籠の中の乙女

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劇場公開日:

籠の中の乙女

解説

「哀れなるものたち」「女王陛下のお気に入り」などで知られるギリシャの鬼才ヨルゴス・ランティモスが、2009年に手がけた長編第3作。妄執にとりつかれた両親と純真無垢な子どもたちを主人公に、極限の人間心理を描く。

ギリシャ郊外に暮らすある裕福な一家は、外の汚らわしい世界から守るためと、子どもたちを家の中から一歩も出さずに育ててきた。厳格で奇妙なルールの下、子どもたちは何も知らずに成長していくが、ある日、年頃の長男のために父親が外の世界からクリスティーヌという女性を連れてきたことから、家庭の中に思わぬ波紋が広がっていく。

2009年・第62回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門でグランプリを受賞し、第83回アカデミー賞ではギリシャ映画として史上5本目となる外国映画賞にノミネートされた。日本では2012年に劇場公開され、ランティモス監督作の劇場初公開作品となった(長編1、2作目は日本では劇場未公開)。2025年1月、4Kレストア版でリバイバル公開。

2009年製作/96分/R18+/ギリシャ
原題または英題:Dogtooth
配給:彩プロ
劇場公開日:2025年1月24日

その他の公開日:2012年8月18日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第83回 アカデミー賞(2011年)

ノミネート

外国語映画賞  

第62回 カンヌ国際映画祭(2009年)

受賞

ある視点部門
ある視点部門 最優秀作品賞 ヨルゴス・ランティモス

出品

ある視点部門
出品作品 ヨルゴス・ランティモス
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映画レビュー

4.0健全さの中に狂気を宿らせないために

2024年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:その他

知的

「ランティモス映画は教育によろしい」という暴論は私の持論なのだが、ランティモスに教育をさせるのはダメなのがよく分かる本作。これは犬に大変失礼だが、犬も手懐けられない父が子どもをしつけようとしたら、軟禁して暴力で支配するしかないだろう。しかも言語における社会通念上のシニフィエとシニフィアンをぐちゃぐちゃにさせるとかヤバすぎる教育だ。

もし外の世界を知らなければ、ホームビデオをハリウッド映画のように喜んだり、飛行機の大きさを手のひらサイズだと思うのだろうか。そしてシールをもらって喜び、プール遊びをすることにいつまでも楽しみを感じれるのだろうか。さらに性行為は?

子どもを犬のようにしつけようと手中には収められない。暴力性は突発的に生じるし、巣立ちしたい本能は備わってしまっている。

ラストの不穏さが末恐ろしいが、健全さの中に狂気を宿らせないために教育的に見直したいと思う。いやむしろ健全さを求めることが狂気なのか。

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まぬままおま

3.5不快感を作品にする変態

2024年11月27日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

ヨルゴス・ランティモス監督といえば、シュールでテンションの低い作風の人と思っていた。それであながち間違いではないだろうが、後発の作品を観るに、テンションの低さは余り関係がないようだ。(本作のテンションは低いが)
ランティモス監督は、普通から少しズレた人を描き、そのズレから派生する普通ではないことを最大限に膨らませる。つまり、行動が極端で気持ち悪いのだ。
私のような普通のつまらない人間に理解ができるギリギリの行動をとらせ、居心地の悪さを生み出す。
それがシュールなコメディでもあり、不快感でもある。
ランティモス監督は、不快感を作品にする変態なのだと分かった。

ではこの作品の話をしよう。
本作は、そんなカテゴリがあるのか分からないが「トゥルーマン・ショー」や「ブリグズビー・ベア」のような閉じ込められた人の物語だといえる。題材自体は珍しいとはいえないわけだ。
それでもどこか、今まで見たことがない感覚に陥るのが、ランティモス監督らしい不快感の創出ということになるだろう。

閉じ込められた人は、どの作品でもどこか幼稚だ。幼稚さから抜け出すのは、好奇心と、それを埋める経験からくる。世界が狭く、必要な経験を得られなければ幼稚なまま体だけ大きくなるというわけだ。
この幼稚さもランティモス監督は最大化する。価値が分からないからお札と硬貨を交換する子どものような行動を成人した体で行う姿は、理解、憐れ、笑い、複雑で様々な感覚を与えてくる。

しかも、その根源となる「お父さんが仕向けていること」の理由が説明されないことにも気持ち悪さがある。
軟禁しているまでは、理由を推測できなくもない。しかし、軟禁以外の強いていることになると途端に理解不能になる。
このわけの分からなさもまたランティモス監督が生む不快感の正体だろう。

つまりランティモス監督は、なんか適当に作品作ってそうに見えても巧妙に仕組んでいるのだろうなと分かるわけだ。
その仕掛け自体を理解できるかどうかはまた別の問題になるわけだが。

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つとみ

3.5いついつ出やる。

2024年11月20日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

難しい

熱心な教育も過保護も、当事者が嫌で身にならないと思えば虐待になり得る。子供は親の玩具じゃない!って言っても、リセットの効かない育成ゲームな事に変わりはない。

名曲のトンデモ翻訳や名物「謎ダンス」などちょっと笑えるけどどこか突き刺さる部分があるのは、普遍的なテーマである愛情とは何か、という再考だからかもしれない。
ふと思い出した、いつ見たかは覚えていないが、4Kレストアの一報によせて。

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や

2.0わたし的には残念

2024年9月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
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ちんく