キートン将軍
劇場公開日 1926年12月31日
解説
喜劇王バスター・キートンが製作・監督・主演を務め、南北戦争時代のアメリカで実際に起きた列車強奪事件をモチーフに描いたアクション喜劇。機関士のジョニー・グレイは、自分が運転する機関車「将軍号」と恋人アナベルを心から愛していた。ところがある日、将軍号が北軍スパイに奪われてしまう。しかもその荷物車にはアナベルが乗っていた。別の機関車で将軍号を追うジョニーだったが、知らぬ間に北軍の真っただ中に入り込んでしまい……。「キートンの大列車追跡」「キートンの大列車強盗」の邦題でも知られる。
1926年製作/107分/アメリカ
原題:The General
配給:東和
スタッフ・キャスト
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『マッドマックス 怒りのデスロード』よろしく壮大なUターン追走劇が繰り広げられる無声コメディ映画の金字塔。キートンの体を張ったアクションシーンに終始ハラハラさせられる。走行中の機関車のカウキャッチャーに座り込むシーンばかりが印象的だが、大砲に火をつけるシーンや機関車から飛び降りるシーンや騎馬の群れの真ん中でアタフタするシーンなどもよく考えてみれば相当危ない。
ショットの切り替えやカメラワークといった編集レベルのテクニックももちろん素晴らしいが、そもそもの舞台装置とその運用が豪勢きわまりない。これでもかという台数の貨車が破壊され、100頭はくだらない馬群が機関車の横を駆け抜け、悪役たちの機関車が橋もろとも川の中に崩れ落ちていく。一体どれだけの予算がかかったのか想像もつかない。
受け手の口角をほんの数ミリ上げさせるためだけにここまでの熱量を込められるというのは本当にすごいことだと思う。この「不真面目を大真面目にやる」というキートンの映画人的矜持は後のジャック・タチやジャッキー・チェンに受け継がれていくこととなる。
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