天使の顔

解説

「思い出」「ホリウッド・レビュー」出演のノーマ・シアラー嬢が主演する映画で、ルロイ・スコット氏の原作から「悪魔の日曜日」「巴里(1926)」の監督者エドモンド・グールディング氏が脚色し、「滑れケリー」「アンクル・トムス・ケヴィン」のA・P・ヤンガー氏が脚本化し「歓楽の唇」「娘弁護士」のロバート・Z・レナード氏が監督したもの。主演者のほかに「踊る娘達」「海の王者」のジョン・マック・ブラウン氏、「愛欲の人魚」「ホリウッド・レビュー」のグウェン・リー嬢、「楽園に帰る(1928)」「女心を誰か知る」のローウェル・シャーマン氏、「スピードウェイ」「サンダーボルト(1929)」のユージェニー・ベッセラー夫人、「高速度娘ジャズの巻」のバディー・メッシンジャー氏等が助演。キャメラは「破戒」「シカゴ」「キング・オブ・キングス(1927)」のペヴァレル・マーレー氏が担任である。音響版8巻、無声版8巻がある。

1928年製作/アメリカ
原題または英題:A Lady of Chance

ストーリー

ドリーは美貌の持ち主で才知に長けていた。あるホテルの交換手 を勤めて表面まめまめしく装ってはいたが彼女はその実暗い蔭を持った女であった。富裕な一人の投宿客が年の程をも省みず彼女の美貌に食指を動かして言い寄ってくるのをドリーの昔馴染みブラドリーとグェンとは早くも嗅ぎつけ彼女を脅して一仕事企て、3人は共謀の上件の老人から金を巻き上げてしまった。だが金を山分けにする前にすばしっこいドリーはそれを持って雲隠れしてしまう。ブラドリーはこうして幾度か彼女に鼻を明かされているのであった。ドリーは美しく着飾ってアトランティック・シティーに現われた。彼女はスティーヴという一青年に金があると見込みをつけ巧妙な手段を以て彼に近づいた。スティーヴに伴われ彼の故郷に帰ってみればドリーの期待は全然裏切られていた。いまさら自分の見当外れに腹が立ってスティーヴの落胆を尻目に一度はその家を出たもののドリーは何故かそのまま都に上る気にはなれなかった。ドリーの胸にはスティーヴの純真さに対し新しく恋心が燃え始めていたのである。翌朝失望しているスティーヴの前にドリーは帰ってきた。ドリーの居所をようやくに探し求めたブラドリーとグェンはこのスティーヴの家を訪れた。折から、自分の発明品が高値で買い入れられると決まったスティーヴはその喜びをドリーに語った。早くもこれを小耳にはさんだブラドリーとグェンは奸策をたくらみスティーヴを都に連れ出してあやふやな石油株で金を偽り取ろうと計る。うっかりばらせば自分の身に及ぼすので彼らの企みを知りながら心ならずも口をふさいでドリーは3人とニューヨークに来る。ドリーの心配をよそにして3人は毎日享楽に日を送っていた。耐え切れなくなったドリーは自分の過去の罪をスティーヴに告白しブラドリー達の悪巧みの一部始終を打ち明ける。スティーヴは一時非常に驚いたが愛するドリーのためにならすべて犠牲にしてもいいと言い切る。しかし彼の幸福を願うドリーは自ら警察に電話をかけて罪に服すべく決心する。ブラドリーとグェンとは警察の手が廻ったと感づいて逃走を企てる。ドリーは一度警察に引き渡された。だが彼女の身元を保証するスティーヴの言葉によって保釈となる。かくて彼女は人妻として穏やかな生活に入る。

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