ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日のレビュー・感想・評価
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一番切ないことは、別れを言えずに終わることだ
映画「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」(アン・リー監督)から。
一匹のベンガルトラとともに救命ボートで漂流し、生還した少年パイ。
トラの名は「リチャード・パーカー」と言う。
小さい頃から父親に「トラは遊び友達じゃない、猛獣だぞ」と言い聞かされた。
「動物にも心がある、目をみれば分かるよ」と言い返せば、
「動物は人間とは違う。それを忘れると殺されるぞ、あのトラは友達じゃない。
お前は、トラの目に映る自分の心をみただけだ」ときつく叱られた。
しかし200日を超える長い漂流は、彼とトラとの関係を密にさせる。
「パーカーなしでは僕は死んでいた。
彼への恐怖が緊張感を生み、エサの確保が生きがいとなった」と語るように、
本当に、苦悩をともにしたものだけしかわからない関係になっていた。
そう思っていたのに、パーカーは、振り返りもせず、森へ消えていった。
「生きる力を与えてくれたどう猛で恐ろしい相棒、それが最後の姿だった。
子供のように泣いた。生還して感極まったからじゃない。
リチャード・パーカーがあっけなく去っていったからだ。悲しすぎた。
父のいうとおり、パーカーは私を友とは思っていなかった。
苦難を共にしたのに、振り返らなかった」と大粒の涙が流れた。
最後に、主人公・パイはこう呟く。「私は多くを失った。
家族、動物園、インド、恋人、結局、生きることは手放すことだ。
一番切ないことは、別れを言えずに終わることだ。
相棒は、トラだったが、こう言いたい。『終わった、生き残れたな』、
君は命の恩人だ、愛してるよ、パーカー」
私にとっては、とても切ない映画だった気がする。
物語を紡ぐ意味
少年の語る漂流記は美しくまるで幻想的な詩のようでした。
美しい物語を紡ぐ意味って何だろう。そしてフィクションの意味ってなんだろう。そんなことを映画のラストでぼんやりと考えました。
簡単に言ってしまえば、過酷な現実を乗り越えるため…なのかな。
美しい詩のような話は、彼の凄惨な経験を癒す救いになったのかな。
物語(フィクション)は、何かを救うために在るってことなのかな。
アン・リーは、フィクションが救いになることを証明したくて、この飛切り美しい映画を作ったのかなとも思いました。
<蛇足ですが個人的には、コック役がドパルデューっていうのがもの凄く怖かったです。
ハイエナ=コック=ドパルデューだとすると…。ドパルデューって肉食って感じするもん…。躊躇なさそうだもん。人食い島よりドパルデューから想像する何かの方が余っ程怖かった。そこまで観客に思わせるドパルデューってやっぱり凄い俳優だなと思いました。>
観る者のこころを映す映画
浮遊感
途中まではただの奇麗な映画だと思いましたが・・・
インドで動物園を営む少年と家族が渡米中の船で嵐に遭い、漂流をする話。
中盤から後半にかけて、
ボートで漂流する少年とボートに潜んでいたトラと格闘しながら命を見つめ直します。
CGがとても奇麗で水面の描き方が秀逸。
でも、奇麗すぎて現実味が無く無駄なシーンが多いなあと感じました。
それが終盤でガラっと変わっていきます。
最後の30分で頭の中がぐるりんとまわされたような感覚。
エンドロールが流れている間、自分が見てきたシーンを思い起こしていました。
う~ん、やられた!
という感じです。
”ラスト30分は人に言わないでください。”的な作品です。
生きよ! そのメッセージを感じる
面白かった
果たして虎と男がボートに乗っているだけで2時間ももつのか?相当退屈な映画なんじゃないかと思って見に行ったら、そんな心配は全くなく次々と見せ場が訪れる面白い映画だった。
宗教色が強いと言われていて、確かに神秘体験が次々起こるけど、特定の宗教の教義を押し付けるような内容ではなく、広い意味での神の存在を訴えるようなものだった。神秘体験がドラッギーで面白かった。
虎がもたらす緊張感がすごくて、決して心が通い合うわけではなく、油断すると主人公を食べようとするので油断も隙もないのだが、そんな存在と共存しなくてはならない状況というのは、中学のヤンキーと普通の生徒の関係みたいで面白かった。
余韻を楽しむ映画
まるで記録映画のような美しい映像と奇想天外なストーリー
3D字幕で観た。ブッカー賞受賞作だと聞いていたので、もっとおカタい内容かと思ったら、波乱万丈なストーリー展開で楽しませてもらった。ブッカー賞というと、「日の名残り」とか「イングリッシュ・ペイシェント」を思い出してしまうので・・・ リー監督は、漂流する映画を2Dで撮ったら、観客が飽きてしまうのではと思って、3Dで撮ったそうだが、とにかく印象深いシーンがたくさんあった。月光の中クジラがジャンプするシーン、クラゲが浮かんでいるシーン、トビウオが集団で飛んでいるシーン、ミーアキャットが島を覆い尽くしているシーンなどなど。そして、何といってもベンガルトラ。ほとんどCGだということだが、まるで本物のような迫力だった。海の上のトラってちょっと想像できないから、やっぱりCGだったんだろうなぁ。パイは知恵と勇気と工夫で長い月日の間トラとの漂流を乗り切ったのだ。すごいよね。残念なことがひとつ。パイ役が子ども、青年、大人と変わるけど、あんまり似ていなかったこと。子ども役と大人役はまだ許せるけど、肝心の青年役が似ていなかったと思う。もう少し輪郭とか眼とか似た人を選んでほしかった。
美しい映像でした
テレビCMを見る限りでは、少年とトラのサバイバル大航海映画と思っていたのですが、内容は全く違っていました。
監督がラスト・コーションのアン・リーだと言う事も知りませんでした。
この映画を観る前に、どうしても知っておかなければいけない事があります。トラに付けられていた名前「リチャード・パーカー」と言う名前の持つ意味です。ホームページに解説されていますので、一読されるのが良いように思います。
映像は素晴らしく、トラや鯨やシマウマやオランウータン、そして、宇宙までもがスクリーンいっぱいに広がります。
しかし、この映画は、ただのイメージ先行のスペクタクル映画ではありません。
トラと共に生き抜いた、ファンタジーと残酷な現実の物語です。
もし自分が同じ立場になってしまったらと思うと、、、?
海に浮かぶミーアキャットの島は、命を助けもするし、又、命を奪う事もするのです。この作品のテーマでもあるのでしょうが、今ある命の犠牲になってしまっている生命。人間は、そうして生きて行くのです。
パイが遭遇した厳しい現実は、生きる意味をもう一度考えさせられます。
妻とも、久しぶりに映画の感想を話し合いました。捉え方は色々ですが、映像の素晴らしさと、エンドロールに流される美しい音楽に涙が頬を伝いました。
あなたなら、どちらの物語を選びますか?そう問われているようでした!
深い哲学と宗教観に包まれた崇高な映画
コレもまた予告CMから受けるストーリーイメージが全然違う。
当初、映像美を堪能する為
痛い出費覚悟で
IMAXで観ようと考えてたが、
周りから聞こえてくる
酷評で考えを改め
ポイント使用で3D料金+眼鏡代の
計.400¥で鑑賞。
先に酷評は元より、
とある場所でストーリーや流れを
聞いてしまってたので、そこまでげんなりする程には
至らなかったが…
それでもやっぱり
「あぁ〜あ…」って
感じですな。
CMから受けるイメージは、
パイ少年の成長物語。
しかし中身は
パイおじさんの回想物語。
セキルバーグの
「信じるか信じないかは
アナタ次第!」
って話。
「お゛い゛(怒)」
と。
確かに過去にも
『LIEF OF ○○』
系のタイトルで、
中身は回想物語ってのは
あった気はする。
早く気付けばよかった…orz
2/3(日)
12:30〜
[3D/字幕]
[TOHOシネマズ海老名]にて。*ポイント使用鑑賞。
まさに飛び出す絵本!
映像は綺麗でした。
驚きの映像美
3Dで観たかった。字幕にこだわるあまりに3Dを選択しなかった自分に腹が立った。
僕の中ではアバターを超える映像美でした。動物達や風景など細部にまでこだわりが感じられました。嵐やシロナガスクジラ,肉食島などとても記憶に残っています。
主人公のシャルマくんも名演技でした。多神教になるほど全ての神を崇拝していた主人公が漂流という裁きを受け,神を冒涜したり,反省し崇拝しなおしたりしていく姿は心が引き込まれました。
ただ最後のオチの手前のシマウマと仏教徒の骨折のあたりの話は聴衆に考えさせても良かったのではー。教え過ぎてちょっと残念です。しかし,トラが最後にパイと別れるシーンでなぜトラが振り返らなかったのかはちょっと謎です。理解不足ですみません。もう一度3Dで観て確かめたいです。
素晴らしかった
野生にはなれない人間
見終わった後、何とも言えない難しさが残った気がします。まるで子供にどうして動物を殺し食べるのかを教えるようなそんな感じの映画のように思えました。
序盤は正直退屈感があり、宗教についてや主人公であるパイの名前の由来や少年時代の話などちょっと長く感じてしまいました。しかし漂流してからはもうスクリーンから目が離せられないくらいよかったです。
虎(パーカー)と主に漂流しちゃうという話ですが普通に考えるとまったく現実味のない話、しかしそこはアンリー監督の腕前でしょうかあたかも実話のような話みたいに思えてしまいます。
パーカーのCGも動きが少々CGっぽいということ以外は目を疑うほどよくできたCGでした。その上初めてとは思えない、スラージシャラマンの演技であたかもそこにいるかのよう。ここら辺の配慮のすごさはスタッフの器用さを感じます。
知恵を絞って苦難を切り開く展開も見応えあり。ちょっと笑えるシーンもありパイとパーカーとのやり取りはちょっと和みます。しかしそれらのこともちょっとした問題提起になっていきますが。
最後はいろいろ考えさせられるものだったと思います。パイが一時理性を失い神にすがってしまうシーンやパーカーの最後のしぐさなどを見ると野生動物のすごさを見せつけられた気がします。人間が当然のことのように思えること、それをまるで生きるために捨ててしまうパーカー。何とも言えない悲しさがこみ上げてしまいますが、それが人間と野生動物の違いなのかもしれません。
あと押しつけがましくないラストもよかったです。まるである一人の男性の体験談のようなストーリーがいろんな思考を刺激させられるのに功を奏していたと思います。
ショッキングなシーンもあり子供には向かない映画かもしれません、しかしたまにはこういった映画を子供に見せるのもいいかもとも思えなくもないですが。。
自分としてはいい映画をみさせてもらったと思える映画でした。
いい体験でした
心だけがその美しい不思議な世界を浮遊して戻ってきたようで、エンドロールを静かに見ながらちょっと切なくなりました。いい体験したなと思います。
オープニングから気持ちよい映像で作品の世界に連れていってくれます。
作品を包みこむ宗教観もけっこうゆるくて、押し付けがましくないのが好感もてました。主人公パイの叔父さん、えらく印象的でした。
乗り物酔いがキツイ方は船のシーンに少し注意が必要かもしれませんが、穏やかで幻想的な3Dの映像はなんとも美しく、トラは何度も首をすくめてしまう迫力でした。
人混みの中にあっても漂流する孤独な魂、けっこう誰にも小さな記憶はあるんじゃないだろうか。
切なくなったのは、とにかく良かったねって言ってもらえたような気がしたからかもしれない。
いい映画でした
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