「子供自身の自発性、主体性を伸ばしていく教育が重要なのでは」そして父になる 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
子供自身の自発性、主体性を伸ばしていく教育が重要なのでは
福山雅治演じる父親の厳しい教育方針(マナー、ピアノなどの特技や教養、競争心といったマインドなど)は、子供が社会で生きていく上で一定程度必要なものではあるだろう。しかし、彼には子供を自分の理想通りにしたいという父親の視点しかなく、子供の視点が決定的に欠けていた。子供の興味関心や得意不得意、気質を見極めて、子供の長所を伸ばしていく重要性を理解していなかった。
結局、興味関心を持っていたり得意なことでないと能力や知識は伸びづらい。そして、子供は成長するにつれて、自然と自分の成長のために何をすべきか、徐々に気づいていくものだろう。そう考えると、親がなすべきことは、自分の理想を押し付けることではない。子供自身の自発性や主体性、好奇心を伸ばしていく手助けをする教育が必要なのだろう。つまり、「自分が何をしたいか」を考えさせ尊重する教育が、子供の幸せのために必要なのだろう。その中には子供と愛情深く接する時間を取ることも含まれているが、彼はその重要性を理解していなかった。そういう部分で彼はよくない父親だったが、タイトルの「そして父になる」の通り、最後には気づくことができた。そんな人物描写が秀逸な映画。
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