アメリカを斬る

劇場公開日:

解説

現実の断面し示す数々の事件を明滅させ、そこに今日のアメリカと若者の姿を見ようとした作品。製作はジェラルド・ウェクスラー、監督・脚本・撮影は「バージニア・ウルフなんかこわくない」でアカデミー撮影賞を受けたハスケル・ウェクスラー、音楽はマイク・ブルームフィールド、カメラはハスケル・ウェクスラーとマイケル・マーギュリースがそれぞれ担当。出演は「レッド・ムーン」のロバート・フォスター、新人ヴァーナ・ブルーム、ピーター・ボナーズ、「ハワイアン・パラダイス」のマリアンナ・ヒル、ロバート・マッカンドリュー、ウィリアム・シッキンガーなど。テクニカラー、スタンダード。1969年作品。

1969年製作/アメリカ
原題または英題:Medium Cool
配給:パラマウント
劇場公開日:1970年6月20日

ストーリー

1968年、シカゴ。あるテレビ局のニュース・カメラマンであるジョン(ロバート・フォスター)は、きまりきった日常のニュースの撮影の仕事に追われていた。しかし、そんな単調な仕事のくり返しの毎日でも、彼は少しも嫌気がさしたりしなかった。彼には「俺はいつも自分の仕事をしているんだ」という自負があった。それは、彼のひとつの夢につながっていた。それは、録音担当の親友ガス(ピーター・ボナーズ)と一緒に、シカゴのスラム街に移ってくるアパラチア山地の貧民の実状を、ドキュメンタリー・フィルムで紹介するという夢だった。彼には看護婦をしているセクシーな女ルース(マリアンナ・ヒル)という恋人がいたが、彼女に対する恋心はアイリーン(ヴァーナ・ブルーム)に出会ってから、次第に冷めていってしまった。アイリーンはアパラチア移住者街に住み、父のない息子を育てるためひとり苦闘していた。取材に協力してくれるアイリーンをカメラでとらえているうちに、ジョンとアイリーンはいつしか愛し合うようになっていた。だが、テレビ局のニュース・ディレクター(ウィリアム・シッキンガー)は、ジョンが他の仕事のをおろそかにし、アパラチア人の問題に夢中になっていることを理由に、彼に解雇を言い渡すのだった。生活基盤を失ったかに見えたジョンだったが、そんな彼を、若い映画製作者ペニー・ベイカー(ロバート・マッカンドリュー)が拾いあげた。そして、ジョンは早速仕事を開始。米民主党全国大会と、その期間の若者の反戦デモの取材に当たった。やっとジョンは、生傷をむき出しにしてうごめいているアメリカの現実と、本当に向かい会える場所を見つけたように感じた。その仕事は、大変激しい混乱の中に彼を倦き込み、劇的に展開される現実の姿が、彼の前に露呈されていた。懸命に取材を続けていたジョンのところへ、アイリーンが不安な様子でかけつけて来た。彼女の息子が鳩を探しに出かけたまま戻らないというのだった。ジョンは取材を中止し、アイリーンとともに少年を探すため車を走らせた。しかしそのすぐ後で、ハンドルをきりそこねた車は、街路脇の樹木に追突し、一瞬にして2人の生命を奪う。それは、いつかジョンが取材した光景に似ていた。激動する現実のすぐそばで、不条理の空間がポッカリ口をあけていた。空へ飛び立った鳩を求めていった少年は、どこまでいったらその鳩をつかまえられるのだろうか。その鳩は、まだアメリカの空を飛んでいるのだろうか?

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.0アメリカ人じゃないと無理です

2023年4月27日
PCから投稿

AFIベスト100の候補400に入っているので拝見しました。 問題意識は感じますが、話が飛んだり説明がなかったりするのでいかんせん予備知識のない日本人にはそれぞれのシーンにどんな思いが込められているのか何だかサッパリわかりません。 1960年代の公民権運動やベトナムを背景にマスコミのあり方を問うような内容なのでアメリカ人によるアメリカ人のための作品です。

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越後屋