カサノバ(1976)

劇場公開日:

解説

18世紀ヨーロッパの歴史上の人物であり、晩年の大著〈回想録〉でも知られるジャコモ・カサノバの絢燗たる女性遍歴と頽廃した宮廷生活を描く。製作はアルべルト・グリマルディ、監督は「オーケストラ・リハーサル」のフェデリコ・フェリーニ、脚本はフェリーニとべルナルディーノ・ザッポーニ、撮影はジュゼッぺ・ロトゥンノ、音楽はニーノ・ロータ、編集はルッジェーロ・マストロヤンニ、美術・衣裳はダニーロ・ドナティ、メークアッブはリーノ・カルボーニが各々担当。出演はドナルド・サザーランド、サンドラ・エレーン・アレン、マルガレート・クレメンティ、カルメン・スカルピッタ、シセリー・ブラウン、クラレッタ・アルグランティ、ハロルド・イノチェント、ダニエラ・ガッティ、クラリッサ・ロール、ティナ・オーモン、マリー・マルケなど。

1976年製作/イタリア
原題または英題:Il Casanova di Federico Fellini
配給:フランス映画社
劇場公開日:1980年12月13日

ストーリー

18世紀中盤のヴェネチア。人々はカーニバルの喧噪の中で、水面に現われた巨大な女神モーナの頭像を驚異の目で見守る。仮装して人々の中に交っていたカサノバ(ドナルド・サザーランド)は、見知らぬ女から手紙を受け取った。それはマッダレーナ(マルガレート・クレメンティ)という尼僧からの呼び出しの手紙だった。指定のサン・バルトロ島に着いたカサノバを、マッダレーナはフランス大使の別荘ヘと案内した。彼女は実は大使の情婦で、“のぞき”趣味の大使のためにカサノバとのセックスの情景を披露しようとしたのだ。忠実な同行者である“黄金の鳥”を羽ばたかせ、期待に応えたカサノバは、大使の賞讃を得るのだった。嵐になった海を帰途に向っていたカサノバは、途中で宗教裁判所の審問官に逮捕され、邪悪な書物を保持しているという理由で鉛屋根の牢に留置されてしまう。そこで伯爵夫人ジゼルダ(ダニエラ・ガッティ)やお針娘のアンナマリア(クラリッサ・ロール)との甘い昔の思い出に耽るカサノバ。遂にその牢を脱出し、ヴェネチアからパリに向かったカサノバは、デュルフェ候爵夫人(シセリー・ブラウン)のサロンで、神秘的な降神術や魔術に興味を持つ人々と接触する。2年後、彼は運命の女アンリエット(ティナ・オーモン)とフォルリの宿で出会い、最高の時を過ごすが、それも束の間のことだった。ロンドンで、娼婦の母娘に屈辱を味わされ自殺まで考えたカサノバは、その瞬間に巨大な女の影を見る。彼女の暖かさで気を取り戻したカサノバはそのままローマを訪れた。そこでは御者と“性力”競争をする次第となるが、見事勝ち、さらに名を高めた。スイスのべルンを経て、ドレスデンで彼は母親と再会するが、彼女は愚痴を言うだけで彼から去って行くのだった。そして数年が過ぎ、冬のボヘミア。老いたカサノバはドゥックスのヴァルトシュタイン伯爵の城に、図書室の司書としてわびしく寄居する身になっていた。しかし、今も、彼は思っていた。愛し合った数々の女たちのことを、そして、美しい人形といつまでも踊る自分自身の夢のような姿を……。

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映画レビュー

4.0観たかった度◎鑑賞後の満足度◎ ゲップが出る程満腹。ヨーロッパ宮廷の男版徒花カサノヴァの一生をフェリーニならではの豪華な衣裳・セット・退廃的な乱痴気騒ぎで彩った一大絵巻。いつか大スクリーンで観たい。

2023年7月24日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

①力技というか胆力というか、サーカス大好きのフェリーニだから大掛かりなセットで目を驚かせてはくれるけれども、何より自分の世界観を作り上げて観客を巻き込み最後まで引っ張っていく演出力が凄い。
最近の映画界は色んな国が力を付けてきて多彩にはなったけれども、どこかスケールの小ささが否めないのは、こういう演出力で一本の映画を(半ば強引にでも)引っ張っていく監督に乏しいことが一因だと思う。
特撮やCGやヴィジュアルで観客の目を惹き付けても演出力で魅せる監督が少ないなぁ、と感じるね。
②ドナルド・サザーランドはほぼ全編出っぱなしながら息切れを感じさせない大熱演。
③フェリーニ映画独特の変わったメークをした女性陣や面白い顔の人たち(こういうのもハラスメントですかね)てんこ盛りで飽きない。

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もーさん

4.0疲れた吐息に象徴される性の快楽と退廃のイマジネーション豊かなフェリーニ映画

2022年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

フェリーニ監督に、これまでの人間性の発露が圧倒的とは言えないものがある。あるのは性に疲れた男の人生の悟りに至る諦観の心境であり、それを風刺劇として同情し自省するフェリーニの映画創作の不可思議さである。肉体の快楽と退廃は、より重苦しく人の心まで静かに諭すものか、それに対するフェリーニの自己批判を感じた。映像のイマジネーションは衰えず、独自の世界観は見応え充分で、ニーノ・ロータの音楽もこれ迄とは打って変わって内省的な幻想曲風でユニーク。それでも歳を重ねないと理解が及ばないのも感じ、今の自分には無理。ただ、この不思議な映像美の吸引力は、世界でフェリーニ監督ただ一人の存在価値があると思われるので、評価は高い。

   1980年 12月23日  スバル座

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Gustav

4.0理想の女性を追い求めての長い旅路の果てに見た夢は?

2021年3月13日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波、VOD
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Kazu Ann

3.0エロコメディ。

2021年1月30日
PCから投稿

キーファー・サザーランドのパパ、ドナルド・サザーランドの作品を見たくて
鑑賞しましたが、びっくらこきました(笑)。

実在の人物を描いてるようですが、基本、エロコメディに感じています。

しかし、作品的には視覚効果(笑)や、衣装の奇抜さに目を見張るものがあり、
退屈しのぎにはなりました。

ラストまで見ることにより、多少の評価は上がりました。

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miharyi