カエル少年失踪殺人事件
劇場公開日 2012年3月24日
解説
「殺人の追憶」(2003)で描かれた華城連続殺人事件、「あいつの声」(07)で描かれたイ・ヒョンホ君誘拐殺人事件と並び、韓国三大未解決事件のひとつに数えられる少年の連続失踪事件を題材に描いたサスペンス。1991年3月26日、韓国・大邱(テグ)に暮らす少年5人が「カエルを捕まえにいく」と言って出かけたまま、行方不明になってしまう。スクープを狙うTV局のカン・ジスンや犯人像を分析するファン・ウヒョク教授、子どもたちを捜索する刑事パク・キョンシクは、それぞれの思惑を抱いて事件を追っていたが、そんなある日、ふとしたきっかけで被害者少年の父親に疑惑が向けられ……。
2011年製作/132分/韓国
原題:Children...
配給:コムストック・グループ
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2021年10月10日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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最初のテロップ通り、実話に元に製作された映画。
1991年、韓国の大邱(テグ)で小学生5人の少年が「カエルを捕りに行く」と言い残したまま、行方不明となった「カエル少年事件」がベースに作られているのですが、警察や軍が動員して、大がかりな捜索が行われたものの、手かがりがつかめず、時効を向かえてしまい、時効後も犯人は不明のままという、本当に気の毒な事件です。
未解決事件の実話をベースというと、どうしてもポン・ジュノ監督『殺人の追憶』が思い出されますが、それと比較されるのは、ちょっと厳しいです。しかし、『殺人の追憶』では、残忍極まる、連続殺人事件の殺人鬼が警察の捜索の中、辺りを闊歩している(というのもヘンですが)というスリリングな状況と隣り合わせだったけれど、このカエル少年事件においては、小学生が失踪し、捜索活動をしたものの、何も手がかりのないまま時効を向かえるという、手の尽くしようもない遺憾さだけが残るという性質があるので、映画にするのは難しかったと想像します。スクープ狙いの高視聴率だけを目指すTVディレクター、心理学一辺倒で進む、思い込みの激しい大学教授など、フィクションとしてドラマ性を盛り込んだ感じがありますが、それも致し方ないと思いました。
実際、序盤は多少、どんな展開になるのか見えず、置いてけぼりになりそうになったけれど、TVディレクターのカン・ジスンと教授ファン・ウヒョクが何の証拠のないまま、被害者遺族宅をガサ入れ捜査をはじめてから話は展開していき、大学教授の思い込み判断に、うっかり騙されそうにもなりました。(汗)
後半、牛解体業の男が犯人であるような展開がありますが、あれはちょっと、浮いた感じが否めませんが。
結果、見てよかったなあと思いました。映画の終盤、これは被害者の遺族のための映画だなと思ったら、やはり、最後、テロップで「本事件の被害者にこの映画を捧げます」とありました。世の中を騒がせた迷宮入り事件もいつかは年月とともに風化してしまいます。いつまでも、韓国の(全世界の)人々の心に事件のことが刻まれるという大きな役目を果たしたのかもしれません。
最後、ウォンギルの母親がウソをついていたことを自白します。「警察に捜索を続けてもらいたかったから、電話の声が息子だったと言った」と。この気持ちはわかります。あの立場だったら、同じようなことを考えると思います。母親役の女優さん、韓ドラにもよく出ておりますが、本当、いい芝居をされます。
余談ですが、実際、少年たちはカエルを捕獲しに行ったのではなく、サンショウウオの卵を捕りに行ったらしいです。誤伝だそうです。
当然ながら重苦しい内容ですが、なかなかいい映画でした。
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<備忘録〜韓国3大未解決事件>
1.「華城(ファソン)連続殺人事件」
1986年〜1991年にかけて華城にて10人の女性が殺害される
→映画『殺人の追憶』(2003年)
2.「イ・ヒョンホくん誘拐事件」
1991年、イ・ヒョンホくんが誘拐される。約60回にわたって誘拐犯とのやりとりが続いたのにもかかわらず、ヒョンホくんは遺体となって発見される。
→映画『あいつの声』(2007年)
3.「カエル少年事件」
事件発生から11年が経過した2002年、失踪した小学生5人の白骨死体が見つかる。未解決のまま2007年、時効となる。
→映画『カエル少年失踪殺人事件』(2011年)
2021年6月20日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
加害者の痕跡が全くないなかで進む事件。右往左往しても何も手がかりのないなか、おかしなテレビ局とか、大学教授などの証拠のない、思い込みで行われる捜査など、ドラマとはちがって実際のところはこんな感じで進むのかなーと、ドラマのないドラマに、この映画のよさがありました。
そのなかでも、話は進み、気づけば不気味に終わって、吸引力のある映画。
刑事さんに良心があってよかった。
大傑作「殺人の追憶」と比べざるを得ない。
哀悼と感動(の為の電話に纏わるトリックらしきもの)に寄り過ぎた終盤の野暮が敗退の要因。
2020年7月26日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
とても面白かった。
ミスリードも効いてるし、フリの回収も素晴らしく
ドキドキしっぱなしだった。
「殺人の追憶」の事件ともう一つの事件とで
3大事件とされてるらしく、
「殺人の追憶」と比べてしまいそうだけど、
この作品はもっとフィクション寄りで、
本当にあった事件をベースに全く新しく
事件を作り直したと言っていいんじゃないかな?
と思いました。
殺人の追憶のキャラは本当にいたかもしれない刑事たち
だけど、こちらの主人公たちは映画用に作ったキャラだと
思いました。
なので、何も進展がない事件をミスリードで
ドラマチックに展開して行ってて「殺人の追憶」とは
また違う面白さだった。
電話の真実が分かった時は泣けました。
ラスト近辺はちょっとやり過ぎじゃないか?と思うような
映画的展開で、
主人公の単独行動にはとてもイライラした。
映画を観てからwikiで事件の概要を調べたけど、
疑惑とされている物が映画より真実味があって
映画より恐ろしかった。
たぶん、それ正解なんじゃないの?と思いました。
その恐ろしさを味わうためにも映画を観て欲しいと思います。
映画を観てWikipediaで調べるというのをオススメします。
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