虎鮫島脱獄

解説

リンカーン暗殺事件の陰の哀話を映画化したもので、「コブラ・タンゴ」「其の夜の真心」のワーナー・バクスターが「羅馬太平記」「これがアメリカ艦隊」のグロリア・スチュアートを相手に主演する。「百萬遍の感激」「ロスチャイルド」のナタリー・ジョンスンがマッド医師の実録に拠って脚色し「男の敵」「俺は善人だ」のジョン・フォードが監督にあたり、「恋のページェント」のバート・グレノンが撮影した。助演者は「海を嫌う船長」のクロード・ギリグォーター、「支那ランプの石油」のアーサー・バイロン、「フランダースの犬(1935)」のO・P・ヘギー、「黄金(1936)」のハリー・ケイリー、「男の敵」のフランシス・フォード等である。

1936年製作/アメリカ
原題または英題:The Prisoner of Shark Island

ストーリー

南北戦争は終焉を告げたが、それでも尚、北部に対し恨みを抱く 不平分子が南部に散在していた。大統領エブラハム・リンカーンはワシントンのフォード劇場で観劇中ジョン・ウィルクス・ブースの凶弾にたおれた。身を以て逃れた刺客のブースは共謀者デイヴ・ハロルドと共にその場を逃れたが、途中胸部に負傷して、ある一軒の家へと辿りついた。そこは医師サミュエル・アレクサンダー・マッドの家で、乞わるるままにマッドはブースの胸部に手当てを加えてやった。ブースは先を急いだので片方の靴をマッドの家に残したまま逃れるのであった。その後ドクトル・マッドは大統領暗殺共犯者とされ、他の七名と共に軍法会議に付せられ、例の靴が動かす事のできぬ証拠となって、彼の凡ゆる抗弁も功を奏せず、マッドのみ一人メキシコ湾上の一孤島ドライ・トルチュガス島にある“生地獄”といわれる牢獄に終身囚として送られる身となった。この島は一名“鮫島”と呼ばれているくらいその付近の海上には無数の鮫が棲息し、一度その牢獄へ投ぜられると再び助からぬとさえ言われていた。ここでドクトル・マッドは非国民の刻印を付せられ、虐待と迫害の忍苦の数カ年を過ごすのであった。一方良人の無罪を信じていたマッド夫人及びその父親のダイヤー大佐は全財産を金に換え一帆船を手に入れ、マッドを鮫島から脱出せしめようとしたが、成功一歩手前で挫折し、マッドは更に地下の牢獄へと投ぜられてしまった。絶望の数カ月は続いたが、突如この鮫島に熱病が発生し、たちまち猖獗を極め、囚人と監視役人の大部分はその犠牲となった。外界との交通は完全に断たれた。折りも折り、頼りにする唯一人の医師が遂に熱病に倒れてしまった。全島民は今はただ死を待つの運命に逢着した。同島の司令官は遂に意を決し、地下の牢獄に繋がれているマッドに熱病退治の大役を命じた。マッドは身体を張って熱病屏息に努力し、遂に全島民を熱病地獄から救った。この壮挙が司令官から本国政府に伝達せされ、マッドは数年ぶりで放免の恩典に浴し、全島民感謝裏に祖国アメリカの土を踏んだ。

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