「結論は、めちゃくちゃ良かった。 最初の印象は、学校というあの独特の...」桐島、部活やめるってよ まゆうさんの映画レビュー(感想・評価)
結論は、めちゃくちゃ良かった。 最初の印象は、学校というあの独特の...
結論は、めちゃくちゃ良かった。
最初の印象は、学校というあの独特の雰囲気をよく出してるな~と。自分も高校生だったことあるのですんなり入り込めた。で、バレー部の女子マネ?が職員室で泣いてる。桐島が辞めるって。で、まずストーリーのつかみはオッケー。いつ桐島が出てくるのかな~?と思いながらしばらく鑑賞するが、途中で「あ、最後まで出ないパターンか」と気づく。スクールカーストは自分も(多分多くの人が)体験してるので、見ていて何となく嫌な気持ちになるシーンもあったが、とにかくリアルで生々しかった。ああいう奴いるよね~!とか。でもそれがすごく良かった。この作品でそういうリアリティはとても重要だと思ったから。なぜならこの無慈悲な現実がちゃんと見ている人に伝わらなければ、この多感な若者たちの揺らぎや「大人には分からねぇよ」っていうキリキリする切実さが嘘っぽくなってしまうからだ。
桐島の周囲の人間模様がそれぞれの視点から描かれる構成で、それぞれの人物が色々な思いで学校生活を送っていることが分かるようになっている。進路を書く紙が配られる場面があるが、17歳というのは現実を突きつけられる難しい年頃でもある。プロ野球選手になれないことは分かってるけど、引退せずトレーニングを続ける野球部の3年生。アカデミー賞を取れるなんて本気で思ってるわけじゃないけど、映画製作に熱心な映画部のクラスメイト。リア充とか陽キャに属する東出昌大の役と、オタクで陰キャな神木隆之介の役は、この作品では物語の要であり、主役と言っていい。なんで頑張るのか?何のためにそこまでするのか?どんなに頑張っても報われないと分かってるのに。一体何のために生きるのか?グルグルと頭のなかを巡って答えが出ないまま悩んでいた東出。ラスト、神木との屋上でのやり取り(この物語のテーマ上、クライマックスであり最も重要な場面)で、東出は目を赤くして涙を滲ませる。自分には何にも無い。カッコ悪いよな。それは自分が一番よく分かってる。…そのあと、東出が学校のグラウンドを見下ろしながら一人で桐島に電話をかけるシーンで幕を閉じるところは、何とも胸が熱くなる。果たして東出は桐島に何を語るのか。大好きな映画になった。