「ラストシーンの真の意味」アーティスト kumanopuusanさんの映画レビュー(感想・評価)
ラストシーンの真の意味
こんなに他愛もないラブストーリーが、少々ギミックのあるサイレント映画だというだけでアカデミー賞を取れるとお思いですか?
ラストシーンの仕掛けに気づいたので、どうしてもみなさんに聞いてみたく、アカウントを取得して書き込みます。
私は最初、ラストシーンの意味がわかりませんでした。
「パーフェクト!」と監督に言わせ、スタッフも「カット!」を言うのを忘れるほど見とれ、あれだけの運動量のダンスをして、ハアハア息を切らせている2人に、「もう一度、最初から」とは、見ていて驚きました。無慈悲にも程がありますし、もう一度撮る意味はありません。なのに休憩もなく間髪をいれずに次のテイクの準備へ。
なぜ?
これ、たぶん、YouTubeなどの動画サイトと、その視聴者への強烈な皮肉になっているんだと思います。
YouTubeなどで、同じ動画を何回も見ることがありますよね? 監督も、見たかったんです。彼らの完璧なダンスをもう一度、しかも今すぐ、目の前で。とにかく見たかった。きっともう一度といわず何度でも。
おそらく、私達が気に入った動画をリピートするのと同じ気持ちを表現しているのです。
しかしただボタンを押すだけでは見られません。何人ものスタッフがまた最初から準備して、主役の二人は息を整える間もなく、あの激しいタップダンスを踊らなければなりません。
これが映画の本質だと。人間が作っているんだと。だからこそ今、サイレント映画という手法を使って、インターネット動画が蔓延する世界に一矢報いたかった。サイレント映画がトーキーに取って代わられた時、ジョージが発奮して自分で映画を撮ったように。そんな真意が、あのラストシーンに隠されているような気がしてなりません。
あの映画ではジョージは砂に埋もれてジ・エンドとなりましたが、あれも不自然ですよね。でもこのように考えてくると、昔ながらの映画はもう瀕死の状態だと、新しい映画/動画の時代が来ているというメッセージにも思えてきてしまいます。
穿ちすぎでしょうか。みなさんはどう思われますか?