ジャンゴ 繋がれざる者のレビュー・感想・評価
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「西部劇」、「奴隷制」とタランティーノ作品の相性の良さが光る。
○作品全体
「西部劇」、「奴隷制」という要素とタランティーノ作品のカタルシスが見事にマッチした作品だった。
「西部劇」の大半は物語中盤の敗北があって、その逆境に打ち勝つラストシーンが魅力の一つだ。「奴隷制」という制度も物語になる時、奴隷になった人たちが辛酸を舐める日々というのは必ず語られ、ときに栄光や幸福とのコントラストを生む。
タランティーノ作品にも、共通した魅力がある。監禁されたうえに襲われそうになったところを反撃する『パルプ・フィクション』。劣勢の状況がガラッと一変する『レザボア・ドッグス』。どちらも危機的状況からの大逆転が印象的だが、これは他作品でも該当することでもある。
ではタランティーノ作品ならでは、となるとなにが思いつくだろう。個人的には「決着までに要する長い時間と、決着がつく時の圧倒的なスピード感」だと思う。この要素は西部劇の戦いまでの因縁の描き方や、奴隷制の長い忍耐の歴史とリンクする。一方で一発の銃が決める決着のスピード感は西部劇の代名詞でもあるだろう。
その相性の良さが、本作では漏れることなく発揮されていた。カルヴィンに弾丸を食らわせるまでのブルームヒルダが受けた数々の仕打ちと、それを悦ぶキャンディ家の人々の表情。カルヴィンに出会ってから屋敷を訪れ、本題に迫るまでに蓄積される鬱憤は、この作品がここに一番時間をかけていることと切り離せはしない。
それでいて決着がつくのはシュルツの一撃での一瞬。「すまん、我慢できなくて」という一言は、私達が抱いている気持ちをスッキリと代弁してくれている良いセリフだった。
ジャンゴ自身の因縁は未だ終わらず、再びキャンディの屋敷に戻ってきて精算する流れも素晴らしい。自由人という肩書きがあるから全てが報われたわけではないのは、奴隷解放宣言後の世界とも繋がる。ジャンゴ自身の手で、そしてジャンゴ自身が身につけた話術という処世術で未来を切り開いたラストは、爽快感で溢れていた。
この爽快感の根源は「題材」と「監督のセンス」ががっちりとハマっているからだろう。だからこそ、それぞれの長所が輝く作品だった。
○カメラワークとか
・ズームの演出が多い。西部劇が流行った60年代リスペクトだろうか。隠し事が悟られる時に使われがちだったけど、緊張感を生む反面、ちょっとギャグっぽくもあった。
・ズーム演出もそうだし、タランティーノ爆散カットもそうだけど、ちょっと特撮チックだった気もする。
○その他
・タランティーノ爆散カットはめちゃめっちゃ笑った。
タランティーノの魅力たっぷり
南北戦争前夜のアメリカ南部。白人賞金稼ぎの協力を得た黒人奴隷が、奪われた妻の奪還に挑む物語。
タランティーノが描く西部劇。
タランティーノらしく、ギリギリのグロさを魅せるアクションが秀逸な作品ですね。
惨たらしい人種差別の実態をしっかりと描き、西部劇らしく激しいガンアクションを魅せ、カタルシスに繋げる展開は見事でした。
この作品、魅力的なキャラと俳優陣の熱演も見事でした。ジェイミー・フォックス、レオナルド・ディカプリオ、サミュエル・L・ジャクソン・・・
その中でも、クリストフ・ヴァルツが最高でした。主人公を導く飄々とした凄腕の賞金稼ぎ。その裏に自らの信念に殉ずる覚悟がある、そんな格好の良い大人。
そんな魅力的なキャラであるDrキング・シュルツを、ヴァルツが見事に演じ切りました。
残念な要素で言えば、上記のシュルツが主人公であるジャンゴに肩入れする動機が不十分に感じた事。
また、ラスト前に彼が退場したこと。正直、驚きました。この驚きは、拍子抜けに近いもので、映画に対する評価としてはかなりネガティブに感じてしまいました。
私的評価は4にしました。
ちょいちょいグロいけど、スッキリ
吹き替えで見たけど、ドクターのキャラが良かった。
ジャンゴが屋敷で降参した時はバッドエンドか!?とヒヤヒヤした。
ラストはドクター死んじゃったけどハッピーエンドでよかった。
結末後、賞金かけられる可能性あり
生き残りが証言したら、賞金かけられる可能性あるよね。
ジャンゴを気に入ってるから、ジャンゴの妻である奴隷女性を買いたいっていうことでも、高値なら買えたんじゃないかな。
作品じたいは面白い。
殺し合いと言っても本当に殺す訳じゃないし、エンターテイメントな作りだから、後
味の悪さはない。
ジャンゴはかっこいい
なぜ頑なにシュルツはレオと握手しなかった?
握手さえすればたぶん平和に終わったのに!
シュルツめちゃくちゃ良い人だった。
ラストのジャンゴはカッコよかった
昔の銃だからか、1発でものすごく吹っ飛ぶ。
レオはやっぱり死んだ、、。
途中のあのガラスで手を怪我したところ迫力あった。血が思ったよりめちゃくちゃでてて痛そうだったのに良く続けられるなぁと思った。
ちょっと長く感じたけどダラっとはしなかった。
レオの弁護士?役の黒人おじいちゃんも良かった。
見終わってから知ったけどサミュエル・L・ジャクソンだった。気付かなかった、、。存在感すごい!
笑いどころが所々あった。
記録用
3時間弱。きっとこれから面白くなるに違いないとずっと思っていた。まったく面白さがわからないまま終わった。
とにかく人をどんどん撃ち殺していく。撃たれると尋常ではないくらい血を噴き出してバッタバッタと倒れていく。興醒めだ。
ただ一点、ディカプリオのねちっこい悪ぶりが良かった
"It's me, baby"
きゃあぁ。かっこよすぎか。
長かった、、けど、よかった。
ブリュンヒルデって、あれだっけ。ワルキューレ?すいません、オペラは生半可な知識しかない、、 怖いもの知らずのジークフリートが寝顔を見て、「生まれて初めて怖いと思う」っていう、あれだっけ。後で調べます。
イングロリアス・バスターズ(部分的に観た)はナチスドイツがテーマだけど、それに出てたらしいクリストフ・ヴァルツが、ドイツ人だけれどもユダヤ人をいじめるドイツ人としてではなく、いじめられてる黒人を助ける人間として登場するっていうのが面白いですよね。
で、よくよく聞けばその黒人の嫁の名は「ブリュンヒルダ」。ドイツ系の人間に仕えててドイツ語も話せる。人って、同郷とかに弱いもんねー。これは、縁を感じちゃうよね。
賞金稼ぎと元奴隷が、反発しながらも互いに認め合い、最後は協力し合って互いの目的を遂げる――みたいな、勧善懲悪で最後はみんなハッピー、みたいな映画だったら他にもあり得そうなんだけど、そこはタラちゃん。一筋縄ではいきませんねぇ。でも、現実ってそんなもの。いや、それにしちゃジャンゴの強さは現実離れしてるけどねw
美しいじゃない。ブリュンヒルダ、めっちゃチャーミングだしね。映画ぐらい、夢見たいよね。
あとタラちゃんはやっぱり音楽がいい。ワルキューレの冒頭?もかかってたし。
彼のような偽善者の白人に西部劇を撮らせるより、黒人や先住民や女性に撮らせた方がよほどマシだ。
タイトルにも書かれてある通り、本作品を見るより、黒人監督が撮った「マグニフィセント・セブン」の方が数倍も面白いし、第一、健全な描写であり、娯楽作品である。
まともに、マニュフェスト・デスティニーもフロンティア・スピリットも理解していない、歴史書も読まないような、「オタク」に面白い西部劇を作れる筈がない。
先住民の立場も奴隷として当時生きた黒人の苦労もその過去の映画作品からの表層的な面しか、なぞらない者に分かる訳がない。
「マカロニ・ウエスタン」ばかり見るのでなく、タランティーノはちゃんと歴史書に目を通せ。
そして、南北戦争の子孫と思しき両南北部の生き残りの方々から語録を受け取れ。
そして、本国では一番禁句なNワードを連発した罪を犯した愚行に対し、黒人の観客にタランティーノは土下座せよ。
そして、元ネタ作者である「セルジオ・コルブッチ」氏に、作品の知名度とイメージに完全に泥を塗り、汚した「功罪」に対し、やはり土下座して贖罪せよ。
この監督は、現実にはサミュエル・ジャクソン他の黒人のキャストやスタッフ共演者には表向き、俺は君たちの味方だよというアクションや愛想を「社交辞令」で振りまいて、彼らを騙しているのだが、劇中でものの見事に黒人を「獣以下」「家畜並みの存在」として、その汚く、執拗に何度も連呼する「Nワード」のセリフを言わせしめ、ジャンゴを通して、表現している。
彼が援護する黒人の正当性と映像の本編の黒人の描かれ方がものの見事に乖離し、矛盾している。
暴力に対しもっとひどい暴力でマジョリティーである白人に復讐している。
果たして、この一連の被支配者からの反逆を白人たちは見て自分たちがこれまで黒人やマイノリティーに対して犯してきた数々の不平等の機会や待遇に対し、反省し述懐するのだろうか?
こういうやり方はかえって「火に油を注ぐ」というか、黒人はやはり危険な生き物だと再認識させてしまうのではなかろうか?
いくら、フィクション、映画の中とは言えど、これらの描写を信じてしまうマジョリティーも少なからず存在すると思うのだが。
これら、一連の描写を撮るにあたって、タランティーノは本当に彼ら「黒人」の味方なのかと、疑問視してしまう。
実際、本作品は本国在住のアフリカ系アメリカ人たちから作品として酷評され大ブーイングを掲げられている。
嘘だと思うなら、今すぐYoutubeへ飛んで「django unchained 」で検索してみると良い。
最も、タランティーノファンからすれば、信じ難い事実ではあるが、耳の痛い忠告という事も念頭に入れておいて貰いたい。
表現の自由という「自由」も、それらはあくまでも、表現のモチーフにされた相手の立場を代弁したものであるという事を。
そして、それは、本当にモチーフが心から望んだ結果を招いているのかを。
その結果から鑑みると、残念ながらこの作品はトンデモ作品である。
全くの逆効果であり、黒人と白人の分断を更に煽っている。
本作品の存在そのものが人種間の分断を煽り、黒人の地位を脅かせ、誤解させる基になっていると考えられ得る。
黒人も白人同様「人間というものはシロもクロも黄色も関係なく、本来、その存在はすべてが汚い物だ」という誤った「人間みな平等に悪だ!」という性悪説の精神を喧伝し、その歪んでひねくれた感性で茶化しあげ、彼が独自に持つ一種の「ニヒリズム」と「唯物史観」だけがこの物語の根底に流れる。
実際、その後のタランティーノは一連の「Black Lives Matter運動」をそう感じ、実に「シニカル」にアメリカ社会の分断を傍観しているに違いない。
いや、笑っているのかもしれない。
彼の作品を見て、苦痛に顔を歪ませる観客の反応を楽しむかのように。
こんなに腐った連中がアメリカのメディアの表舞台に立って、さも偽善者ぶってマイノリティーのご機嫌を取っているのだから、一向に黒人の地位や質が上がるわけがない。
黒人に必要なのは銃の腕前ではなく、白人と同程度の「教養」と「学識」である。
其の為の「教育」が必要である。勿論、産業に直結した実学である。 そして、哲学である。
そして、真に平等な労働条件の平等性とそれらに説得性を持たせる州全体をまたぐ法整備の拡充である。
ところが、この作品では、黒人の「反知性」だけを故意にクローズアップ・増幅し、黒人がさも危険視されるように描かれてある。 悪いのは、何も白人だけでなく、「黒人」も悪いのだと。
そんな事、人間なのだから生物学上、当然ではないか!
では、白人の優位性が認められるなら、オバマのような黒人の優位性も評価されて然るべきである。
少なくとも、自分は現政権より、前のオバマ政権の方を人道的見地から高く評価している。
本当は、本作の主人公の黒人もむやみやたらに銃をぶっ放すのではなく、聖書でも片手に、その一説でも唱えながらやむなく銃を抜く等いささか銃撃する事さえ躊躇うような表現にでもしておけばよかったと思う。
更に不味い事に、タランティーノの自説や趣味嗜好を庇うように、現実の生活でもこんな偽善者野郎に忖度し、同調するサミュエル・ジャクソンのあまりの「人の良さ」「善人ぶり」はどうかしている。
君は、この顎のひしゃげた白人から「被支配者代表のスポークスマン」「エージェント」として、担がれ、利用されているだけなんだよと老婆心でもサミュエルに進言してあげたい。
タラに同調する行為はまさに「利敵行為」であり、同族(黒人達)に対する裏切り行為なのだと。
頼むから、目を覚ましてくれよ!と
だから、本来ならば、こういうデリケートな社会問題は白人が先導して作るのでなく、スパイク・リーとか、もっと辛口で信頼性の置ける黒人のアーティストにハリウッドは仕事を委ねるべきなんだ。
オバマ元大統領みたいなね。
もしくは、マイケル・ムーアみたいなちゃんと、マイノリティーの厚生福祉の問題まで提唱してくれる善良で教養ある真面目な白人が作り手としては最適なんだ。
こういう好戦的で武力や暴力優先で全てを片付けようとするおめでたい短絡思考派のマジョリティー(彼の先祖であるイタリア系白人も含める)がメディア側に立ち、狂暴で間抜けな黒人のイメージを意図的に作り上げ、無垢で無知な大衆を洗脳せんとする現在のアメリカ社会を見れば、分断自体、白人が作り出し、煽り、暴動を深めているとしか考えられない。
この物語を見ていると、そう感じざるを得ない。
まったく、解決手段があまりにも「短絡的」だ。
勿論、目玉である表現描写のアクション自体もお粗末極まりない。
バック・スピン・ショットとかロード・エイジェント・スピン等おおよそウエスタンには付き物の「ガンプレイ」の華麗さが全然足りていない。
銃撃やガンプレイの表現自体もアクションに何の一ひねりもなく、ただ銃をぶっ放し、無駄に血糊の量を増やすだけで、俳優に努力をさせないし、持ち味を生かさせていない。
これでは、本家本元の「用心棒シリーズ」で定評のあったフランコ・ネロの「真昼の用心棒」で見せた「宙返り回転撃ち」やジュリアーノ・ジェンマが「南から来た~」や「星空の~」で見せた「曲撃ち」の方がよほどファンサービスに徹して、カッコよかった事か。
マカロニウエスタンはかつてはむしろ上記のようなカッコいいい「ガンプレイ」のアクションを見せ場にしていたのが慣習であり、目玉であり、ヒットするのは大概ポスターに曲撃ちの技名を製作者側とは別に勝手に配給会社がキャッチコピーして宣伝していた。
それだけに、数多くの俳優が変わった「ガンプレイ」をマカロニ作品群で披露したものだ。
ところが、本作品では、俳優にろくにガンプレイもさせず、ただ、ライフルや拳銃を一発撃つだけで簡単に悪漢が身体から火と血を流して倒れてくれる。
せっかく、デカプリオを出演させているのだし、彼はクイック&デッド(1995年)で、ジーン・ハックマン相手に華麗なる「ファストドロウ」を披露して、実際ガンプレイ・テクニックも十分過ぎる位素養もあるし、見せ場も提供出来るはずなのだが、なぜか、彼にもガンプレイは封印させている。
マカロニの真骨頂はガンプレイなのだから、少なくともHoward DabyやJoey Dillon等現在でも活躍するファストドロウの名手に監修でもさせておけば、もっと「cool」で「テクニカル」な「ガンプレイ」の楽しさをお客に堪能させる事が出来たはずだと思うのだが。
もっとも、僕をゲンナリさせている表現は銃撃戦で相手にヒットした際、無駄に血が多過ぎる。
娯楽やエンタメにしては、この血の量が多過ぎると、見る人にとっては大変「心臓」に悪い。
実際問題、銃撃戦ではあれほど多量の血が流れない。
タランティーノの作品はどれもそうだが、血糊の量が必要以上に多いので、少し、抑え気味にして、観客にもう少しという所で止めておくぐらいでエンタメ作品としてはちょうど良いと思うんだが。
本作の銃撃戦も無駄や冗長さ・クドさが際立ちすぎる。
「スカーフェイス」等のギャング映画や「仁義なき戦い」のような日本のやくざ映画じゃないんだから、連射して、必要以上に悪役を蜂の巣にする必要もない。
もっと爽やかに「ワン・ショット ワン・キル」(一撃必殺)のヒット(相手の体に着弾させる)だけで十分だと思う。
カウボーイらしくもっとスマートにダンディズムにさりげなく演出してほしいのだが……。
自分の世界の絵(映像)の撮り方しか興味がない御仁のようだ。
全く、ナンセンスの極みだし、露悪趣味過ぎる。 スプラッターの趣向しかこの監督は頭にないのか?
お客は鮮血が見たいわけじゃない。 華麗なるカウボーイのガンプレイが見たいのだ。
こういう訳で、この監督、全く、御客の潜在ニーズもヒトの心理も心得ていないし、関心がないらしい。
全編、自分の趣味だけ、自分が好きなカットと見せ場だけ。
タランティーノは、趣味も嗜好も偏向過ぎて、彼が描く人間観もアメリカ人としての「アイデンティティー」もすべてが歪んでいる。
マカロニウエスタンばかりでなく、もっと「大西部への道」「大いなる西部」「西部開拓史」等の少しクラシカルで真面目な「アメリカの正統派の西部劇」それもガンファイトが少ない出演者のセリフが多い作品群も多く視聴し、趣味をもっと健全に広く保つべきだ。
あまりにも、短絡的で単純な人間像を描き続ける愚行をこの監督は相も変わらずどんなに年数を重ねてもこれでもかと繰返す。
それこそ「暴力」しか解決手段がないかのようにこれでもかゞと同じ表現手法しか見せ場を作らない。
現実の人間像とは程遠いような、全く思慮深くもなく、只々、暴力と残忍な報復しか考えられないお粗末な人間像しか描かれていない。
なので、彼の作品では出演者のセリフに全く共感できない。
彼の脚本には「知性」も「教養」も全く感じ取れない。
ただゞ、血と阿鼻叫喚とナンセンスで殺人の後でさえ、人を人とも思わないセリフのオンパレードだ。
登場人物は、絶対的なリアリティーの欠如だらけのキャラクターばかり。
こんな「ヘイトフル」な連中にどこをどう共感し、彼らに理解を示せというのか?
こういう人間に憧れでも抱かせたいのか、勝負に勝てばどんな卑劣で残忍な手段でも甘んじて受け入れろという正義へのアンチテーゼを広めたいのか?
最後に一抹でも良いから、少しは敵に情けをかけるとか、後味に「希望」であるとか、ある程度の「ファンタジー」を感じさせてくれれば自分もこれほど酷くこの監督を批評しないで済むのだが。
正直、彼の作風は「嫌い」だ。
私は、ニヒリズムでもなく唯物論者でもないので、この作品の視聴は、B級西部劇としても最も最下層にカテゴライズされ、下品極まりなく、見るに堪えない。
したがって、人には決してすすめない。 問題作である。
最後に、「Black lives matter」運動の急先鋒で吊るしあげられる映像作品の代表格として本作品は徹底的にマイノリティーから糾弾され、叩かれるべきだ。
解放感がとても良かった
・漠然と黒人差別がありましたと知りながらも、こういった映画を観ると改めて差別の事実がとても多いのだと思い知らされて切なくなった。そこを救済する話になっていて幾分、スカッとした。
・馬の激しいスタントシーンが多くて凄いなと思った。倒れこんだり、馬具がないときは鬣をつかんで走るのを初めて知った。
・黒人が馬に乗っているだけで驚かれるシーンに驚いた。時代時代で様々な観念があるんだと思い知る。今、当たり前って事もいつかはおかしい事になるのだろうとこういうのを観るといつも思う。
・黒人に対する様々な拷問が観ていて辛かった。事実を元にした描写と思うと胸が痛む。
・ラストにディカプリオを撃つシーンが良かった。我慢できなかったっていう理由が何ともいえなかった。そでからデリンジャーが出てくる感じが気持ち良かった。
・マンディンゴを楽しむ事実がとても悲しかった。
・ドリームやグリーンブックで差別している側が理解を示して仲が良くなっていったけど、そういった気配もない時代があったと思うと恐ろしかった。
本物のヒーロー(アンチヒーロー)とブッチギリに卑小な外道
通常の娯楽映画に親しんでいる人間には(僕も含めて)この映画を初めて見たら戸惑うと思う。タイトルロールのジャンゴ役にはタフそうなジェイミー・フォックス。彼が奴隷商人に屈するようには見えないし、逆に反撃できるぐらいの力強さをスゴく感じる(弱そうな男の印象、今ならオタクと草食系だし)。ただ先に断言する。エピローグで見方は変わる。タランティーノ作品では『パルプ・フィクション』(1994)の次に好きです!
まずとにかく素晴らしいのは、シュルツを演じるクリフトフ・ヴァルツ!ランダ大佐が見事だった『イングロリアス・バスターズ』(2009)から、こんな素敵なオジサマをわずか3年でお見せするとは!いやもはや参りました!師としてもパーフェクトです(『スター・ウォーズ』のクワイ・ガン・ジン、ヨーダ級の存在ですよ)!
「賞金稼ぎ」というオフィシャルで悪を討てるこの仕事の利点難点それらすべてを丁寧に教えてくれて(現代人は参考必須!)、それでいて相棒としても頼もしい存在感。茶目っ気のあるところだったり、エレガントなビールの注ぎ。これらすべてが品格に直結していて見事でした!だからこそミスタープッチに撃ち殺されるあの最期は、哀しくって尚更「ジャンゴ頑張れ!」って応援しました!一時は「主演男優」になった逸話も納得です。まあその分ジャンゴが主役に昇格するのがかかりますが(これは後述)。
レオについては、いつになく楽しそうに演じてましたが、サミュエルさんの存在感に残念ながら霞んでましたね(笑)ただ良いバケーションにはなっていたと思いますよ(トラボルタは悪役芝居が楽しいって言ってましたし)wサミュエルさんは外道執事を実にイキイキ演じていて、負け犬の遠吠えや惨めな死に様サイコーでした!彼の爪の垢を煎じて、スパイク・リーに飲ましてやりたい!
少しここからフォックス版ジャンゴの良さで長くなります。彼の良さとは、“耐え忍ぶ”強さからの“爆発力”です(大高忍の漫画『マギ』のモルジアナを知ると良いかも)。序盤のジャンゴは心折れる一歩手前の状態ですが、根底には奥さんを見つけ出す闘志があって、それがシュルツの出会いを機にどんどん強くなっていきます。ただ先に述べたように彼の武器は射撃の腕より、“耐え忍ぶ”強さです(もちろん射撃も一級ですが)。
劇中レオが演じているカルビン・キャンディの所有奴隷が脱走するも、発見されて殺されそうになるんですが(脱走した黒人奴隷の名前はダルタニアン)、シュルツが耐え切れなくなって、助けるために挙手するのを、遠回しにジャンゴがそれを一蹴してしまいます。ただこの時ジャンゴの立場は『マンディンゴ』(1975)に匹敵する奴隷商人の芝居中で、ダルタニアンを助けた後のリスクを直視しているんです。結果的にダルタニアンは無残に犬に食い殺されて、ジャンゴとシュルツはピンチを回避し、キャンディランドに無事着きます。
ダルタニアンを見捨てたジャンゴに不満が出るかもしれませんけど、あくまでジャンゴは人間であり、スーパーマンではありません。ジャンゴの当初からの目的、それは奥さんを助けることで、その一心で男ジャンゴは頑張って生きてきたのです。なのに誰かを助けることで目的を諦めるのは、あくまで僕の意見ですが、究極の偽善者です。タランティーノはそんな行為をジャンゴにさせるわけがなく、ちゃんとここで“耐え忍んで“、最後に勝利を勝ち取ります(当然ですがダルタニアンの仇だって討ちますよ)!キャンディランドは木っ端みじん、ジャクソンさんも前述のように素晴らしい死に様です!
あそこでジャンゴが助けようとしてたらボクは白けてました。奥さんを取り戻すにはやれることをやるしかない。『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014)だってそうでしたから(白ける展開が見たいんだったら、そういう映画を見ればいいし)。
ただ不満を述べるなら、当初ジャンゴ筆頭候補のウィル・スミスで見たかった。彼は『アイ、ロボット』(2004)や『アイ・アム・レジェンド』(2007)内で見せた、弱さに負けてしまいそうな芝居が非常に素晴らしいので、そしたらウィルの代表作になっていたのは確かでした(今ではジェイミー・フォックス以外のジャンゴはあり得ないですが)。『スーサイド・スクワッド』(2016)のレビューでも指摘しましたが、彼はまだ引きに回る術と勇気を持っていない(前半は引きに徹する必要性がありましたから)。出ずっぱりでいたいスターの鎖はそろそろ断ち切らないと、ここ数年の不評の呪縛を抜け出すことは叶わないかと……。
他にも脇や話の地味さ、ジャンゴが主役へステップアップしていくのが終盤で、キャンディランドの銃撃以降は、ある意味長いエピローグ(銃撃戦でジャンゴが降参する場面は、未見ですが『殺しが静かにやってくる』(1968)の影響になるんでしょうか?)。それこそが最初に伝えた戸惑いの要因で、未だにボクはそのあたりにとても不満を感じています。贅沢は承知ですが、シュルツが一見主役のようにダマしながら描いておいて、退場後に不動の主役はジャンゴだと宣言して、長いエピローグの活躍をワクワクさせてほしかった。例え傑作だとしても、人と意見が違っても、これだけはどうしたって譲れない本音ですから……。
ただ先に述べたように、本作は『パルプ・フィクション』の次に好きな作品です!最終的にフォックスジャンゴはとにかくカッコ良かったし、シュルツは実に魅力的なジェントルマンでマスターでした!サミュエルさんは外道をとにかく素晴らしく全うして、史上最高にファンキーすぎる漢っぷりを見せつけました!
ぬるい娯楽が蔓延る今じゃ、刺激的なエンタメってだいぶ減少傾向なので、今のうちにチェックしといて損は無いと思いますよ。もし不満が勝っていても、でもなんか嫌いになれない映画だって感じたのなら、是非何度も見てください。新発見に出会えることを、素人なりに保証します!
これぞ、バイオレンスアクションの傑作!
キルビルを初めて見た時の衝撃がまた……
タランティーノ監督を神と思ってしまった。
感想
オープニングから見せつける暴力、暴力
中盤のディカプリオとのやり取りは
まだ、途中なのに興奮MAX!
そして、流れ込むようにまた、暴力!
ただの暴力では、伝えられない。
殴る蹴る撃つ刺すだけでは、わからない
人間の差別や凶暴性をうまく表現
している。
私の中ではただ、素晴らしいとしか、言えなかった。
タランティーノ監督はアカデミー賞を狙わなくて良いのでは。
2013年3月、TOHOシネマズ六本木ヒルズのスクリーン1にてオールナイトの最終回で鑑賞。
監督作でも、プロデュース作でも常に話題となるB級映画の鬼才クエンティン・タランティーノ。近々、最新作『ヘイトフル・エイト』が公開となり、それに合わせて、その前の監督作である『ジャンゴ-繋がれざる者-』のレビューを投稿しようと思います。
時は南北戦争の直前。黒人奴隷のジャンゴ(ジェイミー・フォックス)はある夜、雪道を移動中にドイツから現れた歯科医にして賞金稼ぎのキング・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)に助けられ、一緒に行動を共にしながら、賞金稼ぎのイロハを学び、領主のキャンディ(レオナルド・ディカプリオ)の奴隷となった妻ブルームヒルダ(ケリー・ワシントン)を助けに向かう(粗筋は以上)。
タランティーノ監督の過去作でゲスト監督を務めた『シン・シティ』以前の『キル・ビル』まではVHSかDVDでしか観た事が無く、本格的な監督作を劇場で観たのは『デス・プルーフ』からで、これが三本目の鑑賞作となり、『デス・プルーフ』と前作『イングロリアス・バスターズ』が素晴らしかったので、本作への期待度は高い方でした。しかし、この作品は過去作と比べても、比べなくてもつまらないと思います。
タラ監督はデビューした頃から、賞レースに絡み、受賞は逃しても、アカデミー賞やゴールデングローブ賞に必ずノミネートされ、高く評価されていますが、文芸作品や伝記映画、壮大で美しいエンターテインメントを追求した作品でなければ、受賞できず、何度もノミネートされては、ただ、そこに並べられるだけの存在に過ぎなかったタラ監督は本作で歴史批判やジェイミー・フォックス、クリストフ・ヴァルツの既に一度、オスカーに輝いている俳優やノミネートされても、未だに無冠な状態のディカプリオを起用して、「俺のようなムーブメントを起こせる奴が取りに行かないと、B級映画は永遠にアカデミー賞を取ることは出来なくなる」と言わんばかりの感じの作風を目指しているのは伝わってきますが、それを優先して、タラ監督が得意とする長い会話のなかにあるユーモアや予想もしないド級の展開などが少なく、アカデミー会員に気を使って、残酷描写も生温く、緊迫感に欠け、全体的に盛り上がりが少ない形で始まって、終わるので、何だか勿体無いとしか思えない印象を持ちました。
タラ監督は自身のファンの想いに応え、「俺のファンが観たがっているモノは、俺が観たいモノなんだ」という信念で力作を作り、近作のみで語るのは間違っていますが、『デス・プルーフ』ではCGを駆使したカー・アクション映画に渇を入れるかの如く、スタントと本物の車を使って撮影したカー・アクションで観客を魅了し、『イングロリアス・バスターズ』では第二次大戦を題材とした戦争映画に挑戦しても、娯楽のエンタメ作を維持し、カメラワークや長い会話、普通では思い付かない話と全てにおいてクセ者なキャラクターを多数登場させ、それを豪華な出演者を起用して、見事に描いてみせたので、本作にも、そういう“タラ監督にしか出来ない”作品を期待していたところがありますが、正直、説教臭さに溢れていて、「タランティーノ監督の新作を観に来た」というよりは作品そのものはフィクションで、マカロニ・ウェスタンの現代的な再現なのに「黒人奴隷に関する歴史の授業を受けている」という気分となり、映画を観ているという気持ちになれなかった所があり、何を描きたかったのかが伝わってこなかったので、これはダメだなと思うことしか出来ません。
この作品ではクリストフ・ヴァルツが二度目の助演男優賞に輝き、タラ監督も二度目の脚本賞を受賞しただけで終わり、本気でアカデミー賞を取りに行っても、いつもの通りの結果(彼は一部の映画人の娯楽に過ぎないオスカーを目指すよりもカンヌやヴェネチア等の世界中の映画人が評価する映画祭を目指して作品を作った方が良いのではないでしょうか)となり、本作の最も面白いシーンはタラ監督の登場シーンと回想シーンでの色褪せた感じの映像表現という点のみで、そこは本作が目指したブラックスプロイテーション映画のオマージュに納得がいき、“グラインドハウスの精神を甦らせる”という『デス・プルーフ』の頃から掲げていた目標をタラ監督が持っているというのを分からせてくれたので、良い点も僅かにありますが、個人的にはタランティーノ作品のなかで最も面白くなく、彼の作品だとは思いたくありません。今度の『ヘイトフル・エイト』では、今回のような印象を持たずに楽しめたら良いなと思いながら、期待したい(予告の印象ではキャスティング、話の双方でオスカーを狙っていないように見えます)です。
ディカプリオの悪っぷりがイイ映画
タランティーノの最高傑作と名高い本作をやっと拝見。
確かにいつものエンターテイメント性に黒人奴隷という
奥深いテーマを加えた名作だと思ったが・・・
個人的にはイングロリアスバスターズの方が良かった。
クリストフ・ヴァルツの演技に既視感があったのと
企みがばれるシーンがちょっとあっさりしすぎだった。
・・・そもそも、ドイツ語がしゃべれる奴隷が欲しいって
それだけでアプローチしたらだめだったのか???
例によって、それじゃあ映画にならないけど ( ̄▽ ̄;)
というのは些細なことで、やっぱりタランティーノ作品は面白い。
黒人と白人
黒人と白人に分けるのはよくないけど、分けて書かせてもらいます。
南北戦争前だからまだまだ黒人差別というか奴隷制度はあったわけだ。その中で生きるジャンゴたち。今では想像も出来ないくらいのことをされたんだと思う。
この映画のいいところは、まず黒人と白人がきっちり別れてるけど、どちらかが善人で悪人かは言いづらいところがあるところ。白人でもいい人はいた。黒人でも悪い人はいる。
黒人の中で白人に従って忠誠を誓ってしまったものはどんなに肌が黒くても当時の白人のような心を持っている。
結局のところ悪人が文字通り悪いのだ。
R15+みたいだけど、R18+でもいいんじゃないの?ってくらいグロいシーンはあるし、見ていて辛くなるシーンがたくさんある。もう一度見たいとはしばらくは思わないかな。
でも凄くいい作品だし、拍手を送りたい。
P.S.ディカプリオは本当に最初のシーンではあれ?って思ったけど途中から完璧に演じていた。
タランティーノとレオ様のチャレンジに卒倒しかける。
「私が言おうとしてるのは、この映画が私の先祖に対して失礼だということだ。これは私の意見で、誰かを代表しているわけではない。アメリカの奴隷制はセルジオ・レオーネのマカロニ・ウエスタンではない。ホロコーストだ。私の先祖は奴隷だ。アフリカから盗まれた。彼らに敬意を払う」by スパイク・リー
久々に、タランティーノ作品ですんごく、すんごく、すんごく面白いと思いました。
そしてジャンゴの戦いが、黒人差別をなくすでも、奴隷解放でもなく、ただ愛する奥さんの為であるということが、一番痺れるポイントでした。
本作は人種差別を描く為に、奴隷と極悪白人農場主って設定にした訳ではないんでしょう。ただ虐げられた者が、復讐の為に極悪人バンバン撃ち殺す為に、こんな設定なのではないかとさえ思えます。
その為、史実と違う描写もあり、その点をスパイキーは許せないのだと思います。ですが、1980年代後半~1990年代にハリウッドで作られた、史実に則って(?)はいるが、「DMD」とか「MB」等の、なんちゃってな人種差別映画より断然良いと思います。
そりゃ、タランティーノなので、奴隷の背中を鞭で叩くであったり、血しぶき、肉片が飛び散る銃撃戦であったり、奴隷を犬に喰わせるであったり、灼熱地獄といって、逃亡した奴隷を、なんか鉄製のお墓みたいなところに入れて炎天下放置するとか、(無駄に)残虐なシーンはあります。
けれどそれを補う会話の面白さや、役者達の演技の魅力があります。本作2時間45分。全く、飽きさせません。
特に、ディカプリオ。「ギルバート・グレイプ」から11年、改めて惚れ直しました。ディカプリオ演じる、何故かフランスかぶれで、異常なシスコンの農場主:ムッシュ・キャンディは、「ゲス野郎」です。黒人同士をどちらかが死ぬまで戦わせる「マンディンゴ」を行っている、奴隷達の独裁者。
あの登場シーン。振り返ってニヤリと笑い、鼻から煙草の煙を出す顔!やばい……、一瞬で極悪人だと思わせる。あまりに素敵過ぎて、卒倒しかけました。
印象的なシーンがあります。
目の前に、ずっとキャンディ家に仕えいた黒人奴隷の頭蓋骨を置いて、 キャンディが言います。 なんで黒人達は、白人を殺さないんだ?と。
「この(頭蓋骨の)男は50年間キャンディ家に仕え、ポーチに座る親父の髭を週3日剃っていた」
50年間もカミソリを親父の首に当ててるんだから、簡単に殺せただろう? と。何故殺して、逃げないんだ?そこで、奴隷達の隷属性について語ります。この部分、なかなか白人監督作品ではお目にかかれない、切り口だと思います。チャレンジャー、タランティーノ。
シュルツがジャンゴの奥さんを買い受けます。するとキャンディが、シュルツに握手を迫る。シュルツの脳裏には、犬に食われた奴隷の姿が蘇り、握手できません。そして怒りにまかせて、仕込み拳銃でキャンディを撃ち殺します。
「ジャンゴ、すまない」
振り返って、ジャンゴに謝った瞬間に撃たれて即死です。制御できない自分の怒りに負けてしまったことを、謝罪した訳なんですが。その去り方が、また格好良すぎる。
そして、ここからが本作の興味深いところですよ。極悪人キャンディが死んだ後、本当の悪人が分かります。この農園の影の支配者。奴隷頭:スティーブン(サミュエル・L・ジャクソン)です。スティーブンは黒人でありながら、白人に擦り寄り奴隷達を支配し、またキャンディですらコントロールしている。ここ、奴隷達が全て無垢で弱かった訳ではなく、悪が存在したということもちゃんと描いている。白人監督では、チャレンジだと思います。
また、初老のスティーブンを演じる、サミュエル・L・ジャクソンが凄い。巧い。南部にいるおじいさんって、あんな感じで喋りますよ。懐かしくなります。
但し、諸々気を遣ったのか、キャンディ(白人)を殺すのはシュルツ(白人)だし、ステーブン(黒人)を殺すのはジャンゴ(黒人)となっております。
本作は勿論、「続・荒野の用心棒(全然、続編じゃないよね?)』 へのオマージュでもあります。「続・荒野の用心棒」でジャンゴ役を演じたフランコ・ネロが、ある役で登場しています。その台詞が、また洒落てるんです。あ、言いませんよ!どうぞ、ご自身でご確認を(笑)
PS タランティーノ&ドン・ジョンソンも出てるよ。あと、2PACとJB2人の亡くなってからのコラボが、終盤の銃撃戦で流れます。かっけー!
ゲスの極み
痛快西部劇といった感じに仕上がっています。
スカッとします。
主演のジェイミー・フォックスはなかなかかっこよかったです。
悪役のディカプリオのゲスの極みっぷりがすごいですww
ハラハラドキドキの展開で画面に釘付けにしてくれます。
銃撃戦も西部劇らしいナイスな仕上がりになっていてgood
タランティーノもカメオ出演していてびっくりwww
観て損はない作品だと思います
最っっっ高!!!
最終的に2回観ました。
とにかく一番言いたいのは「クリストフ・ヴァルツ最高!!」!!
冒頭から話の分からない奴隷商人を突然ブッ殺すDr.シュルツに初っ端からシビれまくりでした。
紳士なルックスと気取らないのに何だか華がある話し方で、目にも止まらない機敏な動作で銃を取り出し容赦無く撃ち殺し、
銃をくるくるっと回して華麗に腰にしまうあのガンスピン。格好良すぎて鳥肌立ちまくり。この時点でDr.シュルツの虜。
ちょっとした手の動き、目線の動かし方まで細部に渡り素敵すぎます。
テキサスの酒場で保安官をブッ殺し駆けつけた連邦保安官に「こいつは実はお尋ね者の賞金首ですよ。」と巧みな話術でキメるシュルツ、
「マジかよ」と言わんばかりに目を丸くし驚くジャンゴ、もう最高です。
農場で当初の目的の三兄弟をブッ殺した夜、農場の主が仲間をたくさん連れて復讐(?)しに来る。
その時にみんな白い布袋に穴を開けたものを被っているけど、どう見ても穴の位置がめちゃくちゃ。
「クソッ前が見えねえ!!」、「動かなければ見えるけど馬に乗ったら何にも見えねえ!」、
からの「袋無くてもいいんじゃない?」→農場主「袋をかぶんなきゃ何の意味もねえだろ!これは襲撃だぞ!!?」
この辺のやり取りにニヤニヤ。タランティーノ独特の何とも言えない笑い、好きです。
ストーリーもガンアクションもキャスティングも全部最高でした。
最後に監督自らダイナマイトで吹っ飛んだところは吹き出しました。
バンバン人をブッ殺す場面がたくさん出てくるけど、ところどころ、というよりは割といっぱい、馬だったり壁だったり綿の花だったり服だったり雪だったり、
真っ白いものに鮮血がびゃっと飛び散るシーンがあって、色のコントラストや大量の血にゾクゾク。
実際人を撃ったらあんなにドバドバびしゃびしゃ血が出るのかな?
あと個人的にはDr.シュルツのファッションもツボでした。
グレーのジャケットとパンツに、中のベストは暗い緑色のチェックのスリーピースのスーツ(燕尾服かな?)に、お洒落で紳士なシルクハット、
雪山で着ていたもふもふ毛皮のロングコート、ジャンゴのド真っ青な衣装も何だかんだ素敵。
最後に二丁拳銃でバンバン撃ちまくるジャンゴはめちゃくちゃ格好良かったし、バタバタ人が死ぬのもスカッとする。
Dr.シュルツに入れ込みすぎていたからか、あそこで死んでしまって本当に悲しかった。
出来るならバディとして二人でずっとバウンティハンターでやっていって欲しかったです。
ラスト、屋敷が爆発してそれを背に不敵にニヤリとするジャンゴ、そして馬に乗って妻にゆっくりと一歩ずつ近づいていく姿は本当に物語の中の王子様のようでした。
BGMのチョイスや入れるタイミング、カメラワーク等いろんなところが何となくアニメーション的だと感じたのは私だけかな?
3時間近くと長めですが、こういういい映画を観たあとは何とも言い難い幸福感に包まれます。
もう一度観たい!DVD買うぞっ
こんな歴史映画があってもいいじゃないか!
昨年の夏から待ち焦がれていたジャンゴをようやく鑑賞することができた。
あえて平日のレイトショーを選び、私とあと二組しかいない、ほぼ貸し切り状態で臨んだ。
結論としては、私の中ではここ5年の最高傑作といえる。
もちろんタランティーノの大ファンだから、点数はかなり甘いんだろうと思う。
しかし、前作のイングロリアスバスターズをあまり好きになれなかった私としては、ひさびさに気持ちよくタランティーノ作品を見せていただいたので評価アップしまくりだったんですよ。
イングロリアスバスターズでのクリストフ・ヴァルツは最高だった、もっと彼の演技を見せてくれ!ブラピいらんから!と、渇望したくなるほどだったが、ジャンゴでは彼の名演技をたっぷりと見させてもらって大満足。
最後のシーンで男のプライドを貫き通した時など、ストーリー的には(アチャー)な行動だったんだろうが、私はこれぞ男!とばかりに心の中で拍手喝采。
どちらかというと本来のエンディングシーンよりもあのシーンにグッときてしまった。
そしてディカプリオの素晴らしさときたら!
今まで軽蔑してました、ごめんなさい。
イングロリアスバスターズでのあのブラピのドヤ顔演技が鼻について仕方なかった私は、最新作にはディカプリオが出ると聞いてガッカリしたもんだった。
それがどうよ?ものすごくナチュラルに、南部のアホボンを演じ切れているではないか!
ホント、ブラピみたいなエラ張りダイコンなんかと同一視した私が申しわけなかった。
そしていつものタランティーノ組の人たち。ファンとしては、彼らをスクリーン上で認める度に嬉しくなってしまう。
超芸達者のマイケル・パークスにスタントマンの姉ちゃん、サミュエル・L・ジャクソン。。。
しかし、今回のサミュエル・ジャクソンの役柄は衝撃的だった。今まで彼が演じた役柄の中で一番黒かったんじゃないですかね?
てか、あんまり映画見ないので、サミュエル・ジャクソンが悪役した記憶がないんですけど、あった?
だいたい責任感があって、正義感があって、主人公に的確なアドバイスを与えるような良い役ばかりの印象があるんだが、今回ばかりは真っ黒。
アンクル・トムを大げさにディフォルメしたようなベタな奴隷頭キャラなのに、3代目ご主人様であるアホのディカプリオと二人っきりになったらふんぞり返って酒飲みながら指示を出す影の支配者。
あれはあれでかっこよかったけどね。
そしてタランティーノご本人、ホント彼は自分の作品中で一瞬で死ぬ役が好きだねえ。今回も気持ちいいくらいアッサリした死にっぷり。お約束大好き。
さて、ストーリーだが、やはりモチーフをホロコーストから奴隷制度に変えただけで、ベースはイングロリアスバスターズと同じ。
歴史を独自に解釈し、エンターテインメントを混ぜ込んで、ヒーローが悪者をぶっつぶして気持ちの良い作品にしたもの。
イングロリアスバスターズではヒーローは女性(しかしヒロインという語感に違和感)で、最後に死んでしまうという後味の悪さが残ったが本作品は非常にサワヤカで痛快な物語だった。
グロシーンが結構出るのでR15だけど、お子様もお年寄りも楽しめる勧善懲悪ストーリー。
私が戦国自衛隊が大好きな理由が、この映画で少しわかったかもしれない。
歴史上起こりえなかったことを、痛快なヒーローものとして起こしてしまう物語。
日本だと「歴史を歪めるのはダメだ」なんて識者が反対するだろうけど、同じ物語を、今度は沖縄戦、もしくはアメリカの日本兵捕虜収容所あたりをモチーフにして作ってもらいたい。
きっとスッゲエ気持ちいいだろうなあ。
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