「最低のリメイク」ロボコップ zippo228さんの映画レビュー(感想・評価)
最低のリメイク
最低です。
80年代には、サイボーグやアンドロイドをテーマにしたSF作品が多く作られましたが、その中でも人気を得て名作と呼ばれるようになった作品に共通していたのは、サイボーグやアンドロイドの定義が独自の発想で成り立っているという点でした。つまり「ブレードランナー」、「ターミネーター」、「攻殻機動隊」、そしてこの「ロボコップ」のように、ひとくちでサイボーグ、アンドロイドと言っても、その設定がそれぞれに、他の真似をしていない独自のSF設定を持っています。そしてその設定自体がストーリーを牽引する作風となっているため、作品としての個性と面白さを有していました。
元々のロボコップのサイボーグとしての設定は「大企業によるロボット警官開発計画において、A.I部分だけが開発できなかったため、優秀な人間の警官の脳を部品として利用したサイボーグ」というものであり、これが作品の独自性として必要不可欠な要素となります。この独自の発想そのものがストーリーとしても機能しているSF映画でした。
しかしこのリメイク作では、そんな独自の発想をないがしろにして設定を変えてしまっています。「脳に直結して動かせる義手、義足の技術が発達したため、大富豪の社長の遊び心で全身サイボーグの人間を作る事にした」という違う着想に変えてしまっているのです。しかも完全ロボットの警官はすでに実現しているというマヌケ設定まで付け足していて、何のためのロボコップか全くわからなくなっています。
こうなると、結果としてオリジナルと比べると、ロボット警官が誕生するのは同じだとしても、SF作品としての質は全く変わってきてしまいます。
このような改悪は、リメイクの制作陣が、キャラクター設定をより現代的にあり得そうなものにする事を優先して考え、オリジナルが持っていたSFとして最も大事な独自性の部分を切り捨ててしまっている事によります。これはリメイク製作陣がSF音痴だった事による悲劇たと言っていいでしょう。
義手、義足の進化から全身サイボーグを作るという発想は「攻殻機動隊」の"全身擬体"という設定のパクりになってしまっています。本作リメイクの制作陣は、サイボーグ設定が攻殻とカブってしまっているという事にも、それがSF映画としていかにマヌケかという事にも、気づけてすらいないのです。
