フライトのレビュー・感想・評価
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【88.1】フライト 映画レビュー
本作は、ロバート・ゼメキス監督の手腕が光る、高い完成度を持つヒューマン・ドラマです。序盤の航空機事故のシークエンスは、極度の緊張感をもって描かれ、観客を強く引きつけます。このスペクタクルを導入としつつ、物語の核心は、生還を果たした主人公ウィップ・ウィトカー機長のアルコール依存症という内面的な葛藤に据えられています。英雄的な行為と、それに続く自己欺瞞の連鎖が、公的な調査と絡み合い、緊迫したドラマを構築しています。
奇跡的な生還の後に描かれる、病的なまでの自己破壊行動の対比は鮮烈であり、人間の弱さと誠実さという普遍的なテーマを深く掘り下げています。物語が外部の危機から主人公の内面の危機へと移行し、最終的に真実の告白によって贖罪を見出す構成は、古典的な物語の枠組みを踏襲しつつも、現代的な心理劇として説得力を持っています。この構成の巧みさが、本作の評価を確固たるものにしています。
監督・演出・編集
ロバート・ゼメキス監督は、VFX技術を駆使しながらも、ドラマの深層に焦点を当てた演出を見せています。墜落シーンのリアリティは目覚ましいものがありますが、より評価すべきは、ウィップの依存症を扱う際の抑制された視線です。公聴会前のホテルでの転落を描くシークエンスは、彼の抱える病の深刻さを象徴的に示しており、監督のヒューマンドラマへの洞察が感じられます。編集も緻密に計算されており、長尺でありながらも前半のサスペンスと後半の静的なドラマを巧みに繋ぎ、全体として淀みのないテンポを生み出しています。
キャスティング・役者の演技
キャスティングは成功しており、主要俳優たちは役柄の複雑さを的確に体現しています。
• デンゼル・ワシントン(ウィップ・ウィトカー役):
ウィップの持つ英雄的側面と、アルコール依存という致命的な弱さの二面性を、ワシントンは高い説得力を持って演じています。酩酊状態での虚勢、自己嫌悪、そして真実への覚悟といった内面的な変遷を、彼の眼差しや表情の機微を通して表現しています。この多層的な演技は、物語の倫理的な問いを観客に深く突きつける上で重要な役割を果たしており、アカデミー賞主演男優賞ノミネートにふさわしいものです。
• 助演陣(ケリー・ライリー、ドン・チードル、ブルース・グリーンウッド、ジョン・グッドマン):
助演陣もまた、物語を支える上で重要な役割を担っています。ケリー・ライリー演じるニコールは、ウィップの鏡像として静かな存在感を放ち、ドン・チードル演じる弁護士ヒュー・ラングは、プロフェッショナルな冷徹さでドラマに緊張感をもたらしています。ブルース・グリーンウッドとジョン・グッドマンも、それぞれ友情と倫理的ジレンマ、あるいはウィップの病の「影」といった、複雑な要素を的確に表現しており、アンサンブルとして物語に厚みを加えています。
脚本・ストーリー
ジョン・ゲイティンズによる脚本は、緻密な構成力を持っています。航空事故というセンセーショナルな出来事から出発し、主人公の個人的な内省へと焦点を移していく展開は秀逸です。ウィップの行為を単純な善悪で裁かず、彼が英雄と犯罪者という相反する属性の間で葛藤する姿を描き出している点が、物語に深みを与えています。公聴会での決断を通じて、真実の追求が唯一の救済となるというテーマを力強く提示しており、アカデミー賞脚本賞ノミネートの評価を得るに値する出来です。
映像・美術衣装
映像は、ゼメキス監督の技術力によってリアリティが高く、特に墜落シークエンスは圧巻です。美術面では、高級ホテルの豪華さ、薄暗い病院、厳粛な公聴会といった対照的な空間が、主人公の心理的な状態と外部の状況を効果的に視覚化しています。衣装もまた、パイロットの制服が持つ「公的な英雄」の記号性と、私服の弛緩した様子との対比を通じて、ウィップの二面性を象徴的に示しています。
音楽
アラン・シルヴェストリによるスコアは、劇的な場面を過度に強調することなく、抑制的にドラマを支えています。本作の音楽的特徴は、選曲の妙にあります。特にベアナックド・レイディーズの「Alcohol」をはじめとするロックやソウルの挿入歌は、ウィップの依存症というテーマを直接的かつ効果的に補強する役割を果たしており、単なるBGM以上の意味を持っています。この選曲のセンスが、物語のトーンに深みを与えています。
2. 編集(減点)の適用
• 減点項目: 編集
• 適用減点: -0
• 調整後合計点: \bm{123 + (-0) = \mathbf{123}}
3. 監督(最終乗数)の適用
• 調整値: \bm{\times 0.715}
• 総合スコア: \bm{123 \times 0.715 = \mathbf{88.095}}
最終表記(修正版)
作品[FLIGHT]
主演
評価対象: デンゼル・ワシントン
適用評価点: A9
助演
評価対象: ケリー・ライリー、ドン・チードル、ブルース・グリーンウッド、ジョン・グッドマン
適用評価点: B8
脚本・ストーリー
評価対象: ジョン・ゲイティンズ
適用評価点: A9
撮影・映像
評価対象: (ロバート・プレジリー)
適用評価点: A9
美術・衣装
評価対象: (ネルソン・コーツ)
適用評価点: B8
音楽
評価対象: アラン・シルヴェストリ
適用評価点: B8
編集(減点)
評価対象: (ジェレマイア・オドリスコル)
適用評価点: -0
監督(最終評価)
評価対象: ロバート・ゼメキス
総合スコア:[88.1]
中毒者に捧げる映画?
彼は本当に飛びたかったのか
型破りな天才パイロットが酒と薬物で窮地に‥ 「才能があり、上手くや...
FLIGHT=飛行、逃走
鑑賞後の、爽快感、カタルシスはありません。
冒頭の、重い体調からの、見事な操縦技術にて、ジェット機を不時着させるまでのシークエンスで、映画一本分の見せ場を費やしています。
お話を改変して、アルコール中毒のパイロットが、絶対絶命の窮地を救うという、エンターテイメント作品にも成し得たはず。
なのに、なぜ、そうしなかったのか。
ゼメキスゆえに。そうしなかったのか。
一般受けする、娯楽はもう卒業して、これからは、好きなように撮らせてもらう。そんな監督の声が、聞こえてくるようだ。
娯楽作品を見終わっても、あー面白かった。で終わり。
今作は、機長の人生が一本の映画に焼き付けてある。
そして、いろんな人生模様が、縫い付けてある。
とても奥深く、味わい深い作品になっている。
残念ながら、娯楽作品ではない。
アラスカ航空261便墜落事故
機体の故障で操縦不能に陥った旅客機を、最小限の被害で不時着させた機...
うん、まあ、よかった、
実話ではありません
オーランド国際空港からアトランタ国際空港に向かう旅客機が、突如、原因不明の急降下を始める。ベテランのウィトカー機長(デンゼル・ワシントン)は、制御不能となった旅客機を背面飛行させ、地上への胴体着陸を奇跡的に成功させ「奇跡のパイロット」として一夜にして英雄となる。
しかしその後の事故調査委員会の調べで機長の血液からアルコールが検出されたことで疑惑が浮上する。巨匠ロバート・ゼメキス監督が12年振りに手掛けた実写作品。
最初は【ハドソン川の奇跡】のような機長目線で描いた英雄ストーリーかと思いきや機長目線ではあるものの、堕落していくストーリーでした。
■ダメだこいつ・・・
フライト前日にお酒にクスリ・・・冒頭から乱れた生活。
さらには遅刻して乗客と一緒に搭乗w
そのくせ副操縦士に「俺は時間厳守だ」とかほざくw
割と最後の方までクズ男全開でしたw
9日間の断酒に成功して公聴会がいよいよ明日って時に・・
飲んじゃうのねぇ・・・やめれないのねぇ・・・(´・ω・`)ダメだこいつ。
■腕は確かだが・・・
優れた操縦技術を持ったパイロットで、長年の経験に基づいた
本能的な状況判断ができて酔っぱらった状態でも背面飛行なんて
凄技できちゃうアル㊥機長。
クスリでキメてたからこそ、頭が冴えて的確な判断ができてたのか?!
■背面飛行は必見!!!
このシーン見るだけでも価値はある!
■ホテルの冷蔵庫にお酒があったのは何故?
恐らくコネクティングルームだったのでしょうね。
でも何故その部屋用意したんだww
隣の部屋の冷蔵庫もチェックしておきなさいよ。
ホテル側のミスなのか?用意した人のミスなのか?
■酔いを醒ますにはドラッグなのか。。
酔っているのをごまかすための「気付け」にクスリ・・・。
へべれけなアル㊥男が一瞬でシャキッとする。
冒頭のコカインもそゆことだったのね。
こんなこと映画で教えちゃダメ。だからPG12なのか。
■クズ男にも良心はあった
ネタバレになるので言えないけど、彼女に罪を被せることも可能だったのに
罪悪感に勝てずこれ以上の嘘を重ねることはなかった。
もしここで嘘を突き通したら彼は英雄機長で終わっただろうに。
そして最後は更生の道を歩むお決まりストーリーで安心した。
■事故原因は整備不良
そもそもの原因は尾翼の部品を耐用年数を過ぎても交換していなかった事。
機長のアル㊥とクスリは結果論である。
■判決は描かれない
飲酒とクスリがそもそもの事故原因ではないし、
奇跡の操縦「96人の命を救った行動」が考慮され
情状酌量の余地はあるだろうと思う。
4,5年は刑務所にいるだろうと語っていることから
死刑や無期懲役では無さそうですね。
実話っぽいけど、実話でないです。フィクションです。
でももし実話だったらもっとのめり込んで観てただろうな(;´・ω・)
眼福から始まる(笑) ヤバい機長とヤバいフライト。アルコール依存の...
これは、米国の現状なんでしょうか❓
嘘で固めた人生を生きていくのか
再生の物語。失ったものは大きいが…
デンゼル・ワシントン演技うますぎ。ロバート・ゼメキス監督、さすが。
期待通りの映画でした。
コーヒー飲むの忘れてたくらい没頭した2時間25分。
まず冒頭の墜落シーンのど迫力に圧倒されて(こんなシーンはハリウッドにしか撮れない!)感嘆。
奇跡的な操縦で草原に不時着し、多くの乗客の命を救ったベテランパイロットは一躍英雄に。でも彼には重大な秘密があり、その運命は天から地へまさに急降下...。
(今回はあまりネタばらししないでおきますね(^^;; ″この先どうなるんや⁈″と観てほしいので)
一見 エリート街道を生きている一人の人間の、その堕落と心の闇。
彼はこの事故をきっかけに、嘘で塗り固めてきた今までの人生と否応無く向き合うことになります。
家族をはじめ、彼を救おうとする周りの人達を裏切り続け、まだか、まだか、というほど底に落ちていく。
そんな彼のすさんだ心の奥に、まだ残っていた僅かな良心が目覚めるのは、大切な人の遺影を見た瞬間。。。なんか、わかる。
尋問会のやりとりにハラハラしながらも、この展開にどこかホッとした私なんです。認める事は勇気のいること。
でも、彼がこれまで裏切り続けていたのは他人だけでなく、自分自身もだったのですね。
受刑者の前で語る言葉に涙がとまらなかったーーー!´д` ;
化粧とれたーーー
受け入れて、変わる勇気。
時には容易ではないけど...
また、この映画は、ドラッグやアルコール依存症についてもよく知る機会となりました。
私は、人間というものは所詮弱い生き物だと思っています。一歩間違えば私だってどうなるかわからないし、誰にも話したくない過去もあります。
そしてこれからたとえば、死ぬほどつらい事があって少しの間だけでも忘れたい時に、身近にアルコールやドラッグの誘惑があったら...? 100%の自信はありません。
でも、人間は弱い一方で、それを克服する強さも持ち合わせています。
私は、この映画は、一人の人間の【再生】の物語なんだなぁ、と思いました。だからこそ、最後の彼の言葉『今、最高に自由な気分だ』には、『もう自分を偽らなくてもいい。嘘を重ねなくてもいい』という思いが込められているんだと感じ、認める事によってその懺悔に周りも救われ、もちろん彼自身も救われ、人間はいつからでもやり直せるんだと希望を貰えました。
いい映画です。ぜひ。
嫌悪
終始黒かった
「黒」デンゼルワシントンですね。元々黒いですが。
いきなり、悪いデンゼルが出てきて、
その後は良いデンゼルかと思ったら、ほぼ悪い人。
飲酒飛行なのは知ってましたが、アル中とは非道い。
緊急着陸シーンは必見。スゴイ。
客と乗員の振り回され方とか、コックピットの落ちていく風景とか、
リアルすぎるのに、デンゼルが冷静すぎ。
酒とかヤクやっててもここまでスゴイんだぜ!、という美化。
ていうか、予告編で背面飛行は見せちゃダメだろ。
一番の見せ場なのに。
で、その後は「やっぱりアル中とかダメよ」と啓発映画になり、
最後は反省。
アメリカではアル中とかヤクとかは近場の問題なんだろうが、
日本ではリアリティ無いわ。だから共感はゼロ。
なるほど映画でした。
デンゼルの役(ヤク)は見事。ろれつも回ってないとことかリアル。
ジョングッドマンはいいやつだが、
あーゆーのがいるからヤクとか無くなんないんだろ。
ケリーライリーは可愛かった。梨花そっくり。
でもオープニングのスッチーが一番サイコー。
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