ヨハン・シュトラウス 白樺のワルツ

劇場公開日:

解説

十九世紀半ばのペテルブルグを舞台に「美しき青きドナウ」「ウィーンの森の物語」「皇帝円舞曲」など優美なウインナ・ワルツで知られ、のちに“ワルツ王”と称せられたヨハン・シュトラウスの多感な青春を描く。監督はヤン・フリード、脚本はアナトリー・グレブネフ、撮影はオレーグ・クホワレンコ、音楽はV・チスチャコフが各々担当。出演はギルト・ヤコブレフ、タチアナ・ベドーワ、タチアナ・ピレツカヤ、ワシリー・メルクーリエフ、S・カルノビッチ・バウラなど。日本語版監修は清水俊二。カラー、七〇ミリ。

1972年製作/ソ連
原題または英題:Johann Strauss
配給:東和
劇場公開日:1972年10月14日

ストーリー

一八五五年の夏。古都ペテルブルグ近郊の貴族の別荘地パブロフスクでウィーン生れの新進作曲家ヨハン・シュトラウス(G・ヤコブレフ)のコンサートが開かれていた。作曲家でバイオリニストでもあるこの若い音楽家が奏でる華やかで軽快なウインナ・ワルツの調べはたちまち当時のロシア貴族をトリコにしてしまった。彼がオーケストラを指揮するパブロフストの夏の劇場は、毎回興奮した観客で一杯になった。ファンの興奮ぶりは嵐のような拍手と押し寄せるような花束や手紙の山からもうかがわれた。シュトラウスの秘書、レイブロック(V・メルクーリエフ)は彼がピアノに向ってメロディを瞑想しているときに、手紙を読んで聞かせた。伯爵令嬢オリガ・スミルニッカ(T・ベードワ)の手紙もそうしたファン・レターの中の一通だった。そして教会であったオリガと交した二言三言の言葉が忘れがたい印象を残した。その夜、彼は新しいワルツを深い感動に包まれて演奏した。会場にはオリガもいた。コンサートが終ると二人は公園を散策した。オリガはときめく心と不安を抑えて、彼の後を追った。伯爵家の娘ともあろうものが、人気があるとはいえ身分も低く、まだかけだしの音楽家の部屋を訪れるなどは無鉄砲きわまりないことであった。オリガは彼の口から、音楽家の道を歩むことを拒まれた不運な少年時代や、父親に見捨てられた家庭と、母親や残された兄弟のために早くから生計を立てていかねばならない境遇を知らされた。オリガはシュトラウスの内に秘められた高い人間性に深い感銘をうけた。シュトラウスはオリガのためにポルカを作曲する約束をした。彼の胸は彼女への愛と作曲への情熱で湧きたち、そしてポルカ「オリガ」がコンサートで演奏された。シュトラウスは結婚の意志を固めると、オリガの母スミルニッカ(T・ピレツカヤ)に許しを求める一方で、はるかウイーンにいる母のもとに、喜びの手紙を書き送った。しかし、夫人はことば巧みに拒み、以後、二人で会うことも、手紙を交すことも禁じた。シュトラウスは駆落ちしようとしたが、オリガにはその勇気がなかった。そして、ロシアを去る日がやってきた。休憩のとき、スミルニッカ夫人がやってきて二人が交した愛の手紙を返してほしいといった。誇り高い貴族として、娘の体面に傷つくのを恐れてのことだった。彼はきっばりと拒んだ。二人の愛の思い出となったワルツ「ペテルブルグの別れ」が夜のしじまに響く。指揮する彼の脳裏にオリガとの美しい出会いの日々がよぎる。夏の終りの夜が白みかける頃、彼はロシアでの思い出に訣別した。だがオリガへの愛情と別離はワルツ「ペテルブルグの別れ」にうたわれ、彼女への愛は幾篇かの美しいメロディとなって永遠に残ることになったのである。シュトラウスの淡い青春の思い出は深く心に刻まれ、ワルツ王としての世界的名声と数々の不朽の名作を残すことになった。

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