夕陽特急
解説
「影無き男(1934)」の姉妹編で、すべて同じスタッフすなわちダシール・ハメット原作、フランセス・グッドリッチ、アルバーアト・ハケット共同脚色、W・S・ヴァン・ダイク監督ウィリアム・パウエル、マーナ・ローイ主演になる映画で、撮影だけが「桑港」「空駆ける恋」のオリヴァー・T・マーシュの担当である。助演者は「踊るアメリカ艦隊」のジェームズ・スチュアート、「過去から来た男」のエリッサ・ランディ、「愛怨二重奏」のジョセフ・カレイア、「小公子」のジェシー・ラルフ、新顔のアラン・マーシャル及びドロシー・マクナルティその他である。
1936年製作/アメリカ
原題または英題:After the Thin Man
ストーリー
世人を震駭せしめた「影無き男(1934)」殺人事件を解決して名探偵と呼ばれたニックと愛妻ノラは、夕陽特急にのって懐かしいサンフランシスコの家へ帰った。帰ると直ちにノラの伯母カザリン・フォレストから招待され、余り気が進まなかったが従妹のセルマが至急相談事があるとのことに夫婦は出席した。セルマの夫ロバートが行方不明になったことを菊と、探偵事業から身を退く決心をしていたニックもできるだけの援助を約束せねばならなかった。セルマの話に端緒を得たニック夫妻はナイト・クラブで酔払っているロバートを発見し、「ダンサー」とあだ名される経営者に彼を家へ帰すように命じた。ロバートは「ダンサー」と情を通じている踊子のポリイを恋していたのである。「ダンサー」はロバートから金を巻き上げるため彼をポリイのアパートへ連れ込ませることにした。ロバートは彼女に駆落を迫ったが金がなくてはと承知しないので、彼はかつての妻の婚約者であり今でも未練を持っているデイヴィッドに電話を掛け、妻と別れるから二万五千ドル渡せと交渉し、現金の代わりに債券を約束の場所で受け取った。「ダンサー」はポリイに電話したが返事がないので裏切られたと思い込み二人の後を追った。共同経営社の中国人も彼に続いた。ロバートが妻に離別を伝えるために家へ戻ったとは知る由もなかったのである。セルマは嫉妬に燃えて拳銃を握りロバートの後を追う。ポリイの兄と称し実は夫であるフィルも「ダンサー」の奸計を知り分前を得ようとロバートをつけた。一発の銃声が聞えロバートの死体の傍に茫然と立ちすくんでいるセルマ。しこへデイヴィッドが現れセルマの銃を奪い海中に捨て沈黙を守れと言う。間もなく逮捕されたセルマは無実を主張し銃を調べて貰えば分かると言う。デイヴィッドは彼女を守るために銃を捨てたと弁明する。間もなくフィルが殺され、ポリイのアパートに働いていたペドロも殺されるが犯人は判らない。ニックは嫌疑者一同をポリイのアパートに熱め彼一流の推理で自白を求めた時、意外な真犯人が登場する。果して犯人は誰であろうか。迷宮事件を再び解決したニック夫妻はセルマを伴い夕陽特急に乗って又サンフランシスコから去った。
スタッフ・キャスト
受賞歴
第9回 アカデミー賞(1937年)
ノミネート
脚色賞 | フランセス・グッドリッチ アルバート・ハケット |
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