ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日のレビュー・感想・評価
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観る者のこころを映す映画
観た者の心を映す映画…ですかね。
なので酷評する方の意見もなるほどと思いますし、絶賛する方の意見にもうなずける。そういう映画です。
いづれにせよ1度は観てみた方がいい…観ない事には判断出来ない映画なのかなと思います。
観たとしても、観る度に評価が変わり得る作品かもしれない。
不思議な体験をしました。
以下、少〜しだけネタバレ
いわゆる「虎と少年が漂流して心の交流うんたら」って映画では無い…かもw
「かも?」なんですよ。ホントに。
観ない事にはわかりませんw
個人的には「どっちも真実」…であり「どっちも事実ではない」かな?w
浮遊感
途中まではただの奇麗な映画だと思いましたが・・・
インドで動物園を営む少年と家族が渡米中の船で嵐に遭い、漂流をする話。
中盤から後半にかけて、
ボートで漂流する少年とボートに潜んでいたトラと格闘しながら命を見つめ直します。
CGがとても奇麗で水面の描き方が秀逸。
でも、奇麗すぎて現実味が無く無駄なシーンが多いなあと感じました。
それが終盤でガラっと変わっていきます。
最後の30分で頭の中がぐるりんとまわされたような感覚。
エンドロールが流れている間、自分が見てきたシーンを思い起こしていました。
う~ん、やられた!
という感じです。
”ラスト30分は人に言わないでください。”的な作品です。
生きよ! そのメッセージを感じる
面白かった
果たして虎と男がボートに乗っているだけで2時間ももつのか?相当退屈な映画なんじゃないかと思って見に行ったら、そんな心配は全くなく次々と見せ場が訪れる面白い映画だった。
宗教色が強いと言われていて、確かに神秘体験が次々起こるけど、特定の宗教の教義を押し付けるような内容ではなく、広い意味での神の存在を訴えるようなものだった。神秘体験がドラッギーで面白かった。
虎がもたらす緊張感がすごくて、決して心が通い合うわけではなく、油断すると主人公を食べようとするので油断も隙もないのだが、そんな存在と共存しなくてはならない状況というのは、中学のヤンキーと普通の生徒の関係みたいで面白かった。
余韻を楽しむ映画
まるで記録映画のような美しい映像と奇想天外なストーリー
3D字幕で観た。ブッカー賞受賞作だと聞いていたので、もっとおカタい内容かと思ったら、波乱万丈なストーリー展開で楽しませてもらった。ブッカー賞というと、「日の名残り」とか「イングリッシュ・ペイシェント」を思い出してしまうので・・・ リー監督は、漂流する映画を2Dで撮ったら、観客が飽きてしまうのではと思って、3Dで撮ったそうだが、とにかく印象深いシーンがたくさんあった。月光の中クジラがジャンプするシーン、クラゲが浮かんでいるシーン、トビウオが集団で飛んでいるシーン、ミーアキャットが島を覆い尽くしているシーンなどなど。そして、何といってもベンガルトラ。ほとんどCGだということだが、まるで本物のような迫力だった。海の上のトラってちょっと想像できないから、やっぱりCGだったんだろうなぁ。パイは知恵と勇気と工夫で長い月日の間トラとの漂流を乗り切ったのだ。すごいよね。残念なことがひとつ。パイ役が子ども、青年、大人と変わるけど、あんまり似ていなかったこと。子ども役と大人役はまだ許せるけど、肝心の青年役が似ていなかったと思う。もう少し輪郭とか眼とか似た人を選んでほしかった。
美しい映像でした
テレビCMを見る限りでは、少年とトラのサバイバル大航海映画と思っていたのですが、内容は全く違っていました。
監督がラスト・コーションのアン・リーだと言う事も知りませんでした。
この映画を観る前に、どうしても知っておかなければいけない事があります。トラに付けられていた名前「リチャード・パーカー」と言う名前の持つ意味です。ホームページに解説されていますので、一読されるのが良いように思います。
映像は素晴らしく、トラや鯨やシマウマやオランウータン、そして、宇宙までもがスクリーンいっぱいに広がります。
しかし、この映画は、ただのイメージ先行のスペクタクル映画ではありません。
トラと共に生き抜いた、ファンタジーと残酷な現実の物語です。
もし自分が同じ立場になってしまったらと思うと、、、?
海に浮かぶミーアキャットの島は、命を助けもするし、又、命を奪う事もするのです。この作品のテーマでもあるのでしょうが、今ある命の犠牲になってしまっている生命。人間は、そうして生きて行くのです。
パイが遭遇した厳しい現実は、生きる意味をもう一度考えさせられます。
妻とも、久しぶりに映画の感想を話し合いました。捉え方は色々ですが、映像の素晴らしさと、エンドロールに流される美しい音楽に涙が頬を伝いました。
あなたなら、どちらの物語を選びますか?そう問われているようでした!
深い哲学と宗教観に包まれた崇高な映画
コレもまた予告CMから受けるストーリーイメージが全然違う。
当初、映像美を堪能する為
痛い出費覚悟で
IMAXで観ようと考えてたが、
周りから聞こえてくる
酷評で考えを改め
ポイント使用で3D料金+眼鏡代の
計.400¥で鑑賞。
先に酷評は元より、
とある場所でストーリーや流れを
聞いてしまってたので、そこまでげんなりする程には
至らなかったが…
それでもやっぱり
「あぁ〜あ…」って
感じですな。
CMから受けるイメージは、
パイ少年の成長物語。
しかし中身は
パイおじさんの回想物語。
セキルバーグの
「信じるか信じないかは
アナタ次第!」
って話。
「お゛い゛(怒)」
と。
確かに過去にも
『LIEF OF ○○』
系のタイトルで、
中身は回想物語ってのは
あった気はする。
早く気付けばよかった…orz
2/3(日)
12:30〜
[3D/字幕]
[TOHOシネマズ海老名]にて。*ポイント使用鑑賞。
まさに飛び出す絵本!
映像は綺麗でした。
驚きの映像美
3Dで観たかった。字幕にこだわるあまりに3Dを選択しなかった自分に腹が立った。
僕の中ではアバターを超える映像美でした。動物達や風景など細部にまでこだわりが感じられました。嵐やシロナガスクジラ,肉食島などとても記憶に残っています。
主人公のシャルマくんも名演技でした。多神教になるほど全ての神を崇拝していた主人公が漂流という裁きを受け,神を冒涜したり,反省し崇拝しなおしたりしていく姿は心が引き込まれました。
ただ最後のオチの手前のシマウマと仏教徒の骨折のあたりの話は聴衆に考えさせても良かったのではー。教え過ぎてちょっと残念です。しかし,トラが最後にパイと別れるシーンでなぜトラが振り返らなかったのかはちょっと謎です。理解不足ですみません。もう一度3Dで観て確かめたいです。
素晴らしかった
野生にはなれない人間
見終わった後、何とも言えない難しさが残った気がします。まるで子供にどうして動物を殺し食べるのかを教えるようなそんな感じの映画のように思えました。
序盤は正直退屈感があり、宗教についてや主人公であるパイの名前の由来や少年時代の話などちょっと長く感じてしまいました。しかし漂流してからはもうスクリーンから目が離せられないくらいよかったです。
虎(パーカー)と主に漂流しちゃうという話ですが普通に考えるとまったく現実味のない話、しかしそこはアンリー監督の腕前でしょうかあたかも実話のような話みたいに思えてしまいます。
パーカーのCGも動きが少々CGっぽいということ以外は目を疑うほどよくできたCGでした。その上初めてとは思えない、スラージシャラマンの演技であたかもそこにいるかのよう。ここら辺の配慮のすごさはスタッフの器用さを感じます。
知恵を絞って苦難を切り開く展開も見応えあり。ちょっと笑えるシーンもありパイとパーカーとのやり取りはちょっと和みます。しかしそれらのこともちょっとした問題提起になっていきますが。
最後はいろいろ考えさせられるものだったと思います。パイが一時理性を失い神にすがってしまうシーンやパーカーの最後のしぐさなどを見ると野生動物のすごさを見せつけられた気がします。人間が当然のことのように思えること、それをまるで生きるために捨ててしまうパーカー。何とも言えない悲しさがこみ上げてしまいますが、それが人間と野生動物の違いなのかもしれません。
あと押しつけがましくないラストもよかったです。まるである一人の男性の体験談のようなストーリーがいろんな思考を刺激させられるのに功を奏していたと思います。
ショッキングなシーンもあり子供には向かない映画かもしれません、しかしたまにはこういった映画を子供に見せるのもいいかもとも思えなくもないですが。。
自分としてはいい映画をみさせてもらったと思える映画でした。
いい体験でした
心だけがその美しい不思議な世界を浮遊して戻ってきたようで、エンドロールを静かに見ながらちょっと切なくなりました。いい体験したなと思います。
オープニングから気持ちよい映像で作品の世界に連れていってくれます。
作品を包みこむ宗教観もけっこうゆるくて、押し付けがましくないのが好感もてました。主人公パイの叔父さん、えらく印象的でした。
乗り物酔いがキツイ方は船のシーンに少し注意が必要かもしれませんが、穏やかで幻想的な3Dの映像はなんとも美しく、トラは何度も首をすくめてしまう迫力でした。
人混みの中にあっても漂流する孤独な魂、けっこう誰にも小さな記憶はあるんじゃないだろうか。
切なくなったのは、とにかく良かったねって言ってもらえたような気がしたからかもしれない。
いい映画でした
「生きる」とは何か
この映画の原作「パイの物語」は既に数多くの賞を受賞している有名な小説らしく、あのオバマ大統領も原作者に手紙を書いたという。
事実、様々な箇所に、小説を原作に持つ映画特有の展開が見られる。ストーリーは、成人したパイがカナダ人小説家に自分の生い立ちを回想という形で話し始める、というのが大まかな骨子である。だから序盤からいきなりサバイバルが始まるわけではなく、開始30分程度は小話が続く。これら一つ一つの話はユーモアにあふれ、見る人を飽きさせない。しかし全体としてみると、映画の中で最も面白いのは当然パイの漂流シーンであり、2時間ちょっとの映画としては小話があまりにも尺を取りすぎている。ストーリー上重要な役割を果たすものもあったが、いくつかは明らかに必要の無いものだった。小説と映画は違う物だから、どのエピソードをピックアップするべきか見極めないと、伝えるべきテーマがぼやけてしまう。まあこの映画に関してその点は心配いらないが。
さて、物語の中核を成すパイと「リチャード・パーカー」の漂流だが、この部分は文句なしに素晴らしい。映像面では3Dを存分に生かし、迫力がありながらも繊細で美しい映像を生み出している。ある意味で主役とも言える「海」は生命を容赦なく奪う存在でありながら、それでいて息をのむほど綺麗だ。とてもCGとは思えないが、特に海の中から映し出された映像は非常にリアリティがある。
そして何と言ってもCGのトラ「リチャード・パーカー」を忘れてはなるまい。目をぎらつかせ、歯を剥き出して吠える様子は本物のトラにしか見えない。時折見せる“感情が宿った”かのような場面でも、ベタに人間臭くならず、あくまで動物としてのトラとしての動きを貫いているから、突飛なはずのストーリーを血が通ったリアルな映画にしている。
主演のスラージはほぼ演技経験皆無の素人とは思えない演技を披露する。3つの宗教を信仰するパイは精神的な存在である神を信じ続けると同時に、サバイバルブックを見ながらなんとか生き延びようとする。スラージは彼自身が持つ生来の魅力により、相反した要素を持つパイをCG相手に演じきった。彼が「リチャード・パーカー」と真っ向から対峙するシーンは圧巻の一言である。
こういった様々な要素が見事に組み合わさったことも大きいが、「ライフ・オブ・パイ」が素晴らしいのはそのテーマにある。このテーマが生きたからこそ、非現実的なストーリーや一見単調に思えるサバイバルに深みが生まれたのだ。
そのテーマは何かと言うと「生と死」そのものである。今まで様々な映画がこれを描いてきたが、そのほとんどは「殺人事件」や「不治の病」など何か別の物を媒介としていた。しかしパイが直面する事態は“生きるか死ぬか”という究極の選択そのものであるのだ。「ライフ・オブ・パイ」だってサバイバルを通しているではないか、と思うかもしれないが一度でもこの映画を見れば私の言いたいことが分かる。
そもそもパイはそこそこ裕福な中流家庭出身だから、普段の生活に置いては生にしがみつく必要が無い。その代わり彼は3つの宗教を通じることで、普段は感じることのできない生命を感じ取ろうとした。そんな彼が海の中に1人(と1匹)放り出されたら、死を待つしか無い。それなのに彼はなんとか異常な環境に適応しようとする。その彼の変化のプロセスが丁寧だから、なんの疑いも無く物語を信じることができる。彼とトラが食料を求めて争うシーンも、その迫力はパイの「生き延びたい」という心が生み出している。まさに「生きる」ことをストレートに見せたのだ。
後半部分で彼が到達するある島も、それそのものは残酷なファンタジーで色塗られているのに、パイの行動がリアルだからただの空想には終わらない。そして自分が遭遇する様々なものたちを“神”によるものとするパイの語りにも、説得力が生まれ、宗教の壁を越えた“神”を観客も確かに感じることができるのだ。
最も素晴らしいのはパイがカナダ人作家にあることを問いかける場面。彼はこの生命力にあふれた美しい話とは別に、血なまぐさいリアリティにあふれたもう一つの「話」をする。こっちの方がいかにも“サバイバル”らしく、普通ならこちらを信じるところだろう。しかもそれぞれの動物が個々の人間に置き換えられていて(はたまたその逆なのか)、ほんの少し話すだけなのに、この「話」にも不思議な説得力がある。
ここで面白いのはパイが「リチャード・パーカー」を自分自身に置き換えている点だ。ここで観客は初めて知ることになるのだが、パイにとって「リチャード・パーカー」とはすべての物事の象徴である。災難、サバイバル、自然の脅威、仲間、家族、そして自分。「リチャード・パーカーがいなければ、生き残れなかった」という言葉に重みがあるのはそのせいなのだ。
それらを知った上でパイはカナダ人作家だけでなく、観客にまでカメラを通して問いかけてくる。「君はどっちの話が良いと思う?」
だが私たちはこの物語から希望を捨てないことを学び、そして感動させられた。どっちが良いかは誰にとっても明白だろう。どちらが正解かなどは関係ない。どちらの話がパイの人生に影響を与えたのか、そして私たちの心をふるわせたのか、それが問題なのだ。
だからこそ物語の締めくくりは、いささか陳腐にも感じられる。だがパイが神の存在を感じて改めて生きること、そして様々なものとの出会いを再認識したというのも悪くない。
実は「リチャード・パーカー」はもう一つ、この「出会いと別れ」も象徴している。終盤パイは静かに涙を流し、こう言った。「人生に別れはつきものだ。だが本当に悲しいのはさよならを言えないことだ。」これほど心を打つ言葉があるだろうか。
(2013年2月9日鑑賞)
振り向かないトラ。
私は2Dで観たんだけど、それでも十分に映像は美しかった。
しかし内容は、何とも神々しい、尊大なテーマを孕んでおり、
無事に着地した?と思われたはずの漂流ファンタジーが、
一気に現実化してしまうラストの衝撃度は、かなり大きい。
原作は知らないし、予告でもやたら、トラ、トラ、トラなので
パイの人生より、リチャード・パーカーに興味津々(計算ずく?)
少年とトラが漂流する物語としてはとても面白い出来である。
だけど、、いやそれにしても、、
何だろう、この鑑賞後に残る残留感と気持ち悪さ。
そもそも、
こんな苦難を目の当たりにした本人が、調査員やライターに
どう話せばいいんだよ?って、そっちの方がムリな話である。
だから、
こういうファンタジーになってるわけね、とこちら観る方も
どこかで納得していかないと、心がついていけなくなるお話。
少年パイと中年パイが、ボロボロ流す涙がそれを示している。
冒頭、まだ幼かったころのパイの物語は温かく、面白い。
なぜその名前で、なぜ家族が動物園をやっていて、なぜインドを
離れなければならなくなったか。
そもそも祖国で順調に暮らしていられれば、こんな災難に遭わず、
パイは頭のいい?パイのまま、あの初恋の女の子とも付き合えて、
動物園を継いで、結婚して、そんな妄想が膨らんじゃうくらいだ。
カナダへの渡航が齎した遭難と漂流が、彼の全てを変えるのだが、
ラストまで観て(聞いて)から思い返すと確かに…
なぜこんなチョイ役で(あのヒトですよ)大物俳優が?と思ったし、
人間ですら為す術もなく沈んでいく貨物船を前に、パイ以外に
あんなに動物が乗り込んでくる(来るんだもんね~アレに乗って)
ボートっていうのもおかしなハナシである(ダメ出しするなって)
肉は食べない、っていうお母さんの台詞も頑なまでに焼きつく。
だがしかし、この時点ではまったくそういう疑問符はわかない。
今作の凄いところは、その、純然たる遭難ファンタジーが壊れず、
最後の最後の最後まで、観るものを美と驚愕の世界へ惹き込んで
離さない(まるでトラに喰い付かれたかのように)ところなのかも。
まぁやっぱり、リチャード・パーカーの魅力に尽きるんだけど。
こんな苦難を経験した人はおそらくいないと思うので(身近にも)
想像のしようがないのだが、
もし今自分が健康で幸せに暮らしているのならば、まずはそれに
感謝して、今後も普通に生活していくんじゃないだろうかと思う。
(中年パイもそんな感じだったし)
あの年齢であんな経験をしながら、自分で自分を成長・納得させ、
過去と決別する勇気(振り向かないトラ)そのものを体現している。
人間は生きるためなら何だってやるさ~!そりゃ(いざって時には)
だけどリアルに経験した者ほど他人にそんなことを語ったりしない。
自分は苦労したとか何だとか言ってベラベラ喋る大バカ者がいるが、
本当に苦しんだ人間ならそんなことは億尾にも出さず相手を助ける。
良い本を書きたい人には、それに沿う物語を語って聞かせられる。
ある意味自己満足にもとれる、絶対信者のような言い回しも多いが、
目を背けたくなる場面をどうすれば神話化できるというのだろう。
あんなミーアキャットだらけの無人島など普通は想像もできない。
島の描写も海の描写も「食物連鎖」を提示して、人間はどうやって
(信仰心や宗教に関係なく)生存していくものなのかを示している。
神々しいファンタジーとして築き上げた、その世界観はお見事。
どうもラストのおぞましさだけが強調されると嫌になるけれど、
その胃もたれ・消化不良は生きていてこそ味わえる不快感である。
あまりにテーマが尊大(一見で分かり辛いのが多い)すぎて、
エンターテインメント性に欠けるのが、アン・リーらしい仕上がり。
(演技未経験の青年とCGのパーカーの演技には恐れ入る、お見事!)
メタファーな解釈も面白い!
映像美や虎とのやり取りなどは、他の方が書かれているので別な視点でレビューします。
虎とパイの話か、それとも最後に明かされた4人の生存者の話のどちらが真実か?という問題ですが、4人の生存者の話を考えてみた場合、シマウマ=仏教徒、オランウータン=母親、ハイエナ=コック、虎=パイになるのですが、虎が最初から登場しておらず、オランウータンが殺された後に登場したこと、また「コックの邪悪さが、自分の悪を呼び起こした」という台詞からも、虎はパイの悪の心を表していると思います。
その観点でその後の展開を観ると、
虎に襲われ、見捨てる事も出来たのに虎の命を救い、虎を手なずけ、最後には虎は森の中へと消えていく、という流れは、
自分の犯した罪に苛まれ、邪悪を否定し捨て去ろうとするが、今生きているのはその邪悪さのおかげだということから、捨て去る事が出来ず、自分の悪をコントロールし、共存することを選び、最後にはあるべき所へと帰っていくという風にも解釈できます。
トラと漂流した227日間は、自分の悪、煩悩、汚れとの対決を描いた実に哲学的、宗教的な映画としても観る事が出来ます。
主人公の神、宗教との関わり、原作者の経歴や専攻を考えると、この解釈もありではないでしょうか?
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