「オープニングから西部劇の世界にどっぷり。」ジャンゴ 繋がれざる者 りりーさんの映画レビュー(感想・評価)
オープニングから西部劇の世界にどっぷり。
何ともステキなオープニングだった。
出演者の名前を赤い堅そうな(でも、所々ギザギザになって欠けているんだけど)字で表し、同時に流れる音楽もまたステキで、マカロニ・ウエスタンを彷彿とさせ、一気にその世界に飛び込んで行ってしまった。
しかも、主人公は当時奴隷だった黒人。
タランティーノ監督なので、ちょっとグロいシーンもあるけれど、超娯楽大作になっていた。
ジャンゴを鎖に繋がれた奴隷から開放し、共に賞金稼ぎをするドイツ人にクリストフ・ヴァルツ。
この人が、たまらなく魅力的なんだな。
奴隷制度は大嫌い。
同じ白人に容赦なく発砲するし、殺してしまう。
クールで、頭が良く、策略に長けていて、そして何とも慇懃無礼である。
ひとたび口を開けば、あっという間に自分のペースに相手を引きずり込んでしまう。
でも、可愛くて暖かい心の持ち主でもあるのだ。
元歯医者ということで、乗っている馬車の上には大きな≪歯≫を置いている。
それまでもが、ゆらゆら揺れて可愛い。
シュルツとジャンゴのコンビは最高だ。
この作品と同じくタランティーの監督作品「イングロリアス・バスターズ」でも、少し似たような役でアカデミー賞を受賞されている。
今回もアカデミー賞を受賞された。
こういう役を演じたら、右に出る者はいないのかな。
大農園の暴君を演じたレオナルド・ディカプリオ。
やっぱり上手いな~。
初めての悪役だそうだけど、私にはとても楽しんで演じておられたのでは・・・と思える。
ここのところ、眉間に深い皺を寄せるような役が続いていたけれど、こういう役もどんどんやって欲しい。
とても良かった。
そう言えば、「仮面の男」でも、ダルタニアンを・・・。
それを織り込み済みのキャストかな。
そして、陰湿な黒人執事のサミュエル・L・ジャクソン。
この人がまた上手なんだな~。
強い者には媚びて、弱い者には陰湿で、ジャンゴを見下すとてもイヤな奴を好演。
何ともイヤらしい目付きや、足の悪さや指先の震えまで、お見事でした。
勿論、ジェイミー・フォックスの、今までにない生真面目さも良かったよ。
この二組の白人&黒人コンビが、対照的で良かった。
銃撃シーンは凄い。
息つく暇を与えない連続の撃ち合いは、見ごたえあり。
グロい描写を織り交ぜ、その凄さを実感させられた。
ストーリーも、早撃ちジャンゴの成長にラブストーリーをプラスさせ、そこに何とも温かい人情を織り交ぜた。
ツッコミを入れたいセリフも言ってくれたし。
超娯楽大作に仕上がっていたと思う。
中盤、キャンディの農園へ行く道中が少し長く感じられるだけで(でも、必要なシーンだし)、この作品の165分は長く感じなかった。
タランティーノ監督が出演されているのを、見逃さないで(って、見ればわかります)。