父親たちの星条旗
劇場公開日 2006年10月28日
解説
「許されざる者」「ミリオンダラー・ベイビー」のクリント・イーストウッド監督が、太平洋戦争最大の激戦だったといわれる硫黄島の戦いを日米双方の視点から描く映画史上初の2部作。本作はその第1弾で、アメリカ側の視点による作品。硫黄島の擂鉢山に星条旗を打ち立てた6人の兵士の写真の真実と、戦場から生き残り米本土に帰還した3人のその後の人生を描く。
2006年製作/132分/アメリカ
原題:Flags of Our Fathers
配給:ワーナー・ブラザース映画
オフィシャルサイト スタッフ・キャスト
全てのスタッフ・キャストを見る
2022年7月27日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
2週間程前に「硫黄島からの手紙」を観ました。
私には「硫黄島からの手紙」の方が、クリントン・イーストウッド監督が、
日本人のこの戦争を俯瞰からみて好意的に公平に描いているように思えました。
日本兵は米軍の戦艦100隻位に海を占領され、何万人かの米兵が上陸してきて
人海戦術でかかって来た。
洞窟から機関銃を撃つ日本兵は脅威でしたが、米軍は洞窟に火炎放射器を撃ち込み、
日本兵は生きたまま焼かれたのです。
その描写もちゃんとあります。
そして米兵はたった一人顔が分かる人物として、捕虜になったサムが重要な役を
演じています。
日本人衛生兵はなけなしのモルヒネをサムに投与します。
それでも死んでしまったサムが身につけていた母親からの手紙。
それは息子の無事を祈る愛情溢れる手紙で、読んだ日本兵はアメリカ人も日本人も、
母親が息子を思う情に少しも違いはない・・・そう思うのでした。
とてもクリントン監督は日本人に公平で優しいです。
翻って「父親たちの星条旗」はアメリカ軍・上層部の醜さを晒しているかのようです。
硫黄島の摺鉢山の頂上に若き米兵6人が立てた「硫黄島の星条旗」
この写真は新聞で報道されて、第二次世界大戦を象徴する有名な写真になりました。
そして米軍の広報官は旗を立てた3人の米兵を「軍事国債を庶民に売るキャンペーン」の、
広告塔にしたのです。
そして米軍の3人は騒ぎ立てる報道の過熱に翻弄されます。
しかし、息子が戦死した母親にとって、「硫黄島の星条旗」を掲げた一人が息子だった・・・その事実が母親にとって《支えになった》慰められた・・・
と聞くと、複雑な気持ちになりますね。
せめて息子は英雄だったと信じたい。
しかし、レイニーが別人を間違って報告して、さらに混迷してしまう。
この「父親たちの星条旗」は「勲章」「戦争の英雄」「勝利の旗を掲げた一枚の写真」
それらの裏側を描いていてアメリカ人には皮肉な映画なのではないでしょうか?
2作を観て、英雄と呼ばれても浮かばれない。
戦争に駆り立てられ戦死した若者たちが日米問わずに尊い命だったし、
イチ兵士にとって、「敵兵」は便宜的にそう呼ばれるだけで、なんの罪もない
「ただの若者」に過ぎなかった。
戦争の犠牲者はいつの時代も、罪なき兵士たち。
2022年6月19日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
アメリカ側の視点から描いた硫黄島での戦い。
戦争を続けるために国債を勧めるとか、アメリカもギリギリだったのだなと思った。
そのために英雄とされた兵士。けれども、行なっていたことは英雄に値しないと、英雄として扱われることに苦悩する日々。
戦争を正当化することはなく描かれていた点では良かったと思う。
この作品は、主に硫黄島での戦闘シーンと本土帰還後の祝勝会シーンを交互に組み合わせて構成されている。
戦場から突然パーティ会場に場面が切り替わった時、観ているこっちの気持ちは戦場にいるので「今それどころじゃないんだけど??」とイラッとしてしまう。
でもこのギャップこそがイーストウッドの描きたかったものなのではないかと私は思う。
戦場を知らない者に勲章を貰うこと、それよりも、自分がどう生き、どう命を散らしていったかを理解し、その生きざまを心にとどめてくれる者がいるということの方が救いとなり得るのだ。
この映画のラストに人生を、とりわけ実話をもとにした作品の見方を変えられたという人も少なくないだろう。私もその一人だ。
一つの事実を知るとき、私たちの想像力のその先に彼らはいる。
できるだけ多くの人の姿を心の中に留めていたいものだ
2022年2月27日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
戦争によって失われた命、戦友たち
若者が次々と死んでいく姿に
また味方からの攻撃を受けたり
戦争が意味の無いことに気づいた
そして星条旗を掲げた事によって
いつの間にか…英雄として称えられてしまう
死んでいった仲間に申し訳なく思う
英雄をアピールする訳は
国民に国債を買ってもらう為の国の策略
それによって精神を病む者も
戦場に行った体験者は家族に戦争のことは
話したりしないと聞いています
悲惨な現状が余りに酷くて語れるものでない
思い出したくないと言います
心の傷が修復できず心の奥底に閉じ込めて
勝った負けたからということではなくて
どちらの若者も青春を奪い命を奪われる戦争に
意味はないんだと
日本版〈硫黄島からの手紙〉とは同じ戦争
を描いていますが見える視点が違う
戦争に勝ったからいいんだよということではなかった
戦争に英雄はいらない
戦って国のために命を落とした人を敬う
…イーストウッドの反戦映画の様に思えた
すべての映画レビューを見る(全42件)