ロボコップのレビュー・感想・評価
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前より人間臭くなった
オリジナルで、しつこいくらいのニュース映像を使って表現していた「風刺」をサミュエルが全部背負ってくれました。
いやー熱演ぶりに笑った。
最初に記憶をなくしていないせいか、改造人間にされてしまった主人公を悲劇的に描いていて、キャラクターに対してどこか冷たい印象だったヴァーホーヴェン版よりも人間味があって、より痛々しさが伝わってきました。
デザインもよりシャープになり、専用のバイクもあり、アクションもスタイリッシュになりヒーローとしての魅力は増えた気がします。
しかし、オリジナルを全く知らない状態で観るとまた違うんでしょうが、ヴァーホーヴェンと比べると、いかんせん演出があまり面白くない。
映画が始まりから、一度死に、改造され、警察所で初めて姿を見せる時までの演出だけでも監督の力量の差は歴然です。
こちらは最近の映画によくある、平凡な演出に感じでしまいました。
なので演出重視で鑑賞する自分としては、残念ながら評価も低めになってしまいました。
The Clashを起用したエンディングへの入り方は結構好きです。
ハーフ
アイアンマンではいられない。
ジャーナリズム満載
オリジナルより好きかもしれない。
オリジナル1〜3をテレビで見たのがかなり昔のこと。
けっこううろ覚えだけど、2や3には面白いよりもなぜロボコップが、自身を生み出したオムニコープ社から狙われるようになったのかが疑問で疑問で…。
今回 予告で新生ロボコップのブラックボディを見てちょっと気になってたんです。
リメイクやリブート作にいい印象はないけど、これは観てよかった。
オリジナルを見直してないので細かに差異を比較することは出来ないけど、まずストーリーがすんなりと飲み込みやすい。
見た目にスタイリッシュ!
遠すぎず近すぎない近未来の設定がちょうどよい。
(悪徳警官の武器横流しとかはベタな気もするけど)
オリジナルのテーマ曲の引用したり、敬意も払いつつ、
その一方で、ロボコップになった直後のアレックスのロボットパーツを取り除いた生々しい姿とか、
戦闘モードで己の意思で戦ってる錯覚を与えられて、気づかぬうちにロボットに使われているかもしれない恐怖とか、
オリジナルよりより鮮明になっているのではないのだろうか?
ざっくりとオリジナルの1〜3までを一本に詰め込んで、今後新生ロボコップの続編は出なさそうだけど、これは観てよかった。
しかし…スマートなロボコップ、ジョエル・キナマンもいいけど、利発な奥さんもいいけど、
若かりし頃よりも歳をとっていい感じになったゲイリー・オールドマンと、これでもか!と強烈なサミュエル・L・ジャクソンのアクの強さったら…。
SF映画に慣れてしまって、変に警戒心やリアリティも持てなくなってる気がする。
そんな人にこそ、ロボットに対してもいろんな使い方や考え方、怖さがあるよねっていう根本的なことを改めて振り返ることができる作品です。
よりシャープによりスマートに、ロボット警官新生!
瀕死の重傷を負った警官がロボットとして復活する人気のSFアクションがリブート。
初めてこのニュースを知った時、「ロボコップ」も遂にリブートされるのか…と思ったもんだ。
その後初御披露目された映像を見て、びっくり。
黒!?
シルバーじゃないの!?
一物の不安を感じつつ実際見てみたら、そう悪くないリブートなのでは?
全体的にシャープになった印象。
ティム・バートンもしくはジョエル・シュマッチャーの「バットマン」がクリストファー・ノーラン版のようにシリアス&ハードになった感じ。
そのシャープになった印象は、ロボコップのデザインそのものにも言える。
オリジナルは、良くも悪くもボテッとしたデザインだったが、スマートに格好良くなった。
初めはエッ?と思ったブラックカラーも意外といい。
ブラックカラーの前にシルバーバージョンも登場して、よりモデルの「宇宙刑事ギャバン」に似た雰囲気。
ストーリーはオリジナルをベースにしつつ、企業の陰謀や警察の腐敗を克明に。大衆を煽動するメディアなど現代風。
ロボットとしてのシステムと人間としての感情の葛藤、家族との関係など、しっかりオリジナルを継承している。
ロボコップがED209によじ登り戦う、「2」を彷彿させるシーンもあり。
さすがに「3」のように飛びはしないが。
メインタイトルにはベイジル・ポールドゥリスによるお馴染みのテーマ曲が流れ、新世紀のゴジラシリーズで伊福部音楽が使用された時と同様の興奮。
主演のジョエル・キナマンはピーター・ウェラーよりイケメンに。だからか、オリジナルより顔出しが多かった気がする…?
脇が豪華! ゲーリー・オールドマン、マイケル・キートン、ジャッキー・アール・ヘイリー、サミュエル・L・ジャクソン!
オールドマンとキートンは某ヒーロー映画の新旧共演。
サミュエル演じるメディア王は、映画冒頭のMGMのライオンの声までも担当するというびっくり演出!(笑)
苦言があるとすれば、オリジナルのようなインパクトが無いという事。
オリジナル第1作目で、マーフィが蜂の巣にされるシーンは、幼少時に見てトラウマになったほど。
第1作目の監督はポール・ヴァーホーヴェンなのでこればっかりは仕方ないが、今回の監督ジョゼ・パジーリャもロボコップを新生させ、好編リブートに仕上げた。
黒に塗ればいいと思ったのか?
ほぼブラジル映画
オリジナルに対して最大の敬意を払いながらオリジナルでは完全に切り捨てられた(バーホーヴェン的にはどうでもよかった)家族愛をメインに据え、米国民が目を背けたくなるような社会風刺で締めた後にクラッシュのアノ歌を被せる、まるで『エリート・スクワッド』の3作目じゃないのかと錯覚するくらいにダークでシリアスな疑似ブラジル映画でした。同じくバーホーヴェン版では端折られていた、記憶とは何か、アイデンティティとは何か、どこまで肉体を失ったら自分は自分でなくなるのか、プログラムと自我の境目はどこか、といったSF的命題も散りばめられていて唸らされました。
確かにアクションシーンより会議のシーンの方が多いし、地味といえば地味でバーホーヴェン版に漲っていた狂気が全くないので地味といえば地味。しかしながらこんなに重たい映画を作る為に社会派のジョゼ・パジーリャ監督を抜擢し、きっちり氏の個性を発揮した作品を世に出したことは評価されてしかるべき。これだけの作品を作れたのはブラジルという国が日本では今ひとつ記憶に残っていない『巨獣特捜ジャスピオン』が大ヒットした国だということと大いに関係があると思います。
かっこよかったけど…
プラマイゼロ?
ちと生々しすぎる
魂の承継
笑った。本当に心から笑った。大笑いだった。涙が出て咳こんだ。
なぜ、この映画の評価が低いのか、理解できない。
冒頭の中東でのシークエンスがメタルギアソリッド4へのオマージュであったり、また「Fry me to the moon」や「Follow me」の援用といったエヴァンゲリオンや押井守監督への敬礼をちりばめつつ(どちらも人造人間やロボットに関する作品!)、ロボコップが始動する場面はダース・ベイダーがSWEP3で誕生するくだりへの露骨なオマージュであったり、圧倒的多数との銃撃戦はあのガン=カタを世に送り出した「リベリオン」への熱烈なラブコールであったりと、茶目っ気たっぷりサービスメガ盛りのフィルム。
さらに素晴らしいのは、ロボコップが作られたのが、実は高い高ーい塀に囲まれた中国の田舎の工場でした、というMacやiphoneのパロディ。こういった不謹慎なネタの数々、本家本元バーホーベン大監督への深い深い黙礼がもういちいち最高。
そう、この映画はアクション映画ではない。
コメディです。それも相っ当にブラックきわまりない。
映画が始まる前からそれはすでに始まっている。そう、配給会社のMGMのロゴ「レオ・ザ・ライオン」の吠え声からそれはもう始まっている。と同時にあの吠え声こそが、これから始まるのはコメディですよと雄弁に語っている。あそこで笑っちゃった方、正解です。
続くシーンは報道バラエティ。そして主人公マーフィーのストーリーへと続いてゆくが、ここでこの映画の構造が明らかになる。そう、マーフィーの物語のレイヤーが基底にあり、その物語をメタ化する報道バラエティ番組のレイヤーがその上位に存在する。その報道バラエティも痛烈なメディア批判の裏返しとして存在し、ラストの比類なきブラックジョークとして結実する。ここ、わかるひとには間違いなく大爆笑モノ。不謹慎すぎて笑うしかない、という。
しかし、この映画にはさらに上位のレイヤーが存在する。それは配給会社のMGMが、マスメディアでもあるということだ。
どういう意味かおわかりだろうか。そう「マスメディアってこーいう世論誘導や情報操作の偏向報道やるよねー」と痛烈に皮肉りながら、それを配給しているのが当のマスメディアなのだ。よくぞこんな企画が最後まで通ったな。
ここまで読んで頂いて、おわかり頂けただろうか。この映画は単なるロボコップの焼き直しなどではない。どちらかというと、あの傑作SFコメディ「スターシップ・トゥルーパーズ」の痛烈なブラックジョーク、バーホーベン御大の批判精神に対する真摯な敬礼なのである。言ってみればバーホーベンの魂を受け継ぎ、語りなおしてみせた作品なのだ。
さらに付言すべき点は、この映画がマンマシン・インターフェイスに関する鋭い考察を内包していることにある。人間と機械の接点、その制御を、人間の意識と機械の制御ソフトウェアのどこで折り合いをつけるのか、機械と繋がったとき、人の意識はどう「在る」のか。この映画はその扉を大胆に開く。
充分以上のアクションであり、上質かつ不謹慎きわまりないブラックコメディであり、SFの神髄にも迫る。
改めて言おう。素晴らしいフィルムであると。
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