キートン西部成り金

解説

「キートンの栃面棒」に次いで製作されたバスター・キートン氏主演喜劇で氏自身原作脚本監督したものである。相手女優はキャスリーン・マイアース嬢が勤めている。

1925年製作/アメリカ
原題または英題:Go West

ストーリー

ホーマー・ホリデイはじっとしていてもあまり香ばしいこともないので、他郷に出てて一儲けしようと家財道具を売り払って悠然とたびに出た。しかしデイキシーの綿栽培の農場監督はホーマーに何等のとりえもないと見て雇ってくれなかった。それから北の方カナダに漂浪して行った彼は一人前の伐材夫になる筈だったが、人夫頭とだらしのない問答をしたためにペケになった。そして危うく森林の中で死ぬところをようやく逃げ出した。次にホーマーは南下してさばくの近くに来ていた。彼は貨車に薩摩の守を極め込んで車掌に見つけられ、屋根の上をおっかけっこしている間にトンネルに衝突して転落した。そして居合わせた野馬に乗っかるとそのまま砂漠の中に運ばれてしまった。それからやっとトムソンという牧場主に雇われホーマーはカウボーイになった。トムソンに娘グロリアはホーマーが何も知らないので牛乳の作り方を教えたりした。牧童頭に乗馬術や何やかや教え込まれて随分危険なことをしたがホーマーは性来の鈍感さでその危険も殆ど感じなかった。ある日ホーマーはブラウン・アイズという牧牛が足を痛めているのを介抱してやられようとした時助けた。そして彼らは非常な親友になった。その後ブラウン・アイズが牛者に売られることになった時ホーマーは悲しんだ。そのころトムソンの隣の牧場主ジャクソンが事を構えてトムソンと争った。両方の牧童たちが争っている間にホーマーは空鉄砲で汽車の運転手と火夫とを脅して家畜車を安全な所に運搬させた。そのことを知ったトムソンはホーマーを牧童頭に取り立ててブラウン・アイズを贈り物として彼に与えた。

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映画レビュー

5.0オールタイムNo.1の牛映画

2024年2月6日
PCから投稿

笑える

楽しい

興奮

最近、某映画の予告映像で「今年No.1の牛映画」という字幕に笑ってしまいましたが、この「西部成り金」はそのさらに上をいく“オールタイムNo.1の牛映画”であり、内容も笑いの上をいっちゃってます。
自分がこの作品を知ったのは、ミュージシャンのビル・フリゼールの「Music For The Films Of Buster Keaton: Go West 」というアルバムから。音楽的に観賞するだけでもなかなかいいアルバムなんですが、ツアーでは大画面で映画を流してアルバムの曲を演奏していたという。なので、どうしても映像と音楽をセットで鑑賞したくて、簡易的に編集して改めて鑑賞、まさに覚醒というに相応しいぐらいの至高の作品に生まれ変わった印象でした。
というわけで、ここでのこの作品の評価は、あるミュージシャンの音楽付きでの評価になりますのでご了承ください。
この作品以上に笑えて物凄いキートン映画が─探偵学入門、セブンチャンス、大列車追跡、荒武者キートン、カメラマン等々─ほかにもありますが、優れた音楽の効果はあまりに絶大過ぎました。もともとが無声映画なので致し方なし・・・大列車追跡の崩壊シーンなんて凄いんですけどねー。キートン映画はウィキなどからほとんどフルで見ることができるので、未経験の方、ぜひ─。
ビル・フリゼールは他に、ハイ・サインと文化生活一週間のための音楽アルバムもリリースしていて、もちろんそれらも編集の上、映像と音楽をセットで鑑賞して最高に楽しんだのですが、尺が長い「西部成り金」がマイ・キートン・ベストということにしています。
アメリカ西部開拓時代、ほぼ身一つで成功を夢見て西へ向かっていく若者の物語。どの画像を見ても、画質はよくありません。それは当然なのですが、笑いと迫力と感動は、想像以上に得られる気がします。時代背景やシチュエーションはどうしても年代を感じてしまうのですが、作品の根底にある志には普遍的なものを感じます。その辺を感じとることができれば、時代を越えた映画鑑賞が出来るかもしれません。
しゅーるなくせに、熱いものを感じさせてくれる不思議なキートンの世界を、ぜひ堪能してみてください。

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