プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ 宿命のレビュー・感想・評価
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本宮ひろしイズム
1部のゴズリング編に人気があるようだが、本作のキモは3部にあり。
「親は無くとも子は育つ」と「子は親の背中を見て育つ」
という真反対の格言を冷静に、かつにわかに感動的に、描いている点にある。しかし、その監督のまなざしはとっても熱い。
普通にそのテーマだけを純粋に見ても十分面白い映画。
「ブルーバレンタイン」に続き、シアンフランス監督、素晴らしいね。
ゴズリングはレフン監督の「ドライブ」と「ブルーバレンタイン」の両方のキャラをまんま本作を続編にしたようにも見えて、それも楽しい。
また本作、二人の男の運命的な出会いと父親としての有様を描いた作品でもあるのだが、確かによくある話、っていうとそれまでなのだが、
これって、あれじゃん、本宮ひろし氏の漫画そのまんまじゃないか!?
「よっしゃーーーっ!!」とか
「おとこはなぁーーーーっ!!」
というセリフは一切出てこないが、観終わってそう思った。
まあ、叫んではいないが、ゴズリングやクーパーのドアップ多投はシアンフランス監督、熱い、熱すぎる!
確かに、中盤の第二部に該当する部分は若干つまらないかもしれない。しかし、本宮漫画に主人公2人いたら、片方はやんちゃ、片方はのし上がる、あるいはエリート、と相場が決まっている。それを思えば、むしろニヤニヤしながら楽しめる。
そして第3部は世代が移る。
はっはっは!まんまじゃん!!
アイスクリームを選ぶ理由
「アイスを食べるたびに、俺のことを思い出してくれるだろ?」そう言って、ルークは幼い息子の口元にスプーンを運ぶ。口いっぱいに広がる、とろける甘さ。微笑むルークとロー。長丁場の中で唯一、幸せにあふれた数分間だ。…子どもが生まれるまで私は、子にアイスを食べさせる親の気持ちがよく分からなかった。ベタベタするし、小さい子ども向きの食べ物ではない。けれども、今では何やかやと子どもとアイスを食べている。みるみるうちに溶けて形を失うアイスを、ハラハラしながら忙しくつつき合うひとときは、なぜか楽しく、満たされる。その理由が、この映画のお陰でやっとわかった。
銀行強盗に走ったオートバイ乗り、彼を撃った警察官、その息子たち。三つの物語それぞれが密度が濃く、単体でも十分に魅せる。そんな物語たちが絡み合い、圧倒されるようなうねりが生まれる。中だるみなし、怒涛の141分。「ブルーバレンタイン」はあまりに痛々しくて辛くなる時があったが、今回は皆無。説明をばっさり排した無造作な物語運びが、どこまでも心地良かった。それは、時に支え、時に切り裂く音楽の力と、松林(パインといっても、エゾマツやカラマツ、またはモミの木のようなそびえ立つ針葉樹林。植木や盆栽の松ではない。)をはじめとする、自然の美しさ•力強さゆえかもしれない。
ライアン•ゴズリングの佇まいの素晴らしさは言うまでもなく、「恋と愛の測り方」に続いてエヴァ•メンデスがいい。薄幸であっても早死にするとは限らない。不幸を抱えながらも生きていかねばならない母親を、老けメイクをいとわず演じ抜いていた。
彼らの息子たちは、皮肉な運命をたどる。正義を貫こうとしたはずの警察官の息子はドラ息子に。銀行強盗の息子は所在なく浮遊し、ドラ息子に振り回される。そして、十五年後にやっと活きる修理工の存在。父を闇へ招いたはずの男が、意図せず息子に一瞬の闇と不変の光を示す。不条理だけれど、それも真実と感じた。
私たちは自分の人生を生きていると思っている。けれども実は、否応なしに人生は次の世代に繋がっており、結局は生かされているのだ。何も知らないはずなのにあの店でアイスを食べ、自転車をバイクに乗り換えて駆け抜ける少年の姿に、ささやかな希望を見た。
新人俳優が人気俳優を喰う瞬間
約8年ぶりに改めて見て、この作品はもうちょっと認知されていてもいいなあと思いました。全体的に重い空気の作品ですが、最後の5分で少し救われた気持ちになれる秀逸な脚本と演出なので、「映画に浸りたい」という気分の日にオススメです。
「ブルーバレンタイン」のデレク・シアンフランス監督による、親の罪が子にも受け継がれるという血の因果を描いたクライムドラマ。この作品には、4人の主人公が登場します。1人目は、バイクのスタントマンとして各地を転々として生きるルーク。かつての恋人ロミーナが自分の子を産んで、現在の恋人と育てていることを知り、ふたりを取り戻すための金欲しさに銀行強盗に手を染めてしまいます。2人目は、そんなルークを追っていた新米警察官のエイヴリー。ルークの捜査過程であるミスから事件を起こし罪悪感を抱えるも、周囲からは評価され、複雑な気持ちを胸に警察の腐敗に立ち向かい、政治の道へ進みます。3人目と4人目は、エイヴリーの事件の15年後に出会うルークとエイヴリーの息子たち。父親たちの因縁を知らないまま親しくなりますが、あることがきっかけで真実を知ってしまいます。
今作のメインキャラクターには、いわゆる“本物の悪人”はいません。焦燥感に駆られて間違った選択をしてしまい、後悔しながら生きる若者ふたりと、生まれながらにして背負った“宿命”から逃れられない若者ふたり、2世代の若者の異なる苦悩を前後半で分けて描きます。
キャストは非常に豪華で、ルーク役をライアン・ゴズリング、エイヴリー役をブラッドリー・クーパー、ルークの息子役を当時ほぼ無名だったデイン・デハーンが演じています。当時のこのキャスティングであれば、ライアン・ゴズリングとブラッドリー・クーパー世代のパートで8割の尺かしら……と思っていたので、ほぼ半分の尺でデハーンの世代の物語が中心となったときには驚きました。
そして、そこからのデイン・デハーンがすごかった。ライアン・ゴズリングとブラッドリー・クーパーを完全に喰ってしまい、完全なデハーン劇場を繰り広げました。その後すぐに日本で公開された「クロニクル」でも圧倒的な演技を見せていて、すごい新人を見つけてしまった……!と衝撃を受けたのをいまでも鮮明に覚えています。
そのほかにも、ルークの元恋人ロミーナ役で、いまはライアンの妻となったエバ・メンデス、ロミーナを優しく支える婚約者役でマハーシャラ・アリが出演。ライアンとエバは、当時すでに交際を開始していた(もしくは撮影現場でいい感じになっていた)と言われており、ルークとロミーナと赤ちゃんの3人で最後の記念に写真の撮る場面での2人の切ない演技は必見。アドリブだったようですが、本物の恋心があるからあんな演技ができたのか……と思わせられる、胸が締め付けられるシーンです。
これも、寡黙系ゴスリング
とにかく、ゴスリングが格好良い。で、オマケ?みたいに、ブラッドリーが出てるんだけど
違うだろー。ブラッドリーは、シリアス系は全然、駄目!の評価を証明した映画でもある。ハングオーバー、ウェディングクラッシャーズなら格好良いし、後者では良い味出して
足跡しっかり残してます。ゴスリングFanなら観てね!
親子の繋がり…
機内、日本語吹き替えで鑑賞。
劇場や映像・音響効果の良いところで観たら、評価はアップしたと思う。
第1部のバイクの疾走感とか もっと迫力あったのだろうなと思います。
映像美・音響美(というのか?)が半減するので、第1部・第2部は退屈でした。
でも、第1部の主人公ルークの息子ジェイソンが出てくるあたりから、物語ががぜん、深まってくる。もっとこの部分を丁寧に描いてほしかったです。でも第1部・第2部があるから第3部が深みを増してくるのだろうなと思います。
親子ってなんのだろう。
継父と母親に大切にされ愛されて育ち、たぶん本人もそれを自覚しているにも関わらず、実の父を求めずにはいられないジェイソン(自分の父について問うジェイソンに、継父コフィがダースベーダーのまねをして「ルークはお前を生んだだけ、私がお前の父だ」というのをジェイソンが笑って受け止めていることからも二人の関係が悪くないことがわかるっていうか、そういう質問を直接悩みとして継父に問える時点で関係は良いでしょう)。
USAってむごいね。日本人だったら皆同じような皮膚・髪の色をしているから、継父かもと思いつつもゴマかせるのに、黒人の父にヒスパニック系の母、なのに自分は金髪で少なくとも絶対に父には似ていないとなれば血が繋がっていないことはごまかしようがない。そして母は実父のことは教えてくれない。
自分のルーツを否定されることは自分の存在を否定されること。その存在感のなさ、心もとなさ、やりきれなさ。その辺が痛々しいほど伝わってくる。それが一枚の写真・実父と実母が自分を抱いて笑っている写真を見ることで、(強盗はしたけど)殺人は思いとどまり、自分の道を歩み始めるジェイソン。
ジェイソンの父ルークも父を知らないがゆえに刹那的に生きてきた。けれど、血を分けた息子の存在を知ってから狂おしいほどに息子を求め、生き方を変えようとする。コフィに育てられれば息子の幸せは約束されているようなものなのに、自分の存在を確かめる・地につなぐためにもジェイソンに狂おしいほどに何かしてやろうとするルーク(自分は父を知らないからこんなになった。だから息子には父が必要なんだと何度も言う)。
バイク乗りや修理の腕は最高だか、子どもへのサインもまともに書けないルークに残された道は、なんてところもきっちり描かれていて…。
射殺される前、彼はどこに電話していたのだろう。警官に追い詰められ、民家の人を人質にとったり、迫ってくる警官を射殺してもいいのに、彼はそうしなかった…。半ば自殺したようにみえるのは私だけ?
反面、父と暮らして生きてきたもう一人の主人公エイブリー。父の生き方を否定して警官になったはすなのに、結局父の生き方と同じ生き方をしてしまい、結果自分の息子AJはどら息子に。
観終わって、切なくなる映画です。
ジェイソン役のディン・デハーン氏は必見です。これからの期待大★★★。
主人公が!!!
2020年3月20日
#プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ宿命 鑑賞
#ライアン・ゴズリング 主演の映画という認識で見てたら途中で死んじゃったのでちょっとびっくり。そこからはストーリーに没頭することにした。宿命という副題はイイネ!
#ブラッドレイ・クーパー
#エヴァ・メンデス
#マハーシャラ・アリ
全く正しい人間はいない。全く間違っている人間もいない。時間は間違い...
全く正しい人間はいない。全く間違っている人間もいない。時間は間違いなく過ぎていって、いつか全て結末を迎えるけど、その過程ではみんな、何とか前に進もうとしている。みたいな事を考えらせられた。
余白が欲しかった。。おしい。
世代を経る、その時間を描いたシナリオはすばらしいと思う。
全体の構成が独特で、前半射殺までの因縁のドラマを印象深く描いている。セオリーでいけばこの因縁パートは見る側へのインプットととして事実だけ見せる端的な撮り方をすると思うが、そこに一番のキャスティングを持ってきて、十分にドラマを作ってから唐突に射殺される。
そこで、見る側は一度物語のはしごを外されるわけである。
まるで振り出しに戻したかのように物語をまた一から組み立てていく。この中盤を急がない点も独特。安易に方向感を示すことをしていないのはすばらしい。
そして終盤へ、となるわけだが、ここがこの作品の惜しいところ。あまりに完璧に伏線の回収を進め過ぎている。見る側はもうそこまでの物語で十分に彼らの運命を共有できているのである。全ての解を提示(当事者全員が繋がってしまう)してみせることで、この作品は余韻をどこかへ逃がしてしまった。
そこへは至らず、あの写真、1アイテムくらいの感動で締める余白が欲しかった。。おしい。
長々と同じトーン
有名キャストが揃っていたので観てみることに。
いつ山がくるんだ?と早送りとかもたまに混ぜながら待っているうちに、、終わった。
ずるずるとずっと同じトーンで終わってしまった感じ。
一番いいたかった事はなんなんだろ、わからない。
長いだけでストーリーも退屈!!
長い割にゴズリング、クーパー、息子とどのパートもとても薄い印象です。ストーリーもありきたりで、ときめきは何もありませんでした。
意外な展開
ライアンゴズリングの息子がだんだんカッコよくなっていく反面、ブラッドリークーパーの方はダメ息子になっていく予感が…。そして、ライアンゴズリングの妻は、ほとんどいいことがなかったのはかわいそうだと思いました。これからは親孝行してあげてほしい。
ラストシーンはよかったです。そしてライアンゴズリングはやはり魅力的でした。
良い作品でした。
実を言えば、バイクが登場するという事だけで興味を持っていた作品だったのですが、二組の父子を通して、人生や宿命という物について深く考えさせられる素晴らしい作品でした。
特に自分みたいになバイク好きには要所要所でバイクが使われているだけでも嬉しかったのですが、(ライアン・ゴズリング&バイクは格好良かったですね)ルークがかつてバイクで走った道をジェイソンは自転車で、ドラッグストアで万引きして逃げ去るシーンなんかも、銀行強盗の後の逃走シーンと重なり、やっぱり父の面影があったりして良いシーンでした。
息子のために街に留まった父と父の復讐の課程で手にしたお金で購入したバイクで旅立つ息子…冒頭とラストとの対比も見事でした。
なかなか見応えがあった。
ストーリーが 幾つかのパートに別れていて、時間の経過と共に 主人公が代わり、飽きずに観終えることが出来た。
最初のパートで、ルーク(ライアン・ゴズリング)が呆気なく居なくなってしまうけど、次のパートでは、その原因を作った新米警察官エイヴリー(ブラッドリー・クーパー)の偽証と警察官の汚職とエイヴリーの葛藤がメイン。
最後は、その15年後の ルークの息子ジェイソン(デイン・デハーン)と、エイヴリーの息子AJ。そして、実の父の死の真実を知ったジェイソンの葛藤。
長い時を経て、皆が出会い 胸に秘めた思いが露呈する。
出てくる人間は、ルークを始め 悪人ばかり。
ルークもそうだけど、エイヴリーもそうだ。
極悪警察官のレイ・リオッタ!今や、極悪人をやらせたら右に出る者は居ないほど(?)堂に入ってて、恐ろしい(笑)。
最後に、ジェイソンが 父親の大好きだったバイク(物は別)に乗り、本当の自分の居場所(生き方)を探しに旅に出てのエンド。
ただ、悲しかったのが、エイヴリーを追い詰めたジェイソンが手にしたエイヴリーのウォレットの中から、ルークとロミーナ(エヴァ・メンデス)、そして まだ幼かったジェイソンの家族写真が出て来たこと。
自分の偽証を心から悔いて、ルークやその家族のことを、一日たりとも忘れることはなかったんだろうな…と。
でも、結局は自分可愛さで真実も打ち明けられない。
色んな意味で残念だし、悲しかったですね。
それと、エヴァ・メンデス!高々15年であそこまで老けさせるのは可哀想かな(笑)
ダンナのコフィなんて殆ど変わってないのに!
作品は元より息子を演じたデイン・デハーンの表情・振る舞いは、笑顔の...
作品は元より息子を演じたデイン・デハーンの表情・振る舞いは、笑顔の似合わなかったリヴァー・フェニックスを思わせる。
彼の作品は今のところ傑作揃い。待望の逸材。
(2014.1.24 鑑賞)
なんかもう、救えない映画。
治安の悪い街ってこうなんですかね。警察の腐敗もそうだし、銀行強盗も。ラストに向かってテンションダウンしていくって言う人いますけど、僕は、映画のラストの方が、スッキリするというか、よかったなって。最後まで見て、スッキリしましたよ。それにしても、一人もいい奴が出てこない。コフィーだけかな。いい人は。本当に救えない。
全体的に良かったですが…。
映像や音楽が後々の伏線にちゃんとなっていてすごいなぁと感心しながら観れました。
140分という長さもさほど気にはならなかったです。ですが、作り手は意図的なのでしょうが、やはり第1部のライアン・ゴズリングが一番劇的だったので、残り2部は少し物足りない感じがしました。
しかし、某TBSラジオの批評を聞いてなるほど!と納得して私の中の気持ちも整理できました。
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