掟(1959)

劇場公開日:

解説

「宿命」のジュールス・ダッシンがロジェ・ヴァィアンの原作を脚色・監督した作品。ある地域社会を舞台とする戯画的人間ドラマが描かれる。撮影はオテロ・マルテリ、音楽はロマン・ヴラド。出演するのは「青い大きな海」のイヴ・モンタン、「ノートルダムのせむし男」のジーナ・ロロブリジーダ、マルチェロ・マストロヤンニ等。製作はマレノ・マレノッティとジャック・バール。

1959年製作/イタリア
原題または英題:La Legge
配給:イタリフィルム
劇場公開日:1959年8月4日

ストーリー

コルシカ島の小さな海岸の町--ここの実権を握っているのは、先祖代々の屋敷に住み考古学の研究をしている富豪の老人ドン・チェーザレ(ピエール・ブラッスール)と顔役のブリガンテだった。彼等の掟の前には、警察署長も判事も頭が上らなかった。ドン・チェーザレの家には、彼の囲い者の母親と娘三人に、執事トニオが住んでいた。末娘のマリエッタ(ジーナ・ロロブリジーダ)は町一番の器量よしで、ブリガンテが彼女を狙っていた。フランスからやって来た好青年の農業技師(マルチェロ・マストロヤンニ)は、マリエッタを女中に貸してくれといって来た。彼女は女中ではなく結婚してくれと彼に頼んだ。判事の妻ルクレツィア(メリナ・メルクーリ)は気の弱い夫に不満で、ブリガンテ御自慢の一人息子で弁護士の卵フランチェスコ(ラフ・マッティオーリ)に夢中だった。町の広場でダンスパーティが開かれた。酒場では法律で禁じられている“掟遊び”が始っていた。メンバーはブリガンテと子分のピザッチョ、トニオに技師など。賭金で買われたブドー酒をテーブルの中央に置き“親”を決めた。ピザッチョが選ばれた。彼は“副親”にブリガンテを指名した。親は副親以外の男を徹底的に罵倒する。それは嘘でも本当でもかまわなかった。副親はそれをけしかける。男は親のいうなりになるよりしょうがない。ブドー酒も飲めない。ひたすら自分に“親”が廻って来るのを待つ以外ない。この遊びによって町の秘事が、すべて明るみに出される。マリエッタに夢中なトニオは、みんなにさんざんからかわれた。ブリガンテはこの遊びの名手で、これを巧みにリードすることによって、この町を制していた。広場ではマリエッタが観光客から五十万フラン盗んで、大騒ぎになった。彼女は邸に戻ると、母親たちに女中になれと折檻された。彼女は家を飛出して畑の納屋に身を隠した。ブリガンテは彼女を手ごめにしようと出かけた。ところが頬に傷を受け追いかえされた。マリエッタは盗んだ空財布を彼の懐中にしのばせた。その帰途、彼は海岸でルクレツィアとフランチェスコの駈落ちを知った。が、ブリガンテはバスの中から息子を引き戻した。バスは彼女を乗せて走り去った。マリエッタは強引に技師に結婚を承諾させた。彼は盗んだ金を返えせというが、彼女はきかなかった。ドン・チェーザレが重体になった。そこに盗難事件のことで署長、判事にブリガンテが来た。マリエッタも加わり“碇遊び”が始った。親はマリエッタ、金は畑で農夫が拾ったことになった。ドン・チェーザレは死んだ。ルクレツィアが戻って来た。ブリガンテは彼女を物にしようとしたが、彼女はホテルの窓から飛び降りて死んだ。彼への嘲笑は町中に拡った。フランチェスコは町を出た。掟の実行者はいなくなった。ドン・チェーザレの邸を相続したマリエッタと、技師の結婚が間近かに迫った。

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