ロジタ(1923)

解説

メアリー・ピックフォードが「嵐の国のテス(1922)」に続いて製作した特作映画で、原作はノルベルト・ファルクの手になり、エドワード・ノブロックが脚色し、ドイツに於いて「パッション」「デセプション」等を監督して有名なエルンスト・ルビッチがアメリカに於ける第1回作品である。ピックフォードの対手はフォックス映画でお馴染みのジョージ・ウォルシュで、舞台の名優ホルブルック・ブリンや、「結婚とは」等出演のアイリーン・リッチなどが重要な役を受け持っている。因みに本映画がパラマウント映画ポーラ・ネグリ主演の「西班牙の踊子」と同じ原作であると誤りを伝えられているがどちらもスペインが背景であり、時代劇であるということの外には、何等の関係もない。前者の女主人公の名はロジタ、主人公はドン・ディエゴ、後者はマリタナとドン・ケーザル・ド・バザンと、名前を見ても全然異なっている。後者の原作はフランスの戯曲家アドルフ・ダンヌリイとペエ・エス・ペエ・デュマのアール合作のオペラ「ドン・ケーザル・ド・パザン」であることは言うまでもない。尚「ロジタ」の美術監督はデンマークの有名な芸術家スヴェンド・ガーダであることを附言する。

1923年製作/アメリカ
原題または英題:Rosita

ストーリー

風薫るスペインの19世紀頃の物語である。トレドの町の唄女ロジタがギターの調べにつれて唄う妙なる歌は、町の人々の誇りの一つであった。当時の王は女にかけては中々甘いその癖人民に対しては厳格な性質であった。トレドの町にカーニバルが催されて、人々が狂歌乱舞に時を過ごすのを知って王は表面人民の取り締まりと称し、その実冒険を求めてこの町へ来た。祭壇を当込んで金が貰えると思ってロジタは町辻に唄ったが、王の到着のため人々がその方へ気を取られてしまったので、ロジタは王を恨み、王を嘲奔する歌を唄ったので、捕縛され投獄される。伯爵ドン・ディエゴは彼女を庇って役人を殺したので、死を宣言された。王はロジタの可憐な姿を見て、牢より出し別荘を与え、我が意に従わせようとし、彼女が平民であるため爵位を与えようとして、死刑に処せられるドン・ディエゴを覆面させて、彼女と結婚の式を挙げさせ、彼の死後ロジタを伯爵夫人と呼ばせようと計ったが、ロジタは彼を愛していたので彼を救おうと王に彼の赦免状を書かせる。ドン・ディエゴの生きている間は彼女を意に従わせられぬので王を殺すべく役人に命じた。ロジタは夫が殺されたのを見て嘆き悲しんだが、実は情ある王妃の計らいでドン・ディエゴは単に死を装っていたのであった。かくて2人の若人が喜びに輝く日が来たのである。

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