「何故これが名作なのか」鳥 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
何故これが名作なのか
総合:20点
ストーリー: 5
キャスト: 60
演出: 30
ビジュアル: 50
音楽: 5
ヒッチコックの代表作の1つと言われる作品。
しかし私には良さが理解できない。何故理由もなく昨日まで普通に暮らしていた鳥が特定の一地域において突然集団で人を襲いだすのか。しかもその鳥たちが人よりも強くて、次々に人を殺してしまう。さらにそれだけで飽き足らず、キツツキでもないのにくちばしで家をつついて破壊してまでして中の人を攻撃しようとする。窓硝子を割るほどに強く体当たりなどすればその鳥も死んでしまうかもしれないだろうに(現実には窓硝子に気が付かずにぶつかって事故死する鳥がよくいるらしい)、何故そこまでして人を襲いたがるのか。それなのに突然何事もなかったかのように日常に戻る。
何が言いたいのかまるでわからない。鳥がそこまでして人を襲う必然性も映画の中ではまったく触れられない。鳥をこれほどに理由もなく狂気の悪役にするのは何故?これが本当に名作でしょうか。そもそもカラスは例外として小鳥がそんな集団行動で襲撃をするような知能をもつわけがないし、古今東西で健康な大人を殺したという例も報告されていないし、仮に襲ってきたところで鳥ごときに殺されるなんてことも思えないし、だから恐怖感がない。せめて実行力のある鮫や宇宙人や怪物が襲ってくればまだわかるのだが。
公開された1960年代ならばもしかすると人が動物に襲われる狂気という衝撃や価値があったのかもしれないが、そんなわけでこの映画が当時だけでなくいまだに高く評価される理由が見つかりません。むしろ「裏窓」といった名作を残したヒッチコックの中で、相当な駄作なのでは。今まで共存していた鳥に理由もなく人が襲われるのに最後には理由もなく平和に戻るという物語は、私の見た中で映画史上最低級。映像の迫力も現代からすると質が低い。典型的なB級映画。