知らず知らずアルドに身をまかせていた。ふたりはその夜、突然襲った夕立の中で激しく燃えた。翌朝の再会を約して二人は別れた。次の日マッシモが帰って来た。夫を連れて浜に出たカルラはアルドを探した。その時不気味な溺死体があがった。純粋な愛をカルラに燃やしたアルドがそこに横たわっていた。

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