デカメロン
劇場公開日:1972年5月20日
解説
ヨーロッパ文学における最も傑出した人物といわれる作家・詩人のジョバンニ・ボッカチオの『デカメロン』をピエル・パオロ・パゾリーニが脚本・監督した。パゾリーニは、ボッカチオが活躍した十四世紀が現代社会と強い類似性があるとし、現代に照し合わせながら、「デカメロン」からナポリを舞台にした六篇を選び、他にアラブが一篇、北国が一篇、更に狂言廻しの画家ジョットーの挿話を書き加えた。製作はアルベルト・グリマルディ、撮影はトニーノ・デリ・コリ、音楽はエンニオ・モリコーネ、美術はダンテ・フェレッティが各々担当。出演はフランコ・チッティ、ニネット・ダボリ、アンジェラ・ルーチェ、ジャンニ・リッツォ、シルバーナ・マンガーノ、そして画家ジョットーにはパゾリーニ自身が扮している。
1971年製作/イタリア
原題または英題:Il Decamerone
配給:ユナイト
劇場公開日:1972年5月20日
ストーリー
「第一話ペルージャのアンドレウッチョ」商用でナポリにでかけたペルージャのアンドレウッチョ(N・ダボリ)は一人のずるがしこいシシリー女の術中におちいり、金をまき上げられたあげく、汚物だめの中につき落とされた。ようやく這いだした彼は、友もなく、頭から足の先まで汚物にまみれてさまよった。彼が次に会ったのは二人の泥棒だった。泥棒達は二日前に死んだ大司教の墓から高価な指輪を盗みだす計画を立てており、彼はその手伝いをさせられることになった。石棺の蓋を開けてはいり込んだ彼は指輪を抜きとり、泥棒には法衣だけを渡した。怒った彼らはアンドレウッチョを中に閉じ込めたまま逃げてしまった。しばらくして泥棒と同じ考えを持った司祭がやってきて、アンドレウッチョとぶつかり、びっくり仰天して逃げてしまった。見ると蓋は開いたまま。彼は再び自由の身となり、おまけに高価な指輪まで手に入れたのであった。 「第二話マゼットと尼僧」農夫たちは休みの時間になると、尼僧院で夜な夜な行われる秘事について語り合った。尼僧たちがけしからぬ行為をしていると告げられた尼僧院長がある夜、不意を襲おうとして起きだしたが、一緒に寝ていた司祭のベールをつけていたために、せっかくの叱言も威厳がなくなってしまった。この話を聞いた若者マゼット(V・アマト)は、聾唖、知的障害者をよそおってまんまと修道院の園長になることに成功した。早速、若い尼に誘惑されたマゼットだが、ほどなく全部の尼の相手をしなければならなくなった。その上、今度は尼僧院長に呼びだされお相手をさせられたからたまらない。彼は家に帰してほしいと願いでた。彼をはなしたくない院長は一計を案じ、彼が口をきけるようになったのは神様の思召しとばかり、彼を聖者に仕立ててしまったのだ。マゼットはおしをよそおう必要もなく、仕事をする必要もなく、ただ尼たちを満足させることに専念すればよいということになったのである。 「第三話ペロネッラ」ペロネッラ(A・ルーチェ)が愛人グラネッロを連れ込んでよろしくやっている最中夫が突然帰ってきた。彼女はあわてて愛人を油や酒を入れておく大がめの中に隠した。帰ってきた夫がいうにはその大がめを五デナリで買いたいという人を見つけたという。利口な彼女は、私は七デナリで買いたいという人を見つけた、今その人が、かめを調べていると隠れている愛人に聴こえるように大声で話した。そこで愛人も口裏を合わせてまんまと夫をだましたのである。/画家ジョットー(P・P・パゾリーニ)は教会の壁画を頼まれ町で美しい顔を探す。次の話は、美しい顔の持主のお話です。 「第四話聖チャペレット」これ以上の極悪人はいないといわれる程の高利貨しチャペレット(F・チッティ)も、寿命には勝てないものか、旅先で病いに倒れた。彼の同業者は、こんな悪党では引きとってくれる教会もあるまいと心配したが、彼の懺悔を受けた神父はその立派さにおどろき、死後、聖チャペレッタと呼んだ。 「第五話カテリーナ」若い公爵リカッド(F・ガバッチ)と愛し合っているリツィオ・デ・バルボーナの娘カテリーナ(E・ダボリ)は自分の部屋がむし暑いからナイチンゲールの歌の聞こえるテラスで休みたいと両親に訴えた。実はこれは口実で恋人と逢引するためだった。しかし、その現場を父親に見つかってしまい、彼は烈火の如く怒ったが、娘の恋人が公爵と知って結婚するならばよろしいということになった。彼は承知し、以後二人はベッドで楽しむことができたのである。 「第六話リザベッタとロレンツォ」リザベッタの三人の兄が、彼女の恋人ロレンツォを生まれが卑しいという理由で殺してしまった。ロレンツォはある晩彼女の夢枕に立って自分が埋められている場所を教えた。彼の死体を見つけた彼女は、重くて運べないので、頭を切り離して持って帰り、めぼうきの鉢の底に入れ、毎日眺めては泣いていた。ところが、その鉢が兄弟に見つかって捨てられてしまい、リザベッタは悲しみのあまり死んでしまった。/「第七話コンパール・ピエトロ、ドンナ・ジェンマータとドン・ジャンニ」ドン・ジャンニという狡猾な司祭は、頭の単純な夫婦に、女を馬に変えることができると話した。夫婦は即座に申し込んだので、司祭は、その最中に声をださないよう注意して女を裸にした。夫があわてて抗議すると時すでに遅く、欲望を満たした司祭は、話しかけるからまじないが消えたのだと二人をどなりつけたものだ。 「第8話ティンゴッチョとメウッチョ」ナポリの二人の放蕩息子、ティンゴッチョとメウッチョは、罪のうちに死に、永遠の地獄に苦しむのではないかと、恐れおののきながらも、女遊びに明けくれた。二人は、先に死んだものが、この世に戻って、あの世はどんな風かを話す約束をした。しばらくしてティンゴッチョが先に死ぬ。ある夜、メウッチョの枕元に現われた彼がいうには、判決はまだ決っていないが一つ確かなことは恋愛は罪にならぬというのだ。それを聞いたメウッチョは前から愛していたティンゴッチョの愛人のもとへと飛んで行った。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ピエル・パオロ・パゾリーニ
- 脚本
- ピエル・パオロ・パゾリーニ
- 原作
- ジョバンニ・ボッカチオ
- 製作
- アルベルト・グリマルディ
- 撮影
- トニーノ・デリ・コリ
- 美術
- ダンテ・フェレッティ
- 音楽
- エンニオ・モリコーネ
- 字幕監修
- 清水俊二
-
Andreuccio Di Perugiaニネット・ダボリ
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AncellaConcetta Romano
-
Masettoビンチェンツォ・アマート
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Peronellaアンジェラ・ルーチェ
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Ciappellettoフランコ・チッティ
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Caterinaエリザベッタ・ダボリ
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RicardoFrancesco Carrina
-
Caterina's motherEieanora Carrina
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Head Friarジャンニ・リッツォ
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Giottoピエル・パオロ・パゾリーニ
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Donna GemmattaMirella Catanese
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PietroGiovanni Davoli
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Don GianniVincenzo Cuoccolo
受賞歴
第21回 ベルリン国際映画祭(1971年)
受賞
銀熊・審査員特別賞 | ピエル・パオロ・パゾリーニ |
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