緑の女神
解説
「千万長者」と同じくジョージ・アーリスが主演する映画で、原作はウィリアム・アーチャーの筆になる戯曲、それを「千万長者」「最後の栄冠」のジュリエン・ジョセフソンが脚色し、「モダン出世鏡」のアルフレッド・E・グリーンが監督に当たった。助演者は「ソレルとその子」「スコール」のアリス・ジョイス、「黄金の世界へ」のラルフ・フォーブス、「リリオム」「某重大事件」のH・B・ワーナー、アイヴァン・シンプソン、レジナルド・シェフィールド、ベティー・ボイドなどで、カメラは「某重大事件」「歓楽地帯」のジェームズ・ヴァン・ツリースが担任。
1930年製作/73分/アメリカ
原題または英題:The Green Goddess
ストーリー
万古の秘密を湛えたヒマラヤの山脈上難航をすづける1台の飛行機がある。英軍インド守備隊のクレスピン少佐夫妻と操縦者のトラハーン博士が乗っているのだ。クスピン夫人はインドのバハリ飛行場にいる愛児に早く会わんものと良人の少佐を説いて折りからバハリへ赴く親友トラハーン博士の操縦する飛行機に搭乗したのである。飛行機は濃霧につつまれて数時間空中を彷徨し遂にガソリンの欠乏を来したので、冒険的に山間の空き地に不時着陸をする。ところがそれはルクという名の小王国の領域なのであった。未開の地とて内部のことは少しも外に知られていない。ただ一つ3人の知っていたことは2日前の新聞にルク国民が3名、インドに於いて政治犯として逮捕され近日死刑になろうとしているという事だけであった。ルクの国王(ラジャー)は見るからに神秘的な人物で極めて流暢な英語を繰り先ず3人の度肝をぬく。そればかりでなく3人の死刑囚の件を既に知っていて、しかも彼らが自分の異母弟であると英人たちに物語る。ラジャーの宮殿は善美を尽くしたもので執事として英国人を使い、電灯は完備し、何から何まで近代文明の産物ことごとく集めてあった。3人は招かれて饗宴に預かる僅か3日前に起こった事件をラジャーが知っている以上このルク国はインド本国からさほど遠くはないとたかをくくっている。ラジャーは食事の後で急に態度を改め3人の死刑囚の代償として彼ら3英人の生命を要求する。そして無知の原住民が崇拝している「緑の女神」の神託であると告げる。しまもクレスピン夫人が貞操を許せば彼女の生命を助けるのみでなく女王として永く君臨せしめようと提議する。彼女の拒絶したのは言うまでもない。ラジャーは更に彼女の子供をルクに連れて来てもいいと提議する。子供の事を考えて彼女の心は千々にくだけ迷う。その翌日、3人は無線電信の音を耳にする。クレスピン少佐は欧州大戦中、無線電信隊に属して活躍していたので万事よく知っていたが、何喰わぬ顔を装う。ラジャーは彼らが無電について何も知らないと思い安心する。少佐はただバハリ飛行場の呼び出し信号を思い出せないで機を待っているだけなのである。3人は無電を扱っている英人ワトキンスに賄賂を使ってバハリ飛行場を呼びださせようとして失敗しワトキンスを殺してしまう。その時少佐は忽然と信号を思い出し無電機に馳せつける。信号の最中ラジャーが扉を押して入って来て少佐を射殺する。断末魔に少佐は通信をうち終わらなかった由をラジャーに告げる。その翌日、日没近く「緑の女神」の像の下で原住民の儀式が行われクレスピン夫人とトラハーン博士は殺されることになる。死刑の数分前、少佐の通信を受信したバハリ駐屯の飛行隊が飛んで来る。爆弾の威力に辟易したラジャーは渋々ながらクレスビン夫人と博士の釈放を承諾する。2人が飛行機で去った後ラジャーは神秘的な笑いを洩らしながらもなおも減らず口のひとごととをはくのであった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- アルフレッド・E・グリーン
- 脚本
- ジュリエン・ジョセフソン
- 原作戯曲
- ウィリアム・アーチャー
- 撮影
- ジェームズ・ヴァン・ツリース
受賞歴
第3回 アカデミー賞(1930年)
ノミネート
男優賞 | ジョージ・アーリス |
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