ペーパーボーイ 真夏の引力のレビュー・感想・評価
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ジャンルの先入観を殴打で破壊しまくるような狂ったカルト作。
一応はアメリカのディープサウスが舞台の青春映画なのだが、ペドロ・アルモドバルが監督する話があったというの納得の、非常に倒錯した(特に性的に)、そして従来のストーリーテリングをぶっ壊すイカれた展開だらけの怪作だ。もう出てくる俳優がいちいち怪演であり、特に囚人と獄中結婚した危うい美女を演じたニコール・キッドマンが夫である囚人のジョン・キューザックと面会するシーンは本当にヤバくて、劇中のザック・エフロンならずとも「いま一体何を見せられてんの?」と大いに狼狽するしかない。シンガーのメイシー・グレイも序盤から異様な存在感を発揮するんだが、実際のところは主人公の家の家政婦以上の役どころではなくて、いちいちどぎつい絵の具を塗りたくらずにはいられない作り手のこだわりを象徴しているように思う。とにかく青春映画でありミステリーでありひと夏の恋の映画ではあるのだが、その全部を足したところで普通の感覚ではこんな映画はできるわけがなく、「ホントなんなのコレ!?」と20回は言いたくなる最強のカルト映画のひとつだと思っている。
ザックエフロンは白いパンツが良く似合う😁
見る人はかなり限定される
誰が変態やねんフロリダ・ソウルショー
夏だから、こうなった。童貞ジャックと女中アニタの関係がもっとも信頼できる仲だったけど、ビッチなシャーロットのおかげで意外なキャラ・人間関係が暴かれていくお話。誰が変態って、やっぱりジョン・キューザックとニコール・キッドマンでしょ!
暑い夏。人間の罪深さを曝け出し、救助のためとはいえ顔面おしっこする様子や刑務所での面会でも変態ぶりを発揮する・・・夏!夏だからこうなった。冤罪についての取材という設定もただの前振りにしか過ぎなかった序盤の展開。観終わって頭の中で整理しても、序盤では作者が社会派サスペンスを書こうと思ったに違いない。
兄ウォード(マコノヒー)の性癖や黒人の問題などにも切り込んで切り込んで、最終的には切り込みすぎの犯罪者を暴くといった謎の展開。沼地の住居はとにかく不気味。さらに不気味なおじさんも終盤見かけなかったということは、彼も切り刻まれてたのか・・・?
時代設定が1969年。ベトナム戦争も末期の頃だし、公民権運動も終わりに近づいていた頃で、そんな時期の猟奇殺人事件。水泳選手だったというジャックの伏線も生かされ、沼地から顔を出すなんてのは、フロリダでも『地獄の黙示録』があったのか!という笑うに笑えない終盤でした。
私には少し難しかったです。
冤罪の可能性が高い事件を調べる新聞記者たちの群像劇。
サスペンスではなく、新聞記者とその弟を中心とした人間関係を描いた人間ドラマです。
製作者は、この映画のどこを鑑賞者に見て欲しかったのでしょうか?正直私には分かりませんでした。
よって、当たり前ですが、私的評価はかなり低いです。
評価出来たのは、犯人役を演じたジョン・キューザックの不愉快な魅力(褒めています)、その犯人とニコール・キッドマンの刑務所でのシーン、アメリカ南部のうだるような暑さを画面から感じられた、その3点だけでした。
年増なビッチ
副題サギ
副題のイメージとは大きくかけ離れた内容。いわゆるミステリー的展開なのだが…。
あれこれ色んな要素を詰め込んでるけどどれも中途半端にしか映らなかった。1969年という時代設定も生かされていたとは言い難い。悪い意味で変な脚本。
二十歳の童貞というにはザック・エフロンは顔が濃い。内省的には見えなかった。
ニコール・キッドマンの体当たり過ぎるビッチ役はちょっとやり損な感じ。おしっこまでして頑張ったけれど。マシュー・マコノヒーとジョン・キューザックは悪くなかった。ねっとり顔が嫌な感じ。
謎解きとしてのカタルシスは無いし変態映画というには中途半端だし脱童貞青春モノとしては繊細さが無かった。豪華キャストがなぜ出たのかわからんね。
演出面が残念
とりあえず悲惨。最終的にはベクトルがそっちにいってしまう。であれば、中盤までの微妙にポップな演出がどうも中途半端に感じられる。
ミステリー、若者の成長、恋愛、バイオレンス、結局どれを見せたかったの?という。全体的になんだか散漫な印象を受けた。
キャスティングは素晴らしくそうそうないくらいの面子だと思う。その面では楽しめるのだが、もしかすると、この題材にはそぐわなかったのかもしれない。ちょっと、派手すぎる、というか、もっと渋めのキャスティングのほうがはまったのでは?(ミスティックリバーなんかが良い見本)
内容があるだけに、演出面が残念。黒人メイドは良い味出してますけど。
底なし沼
無益な毎日を送る青年が、ある死刑囚の冤罪を調査する為帰省した弁護士の兄の仕事を手伝う事に…。
社会派ミステリーと思ったら大間違い。
リー・ダニエルズが全米ベストセラー小説を映画化。オスカーノミネートの「プレシャス」と上質な感動作「大頭領の執事の涙」の間に手掛けた変態チックなサスペンス。
好き嫌いハッキリ分かれる事必至。
嫌いな人はとことん性に合わないが、好きな人はこの雰囲気、怪しい人間模様に酔いしれる。
1960年代の真夏のフロリダ。
ねっとりするような暑さ、拭っても拭っても体にまとわりつく汗、体臭の匂いまでもが画面から伝わってきそう。
見終わったらシャワーを浴びたくなる。
調査の過程で出会った死刑囚の婚約者。
そのエロさ!
童貞青年にとってはこれ以上ない毒。
すっかり魅了され、彼女の事ばかり。
事件の真相は…?
人種差別、エロス、愛憎、暑さと気だるさ…人間模様はさらにこんがらがり、皆底なし沼にハマっていく。
ザック・エフロンがアイドルのイメージを脱却。
マシュー・マコノヒーがただの真面目な弁護士だけだったら面白くない。変態的な隠し事アリ。
極めつけは、ニコール・キッドマン!
あのニコール・キッドマンがこんな役やるとは…!
エロ!ビッチ!
面会室でのジョン・キューザック(彼も怪演!)との×××は強烈過ぎる!
沼の底
フロリダの沼
ニコールキッドマン、ザックエフロン、ジョンキューザック、マシューマコノヒー、で監督はプレシャスのリーダニエルス。この2作目で大化けした。因みにプレシャスの時、マライアが出てたように、今回は語り手の黒人メイドがメイシーグレイだったらしい。黒人が好みの、ゲイのマゾの白人。母であり、恋人であり、性欲の強いバービー人形。汗だくで湿度高めな設定が、フロリダデルタな感じで素晴らしい。熱帯雨林のツタやシダと、結構まっすぐな針葉樹っぽい森が同居してて、目線を落とすとワニがいる感じ。沼の奥地には、本当にちょっと狂ったキューザックの叔父がいて、ワニの内蔵をさばいてて、裸の娘と近親交配特有の顔した息子が出てきてアイスクリームを食べるアメリカ最深部。編集も良い感じ。特に印象的に繰り返されるズームとスローモーションの生み出すリズム、細かくストップモーション?の画を繋ぐところ。何だが凄い気合の入った力作。
知らない方がいい世界
今更ですが、ヘアスプレーを先月見てザック・エフロンにハマり、彼の1番最近の作品なので鑑賞しに行きました。登場人物はみんな孤独で、闇というか、人には言えない秘密を持って必死に生きているところが痛々しくもあり、リアル。性的にもバイオレンスもかなり生々しいのですが、そのある種の品のなさが、見てはいけない本性を表現していて、エグいなあと思いました。後味は最悪で、ザック演じる20歳の主人公ジャックは、もう恋愛が出来なくなってしまうという…。
段々と堕落していったり知って行くのではなく、一気に暗くておぞましいものを見てしまうと、免疫がないから壊れてしまうのかもしれない。なんだか後味が悪くてリアルすぎて辛かったです。大人になるって、なんだろうなあと思ってしまうものすごく苦い映画でした。
ビッチ、あばずれ、はすっぱ
ニコール・キッドマンのファンだったのだが、
ニコラス・ケイジと共演したアウトブレークがあまりの
出来だったので、もう興味を失ってしまう寸前だった。
僕はこの映画にかけていたのだ。
そうしたら、なんとその期待に大いに応えているニコール・
キッドマンがいるではないか!
彼女自身「(正確ではないが)主流じゃない映画に興味をもってるの。
だから、この映画のオファーが来たとき、考えたけど、やってみたいと
思ったの」と女優魂に火をつけたようだ。
ニコール・キッドマンはやってくれている。
ビッチ、あばずれ、はすっぱな女シャーロットの役になりきった。
この映画は全員が日頃の役を取っ払って、ちょっと異常なやつを
やっているのだが、やっぱりニコール・キッドマンのそれがすごい。
刑務所の面会室で人目をはばからす見せる恍惚の表情、
なんで刺されたかは意味不明だが、くらげに刺された主人公に
おしっこをかけるシーン
刑務所から出てきた男の欲望に、100%答えようとするシーン。
すべてが刺激的。
まあ、そこまでやらなくてもとちょっとは思ったが、
乗ってしまった船、突き詰めていけば、こうなるんろうな。
まだまだ脇役はイヤよというようなニコールキッドマンの
役者魂が心底、カッコいいと思った。
「ペーパーボーイ」は真夏の汗と血の匂いが
むんむんするするような快作ではなく「怪作」というべきだろう。
フジロックから帰ったその日の午後、居眠りが懸念されたが、
それを打ち破って、最後までしっかり見たのだった。
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